表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒ずきん姫とグリーンハウス  作者: 那実いずみ
第一章 企てられた「侵略」
7/30

密約の手紙⑤

 「っつ!」

 誰かに左腕を強く掴まれた。

 黒い布の影になり、人が近づいてきたことに、気づくのが遅れてしまったのだ。

 



 「よく気づきましたね。フィンネルの若き王よ。」



 次の瞬間、誰かが自分に向かってナイフを突きつけていた。

 頭の上から、ドスの利いた、男の声が響く。

 

 


 「「キャーーーーー!!!!!!」」

 「「逃げろーーーーーーーーーーーーー!」」

 周囲は部屋の隅にいたハナから、遠く離れた場所へ、走って逃げていく。


 

 自分のまわりには、誰もいない。

 遠くのディルが、一瞬こちらを驚いたように見たあと、射るような目でにらんでいる。




 「祭司殿・・・。あなたが・・・。」

 玉座の方から、王の声が聞こえる。

 けれどハナは、突きつけられたナイフで、顔を向けることができなかった。




 「よく分かりましたね。でもねディル殿下、1つだけ忠告します。私を捉えたところで、この組織は何も変わりません。あなた方が考えているよりも、はるかに崩れにくい組織なんですよ。」




 祭司はそう言うと、ハナの前にあるナイフを、ユラユラと動かした。

 


 「ですが、私も簡単に捕まるのも、なんですからね・・・。この王の間に、王族でも生まれながらにして忌まわしい姫の血を、流してご覧に差し上げますよ。」




 そう言うと、祭司は、ナイフをハナに近づけてきた。

 ピッと、黒い布がわずかに切られた音がする。

 


 声を出そうとも、声の出し方が分からない。

 逃げようとも、体に力が入らない。



 ハナは、黒い布の中で、きつく瞳を閉ることしかできなかった。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ