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黒ずきん姫とグリーンハウス  作者: 那実いずみ
第一章 企てられた「侵略」
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再会の夜①

ようやく甘甘な感じが始まります。

 


 ドーーーーーン!!!

 ドーーーーーーーーン!!



 満天の星が輝く中、大きな花火がいくつも上がった。

 どこからともなく、陽気な笑い声と美しい音楽が聞こえて来る。






 あれからのことは、ハナはあまり覚えていない。


 「ハナ様!」と、遠くで侍女のアルカの声が聞こえたのは覚えている。

 アルカの無事が分かった瞬間、緊張の糸がぷつりと切れたのだろう。

 その後は、崩れ落ちるように、ディルの腕の中で気を失ってしまったらしい。

 気がついた時には、部屋のベッドの中だった。


 目が覚めた時は、アルカが心配そうにベッドの横にいてくれた。

 彼女が目に涙を溜めていたのは初めて見たので、言葉に詰まってしまった。




 結局、祭司をはじめ、6人の官僚や研究者が捉えられた。みんな、名前を聞いたことがある。この国の中心人物ばかりだ。

 大がかりな作戦が無事に成功し、この国とフィンネル王国は、今まで以上の友好関係を築くことができたであろう。

 今夜はそのお祝いに、盛大なパーティーが催されることとなった。

 






 ハナは、小さく開けた部屋の窓から、中庭を眺めていた。

 今日は、中庭を一般にも開放して、国を挙げてのお祝いにしたようだ。たくさんの人が着飾って、行き交うのが見える。

 

 アルカは、急遽開かれることとなったパーティーで忙しいようで、側にずっといられないことを、申し訳なさそうにしていた。

 「一族の恥」のハナは、パーティーなどは出席したことがない。もちろん、ハナ自身もそれで良かった。

「私のことなど、気にしないで。」と、アルカを送り出し、今はひとりで自分の部屋にいる。 





 違う世界のように感じる中庭を、ぼーっと眺めながら、ふと王の間での出来事を思い出す。

 その瞬間、ハナは大きく身震いをした。一度思い出すと震えが止まらない。

 「後になって実感が湧く」とは、このことだと思った。

 祭司にナイフを突きつけられたとき、体がこわばっていたが、これほどの恐怖はなかった。

 小さく震える手を、ギュッと握りしめた。

 








 そのとき、だった。






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