エピローグ兼プロローグ②世直し忍者
忍者は皆、遠征部隊長に任命されたブドウの見送りに来ている。
他にもトコヤミとホムラがいるにも関わらず、実力に加え人徳まであるブドウを見送るのは当然、なんせ権力にまで差がついたのだから。
純忍であるだけでなく、遠征部隊の隊長、最強の名に相応しい。
しかし、ハンゾすら気付いていないがブドウは皆を裏切りケイネと挙式するため本土に戻ろうとした身、本人は結構むず痒い思いをしていた。
そして、その想いは今も変わっていない。
「ブドウ殿、そろそろ行くでござる」
ナガイモがやや早走りに言う。そこには二人きりになりたいという欲望が見え隠れしていた。
「……そうでござるな」
ブドウが急ぐのは、同じく遠征部隊に任命された例の彼女のためである。
その想いを、ナガイモは知らない。
そのちょっと後、ホムラは寂しい想いをしていた。
いくらかの忍者がブドウの見送りの後残っていたのだが、赤忍がみな、別の船のエクシェルの応援に行ったからだ。
赤忍は大体みな、アークスに殺された。その恩をその場で返している。
朱のネッサくらいはこちらに来てもよかっただろうが、場の空気を読んだりする彼は、意外なほど冷たかった。
一方ホムラの性質を記すと、暑苦しい、鬱陶しい、五月蝿い、などなど。
「よし、全員に気合を入れてやるでござる!!」
ホムラはエクシェルの元に集った赤忍を全員一発ぶん殴ってから船に乗ったという。
エクシェルに余計な仕事を増やした事、ますます部下から人気が減ったことを言うまでもない。
一方のトコヤミも人気はない、どころか塩をまかれるほどであった。
ハンゾにより裏切りじみた行為を暴露され、他の忍者が彼を見る目は冷たい。
だが、ホムラと違いトコヤミは全然堪えておらず、むしろ楽そうにしている。
孤独が好きなわけでも一人が楽しいわけでもない。
ただ、集団行動というやつが煩わしいのだ。
そう考えると裏切りという行動も、トコヤミは自由を求めるあまり他人とそりが合わないからなのだろう。
忠誠がないというわけではないが、彼自身自由であることを重視するあまりそのように見られてしまうのだ。
この戦いで、ハンゾの元を離れナーダ大陸に向かう。これから戦う敵がどのような存在かは全く分からない。
だが、それが終わったら一人旅に出ようと考えている。一人で生きていくことができようができまいが、良いきっかけになった。
忍者の五人の中、最も場違いなのはハナゾノである。
わだかまりをなくすためにそれぞれの色から忍者を出そうと考え、黄色で生き残っていたあまり者のハナゾノが選ばれてしまった。
ちなみに緑忍が二人いるのは、忠誠が深いと思われるブドウを重用するための意思表示である。
逆にマジナイが恭順していないために省くことができない。ますます反発されては困る。そのためのハナゾノ。
なお、戦力として役立たずだとハナゾノはマジナイに直談判しようとしたが、マジナイ自身も戦いを避けるためにハナゾノを洗脳しかねないと思い、やめた。
ハナゾノを見送る者も、応援する者も当然いない。
能力は弱く、身体能力も高くはない。
結局彼女にできることは祈り信じるだけである。ホムラを、ブドウを、トコヤミを、そして、一緒に過ごしたプライムユニオンの凶暴なアグジスを。
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