表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒ずきん姫とグリーンハウス  作者: 那実いずみ
第一章 企てられた「侵略」
14/30

再会の夜⑥

 

 ハナは思わず、両手で口を押さえ、固まった。

 その様子を見て、ディルは優しく微笑む。

 「思い出した?」

 ハナは彼から、目をそらせずにいた。



 「あの日は、前王にくっついてこの国に初めて来た時だった。うろうろしてたら迷っちゃってさ。この温室に人が入っていくのが見えたから、後を追ったんだ。」

 そう言って、ハナの頬をいとおしそうになでた。びくっとハナの体が反応する。

 「あの時から、ずっとハナのことが忘れられなかった・・・。」


 


 一瞬、ディルの瞳に鋭い怒りが混じった。

 そのあと、この国に何度来てもハナには会わせてもらえなかった。

 いや、ハナに会えなかったんじゃない。ハナという存在を、この国は消していたのだ。



 王や側近に『こんな女の子がいた』と、ハナの特徴を伝えても「黒髪が本国の特徴だ」と言われ、取り繕ってもらえなかった。ハナの部屋へ続く長い廊は、来るたびに兵士の監視下のもと、立ち入りを禁止される始末。



 ハナの存在が分かったのは、8年前。ハナの姉からだった。ディルは、この容姿のおかげで、昔から好意を持った女性が寄ってきて後を絶たなかった。ハナの姉も、そのうちの一人だ。それを利用し、少しずつ口を割らせたのである。真実を知った時は、この国のハナに対する対応に、子どもながらに強い怒りを覚えたのを忘れられない。



 ハナのことを聞いた時から、こっそり手を回して、アルカを侍女として送り込んだ。ラズムの従姉妹で、よく一緒に遊んでいたアルカは、フィンネル王国出身にも関わらず、偶然にもこの国の人と同じ、黒髪に漆黒の瞳だった。

 アルカにすべての事情を話し、侍女になってほしいと頭を下げた。ラムズの従姉妹、つまりはアルカも貴族の娘である。断られるだろうと思ったっていたのだが、アルカは快く侍女の件を引き受けてくれた。それ以降、ハナのことは、全てアルカから報告が入るようになっていたのである。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ