再会の夜④
「お前ら、なんでこのタイミングで来るんだよ。」
長い静かな廊下を走って来たのは、侍女のアルカと、背の高い男性だった。
ディルも背が高いけれど、この男性も高い。銀色の短髪に、左耳に光る赤いピアスがとても似合っていた。顔立ちも整っていて、2人が並ぶと迫力がある。
「ディルが勝手にパーティーを抜け出すからだろ?向こうじゃ結構な騒ぎになってるよ?」
走ってきても、息の乱れがない。少しあきれたように、ディルを見ながら言った。
そんな彼に、ディルは悪びれるそぶりを見せない。
「それをなんとかするのが、お前の仕事だろ?」
「んな訳ないでしょ。ほら、戻るよ!!」
「ラムズだけが戻れよ。ようやくハナに会えたんだから、俺はここにいる。」
ディルはそう言うと、ハナをぎゅっと抱きしめた。
「きゃっ!」
ハナは、もう何がなんだか分からず、されるがままの状態。
そんなハナに、ラムズと呼ばれた男性が顔を向けた。
「お?この子が、この国のハナ姫?」
そう言うと、ラムズはハナの顔を覗き込んだ。
そのラムズの様子を見るなり、
「ラムズ!見るな!!」
と、ディルは慌ててハナを見えないように抱きしめる。
「ディル・・・。独占欲丸出しだよ。ハナ姫、はじめまして。俺はディルの側近の、ラムズリーブ・イム。ラムズって呼んで?よろしくね。」
ハナがディルの腕の中で、もぞもぞと顔を出そうとした時だった。
「・・・お二人とも、とりあえず場所を移してもらえませんかね?ここ、ハナ様の部屋の前ですから。」
アルカが怖い笑顔を貼付けて、男ふたりに声をかけた。
その笑顔とオーラを見て、ふたりは静かに従うことにした。