表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒ずきん姫とグリーンハウス  作者: 那実いずみ
第二章 「来客」
21/30

読めない思惑⑥


 「げ。感情がない笑顔って、すごいね。」

 

 ラムズは玉座に座って、次々にあいさつを交わしていくディルに、小さく声をかけた。

 「うるさい。」

 社交用の笑顔を貼付けたまま、ラムズに反撃をする。

 「あとね、ハナを待っているのはいいんだけど、そわそわし過ぎ。」

 「う・・・。」

 言い当てられ、思わず声を漏らしてしまった。それを見落とさないラムズは、いたずらな笑みを返して来る。ディルは、それには無視をすることにした。

 



 パーティーは、宰相のバーベナがうまく準備を整えてくれた。無表情で固い男だが、頭が切れて人望が厚い。今回も急ではあったが、留学生やら貴族やらにうまく声をかけ、交流パーティーということに仕立てたのもバーベナだ。ハナを紹介しつつも、うまく隠せる、何ともいいアイデアだ。


 あちらの国を発ってから、ディルはずっと考えていることがあった。

 向こうの王の思惑が読めない。

 なぜ、ハナをこんなにも隠すのか。

 どうしてハナが出かけるところを見られたくなかったのか。

 アルカの報告からすると『一族の恥』意外に、何か執着しているものがあるように感じられる。

 


 ハナには黙っているが、今回の作戦の手紙には、自分のハナに対する想いを記してあった。

 そう、『ハナをフィンネル王妃として、迎え入れたい』と。

 これは向こうにとっても悪い話しじゃないはずだ。

 ハナの姉が色々と厄介だが、知ったことじゃない。


 だが、向こうはディルが思っていたのとは違う行動に出たのだ。

 『ありがたいお申し出ではございますが、ハナは本国ですでに決められている道がございます。』

 そんなのは初耳だ。後から話したらアルカすら知らなかったのだから。

 おまけに、

 『本国の王族をフィンネル王国の王妃にというお申し出は、非常にありがたいお言葉。ハナの姉のソレルを、ぜひ、あなた様の妃にいかがでしょうか。』

 ときたもんだ。

 丁重にお断りをしつつも『ハナを諦めた訳じゃない』と、しっかり捨て台詞を残してきてやった。

 


 アルカが戻ってきた分、あちらの国の様子は、頻繁には入ってこなくなる。

 今後の動きをよく見なければ・・・。

 こちらでも、伏線を張っておく必要がある。

 

 相変わらずの笑顔を貼付けながら、広間の入り口に、ハナの姿が見えるのを待つ。

 次々とやって来る貴族の連中たちにお決まりのあいさつを交わしながら、ディルは今後の動きについて、考えをめぐらせるのだった。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ