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黒ずきん姫とグリーンハウス  作者: 那実いずみ
第二章 「来客」
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城内散歩④

 図書館を出た2人は、植物研究所へやってきた。 

 


 白い壁の建物の外に、書類を手にしながら離している人たちが見える。

 「所長〜!」

 カミールは遠くに見える、その人たちに大きく手を振った。ハナはあわてて会釈をする。すると、その中の一人、白衣に眼鏡をかけた人物が軽く手を挙げた。

 


 「カミール、早速連れてきてくれたのですか?」

 「もちろんです!所長ってば、ハナの事気になっていたじゃないですか。」

 「あはは、ありがとう。」

 2人の会話を聞いていると、リアンダーと目が合った。

 「あっあのっ。」

 「緊張しないでください。私はリアンダーと申します。ようこそいらっしゃいました。」

 「ハナ・オレガーです。」

 ハナがそれだけ言うと、リアンダーは『分かっているよ』とでも言うかのように、優しい笑顔で頷いた。

 「昨日、グリーンハウスをご覧になったと聞きましたが、我が研究所の第二温室はいかがでしたか?」

 ハナは昨日のことを思い出す。

 フィンネル王国に到着してから、目の前にいるリアンダーたちとあいさつをした後、ディル、ラムズ、アルカとお茶をした場所。そこが、グリーンハウス。清潔感があって、きちんと管理されていて、居心地がよかった。

 「とっても広くて驚きました。植物に合った環境が整っていて、居心地もよくって、すてきな温室でした。」

 「それは嬉しい。ありがとう。」

 そう言って微笑むリアンダーは、まるで日だまりのような笑顔を向けた。少し緊張していたハナは、ようやく心が軽くなった。



 「所長、この方はどなたですか?」

 さっきまで書類を一緒に見ていたうちの一人が、ハナに目を向けながらリアンダーに話しかけた。リアンダーと同じように白衣を着た、赤い髪の男性。

 「ああ、紹介が遅くなりましたね。こちらは、留学生のハナさん。殿下からお話しを伺って、お会いしたいと思っていたので、カミールに連れて来てほしいとお願いしていました。」

 「ええ!?所長ってば、殿下からハナの話しがあったの!?」

 「カミール、知りませんでしたか?留学生が来るときは、ほぼ毎回と言っていいほど、殿下から直々にお話を伺いますよ?」

 「そうなんだ・・・。」

 「で、こちらは研究所の研究員です。」

 そう言って、リアンダーは後ろにいた2人の人物を、ハナに見えるように手で指し示した。

 「所長ってば、ざっくりだなぁ。改めまして、ハナさん。研究所の副所長をしています、コフリーです。よろしくお願いします。」

 そう言って、赤髪の青年はハナに右手を差し出した。

 「よっよろしくお願いします。」

 そう言って、ハナは握手を返す。

 「私はリン。よろしくね。」

 「ハナです。」

 長い髪を1つにゆるく結んだリンとも握手をする。

 「ハナさん、今日はこのあと、研究結果の報告会議になってしまうが、明日なら大丈夫です。よかったら、明日から研究所に来てみませんか?」

 リアンダーが優しくハナに声をかける。

 それを聞いた、副所長のコフリーが、慌ててリアンダーに話しかける。

 「しょっ所長、いいんですか!?」

 「あら、コフリー、私は名案だと思うわ。定期観察には人が多い方がいいもの。」

 「それもそうだな・・・。」

 「所長、よければ私の研究チームに同行してもらってもいいですか?」

 「えっ!?あっあの・・・。」

 「いいでしょう。ではリン、お願いしますね。」

 「はい。ハナさん、どうぞよろしく。」

 そう言って、リンはハナに笑顔を向ける。

 自分の目の前で、あっという間に話しが決まってしまい、ハナは困惑の表情でリアンダーを見た。

 「リっリアンダー様、いいのでしょうか・・・。」

 「もちろんです。」

 「ほら、ハナ。みんないいって言ってるんだから、明日から頑張るんだよ!」

 困惑の表情のハナに、カミールは肩を叩いて後押しをする。



 自分に向けて、みんなが笑顔を向けてくれている。

 その期待と、自分を受け入れてくれているまなざしが、今朝目覚めた時のようなわくわくした感じに似ている。フィンネル王国での日々に、期待で胸が膨らむのを感じずにはいられない。。



 「よっよろしくお願いします!」



 ハナは、満面の笑みであいさつをした。



 


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