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登校

その少女はとても几帳面だ


家を出てすぐ見える曲がり角にあるゴミ置き場にはいつも3匹カラスがいてゴミを食い散らかしている。

いやな匂いも汚い生ゴミが溢れ出ているのを見るのもやっぱり慣れていても不快にはなる。

その曲がり角を左に曲がり、ゴミ置き場の隣にある、公園の桜の木を眺めながら緩めの下り坂を下っていく。

少し大きめの道に出ると右に曲がって、急な上り坂を登って行く。

道の両側に車道より少し高くなっている歩道があって、私はそれの左側へ渡って登って行くのだ。

坂道のてっぺんのすこし手前くらいのところに、三階建ての大きめの家がある。

そこの表札には「城島(きじま)」と書いてあり、私の親友である城島幸彦(きじまゆきひこ)(通称ユキ)が住んでいる。

私はいつもその家の手前のところでユキが家から出てくるのを待つ。そして出てきたらいつも隣へ行き一緒に登校するのだ。

べつに付き合ってるわけではないけど一緒に登下校してるからかよく噂のネタにされる。そんなのもう気にもならないけど。

今日もいつもと同じで、ユキは7:15ちょうどに玄関から出てくる。

私がユキの家に着くのは7:12。毎日の習慣だから3分遅く家を出ようという気にはならない。

この3分はなぜか長く感じる。遅刻するんじゃないかとかそれくらい長く感じる。

今日も何事もなくユキは7:15に玄関から出て来た。ぴったりだ。

「ユキー。今日も15分ぴったりだね、なんのこだわりよ」

「別にいいだろ。この時間に出るとちょうど昇降口開く時間に着くんだよ」

「ユキの家から学校まで5分ってことか。近くていいな〜」

「そうか?近くても遠くても一緒じゃね?」

「は?私の家から学校までどんだけある思ってんのよ」

「んな変わんなくね?アキの家からうちまで12分だろ?」

「はぁあ⁉︎そうなるとうちから学校まで15分なんですけど!15分と5分だよ⁉︎3倍だよ3倍、バカじゃないの?」

いつもの調子で喧嘩っぽく喋りながら坂を登り切った。

坂道の一番上は十字になっていて、そこを越えると急に登校中の中学生が増える。

つまり私達にやじを飛ばすやつらが増えるわけだ。面倒くさい。いい加減飽きてくるだろう。

最初はそりゃあ恥ずかしかったけど、今はもう風の音みたいな感じだ。

十字路を右にも左にも曲がらず進んでいくと下り坂になる。

ほんとに山をそのまま使ったような道だ。

べつに嫌いじゃないけど。

少しだけ左にカーブした道を下って、坂が急になる手前に、「東ヶ丘中学校」と掘ってある石が埋め込まれた校門がある。

校門から昇降口までは桜の木が整列している。

左側の桜の木の列のしたにテニスコートがあり、早い人はもうストレッチをしている。

桜の木の間を抜けると左側にグラウンドが見える。

サッカー部と野球部はもう全員揃っていて、大声を出しながら走っていた。

「相変わらずサッカー部と野球部早ぇな」

「なんであんなに早く来られるかわかんないわ」

右側に4階建ての校舎があり、手前側と、奥がの方の二つに昇降口がある。

私たち3年生と、2年生は手前の昇降口、1年生は奥の昇降口だ。

手前側の昇降口は今ちょうどあいたところだ。

私とユキは靴を脱ぎ、自分の下駄箱に入れた。

昇降口を入って右に階段があり、上がっていく。

「今日って体育あったっけ?」

「さあ〜、ないんじゃね?」

「あっ、やば…」

「ん…?っちょ!」

ユキと喋っていると登り慣れて踏み外すことなんて無い階段を、踏み外してしまった。

ユキが私の手をつかもうとしたが遅かった。

私は階段の10段目くらいのところから頭から転げ落ちていった。


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