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アナザーフェーズ  作者: 陽田城寺
防戦・ナーダ大陸!
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三匹の純忍

 風船蛙でマーグ大陸に侵入する予定であった三人の純忍、緑のブドウ、黄のマジナイ、黒のトコヤミは各自の能力を利用してマーグに向かい、マジナイ以外の二人が到着した。

 マジナイはトコヤミと大体同じ能力だが、いかんせん考え方の違いが差を作った。

 トコヤミは鳥を使い移動したため、風の影響を受けつつも順調に移動。

 マジナイは魚類を使ったため潮の流れに影響を受けつつ海獣に襲われる始末である。

 よって、二人だけが到着したのだ。

「ふぅ、疲れたでござる。一休みしたいでござる」

「トコヤミ殿、今はそれどころではござらん」

 緑の装束を着た忍者が、黒の装束の忍者を戒めるが、黒のトコヤミはそ知らぬ顔で。

「そりゃブドウ殿の能力なら平気でござろう。拙者もそんな強い能力を持って生まれれば、一休みもしないでござる」

「なに? お主は自分の部下が心配ではないでござるか!?」

「あんな急ごしらえグループ、部下と思ったこともないでござる!」

 二人がいがみ合うのを見つめるのは、港町の住人達。

 ブドウは住民を一瞥し、すぐトコヤミに顔を戻した。

「トコヤミ殿、ここはどこでござろう?」

「大陸南、赤忍軍の進軍地域でござろう。拙者の黒軍は北で、お主の緑軍は中央、折角でござるし、共に北まで進もうでござる」

「ふむ、ついでにホムラ殿のためにも厄介な敵は駆逐して……」

「その必要はないでござる、頭領もおらずヒマワリ殿の連絡もない部下達を思えば、今すぐ現地に向かうことが必要、そうでござろう?」

 トコヤミは自分の利益を考える小悪党であるため、すぐさま前言を撤回し部下思いなフリをした。

 一方のブドウは正義と任侠を重んじる性格で部下からの信頼も厚い。

 だからこそ、この場で主導したのはトコヤミであった。

「なるほど、拙者達はホムラ殿を信じて行くべきでござるな」

「そうそう、そういうことでござる」

 言うや否やブドウは空に跳ねた。

「待っ! 拙者も運ぶでござる!!」

 疲れ知らずなブドウの能力は本当に、トコヤミと比べれば楽に移動できる。

 中央の帝都を超えたはるか先、北の地。トコヤミは溜息をつかずにはいられない。


 そしてマジナイが飛行中の今、ビッグシノビエンパイア本土には戦力がほとんど抜けている。

 だが今まさに予備役の純忍、混色部隊の純忍紫のシャクドが食神エアトに立ち向かった。

「あれが化け物能力者でござるか……嫌な目をしているでござる」

 喋り方で区別のつかぬ忍者も、色以外にシャクドは装束の上でもわかるナイスバディな大人の女性である。

 エアトの周りの空間からは物や人がばっくりと抉り取られたようになくなっている。それは奇しくもマーグ大陸の創神クレアトのレーザーの跡のようでもあった。

「それで、奴はどんな攻撃を?」

「詳しくは判別できないでござるが、近くにあるものをあのように削り取ってしまうでござるよ!」

 シャクドはその様子を見て、暗い顔をした。

 混成忍軍は防衛用に残された忍者で、その能力は皆揃って中途半端の烙印を押されている。

「風船蛙で送られる予定だったけど、結局本土に行けなかった人を集めるでござる。その方がまだ戦力になるでござろう」

「純忍のあなたがそのような事を言っては」

「事実でござる! わたくし、犬死したくはないでござる」

 いくらかの忍者が手裏剣を投げ、果敢に立ち向かうが、人も武器も跡形もなく消え去る。

「……オシバナを此処へ」

 すみれ色のオシバナ、シャクドの気の知れた友人でもあり部下でもある人物である。

 ほんの数分も経たず、名の通りすみれ色の装束のくのいちが控える。

「シャクド殿、ここに」

「オシバナ、もしわたくしがこれから死んでしまったらすぐさまマーグ大陸の忍者と帝国の方で同盟をするように申し立てるでござる」

「は?」

「わたくし、実験がしたくてよ?」

「シャクド殿、言葉が……」

「元々わたくしは帝国出身ですもの、いい加減こんな変な喋り方は飽き飽きしてましてよ」

「……拙者は生まれも育ちも里でござるよ」

 真剣に悩んだようなオシバナを宥め、シャクドは気丈に振舞う。

「別にそれを気にしてはいないわ。ただあれにそこ知れない可能性を感じてね」

 エアトを見つめ、シャクドは言う。

「いい? わたくしが死んだら、そのようにしなさい。これは純忍の一人であるわたくしの命令よ」

「はぁ、承知でござるが……尋常に考えてシャクド殿が死ぬなど……」

「世の中は尋常ではないのよ。わたくしの財産も全部上げるから」

「ええっ!?」

 それ以上の返答は待たずして、シャクドは『自分の身体を自由な大きさに変える能力』で巨大化しつつエアトに猛然と近づいた。

「ぶっ潰す!」

 もう彼女は、尋常に抹殺、など言わない。

 対するエアトは、ただそれを見て舌なめずりをするだけである。

「こりゃ大物だ、たくさん食える」

 エアトに伸ばした巨大な腕は、先からみるみるうちになくなる。

 近づきすぎた足も削られ、達磨落としが如く崩れていく。

 巨大化を常時続けながらシャクドは攻撃を試みるが、どれだけ大きくなろうとやはり攻撃は届かない。

(やはり……無謀過ぎ?)

 手の先がない、ただの巨木のような腕を振るいエアトに砂塵を食らわせる。

 しかし、吹き荒れる砂塵の一部に綺麗な穴が開く。

 無制限にして自由自在な侵食能力、果たしてアグジスのそれとどちらが強いか。エアトの能力は距離以外は無敵といえるのではないか。

 どれだけ巨大化しても、足も手も指先がなくては碌に逃げることもできない。

「オシバナ! 今すぐお願いします! 早く行って!」

 それでもシャクドは巨大化を続けた、自分を囮にこの化け物の足止めをするために。

 腕や足がなかろうと痛みに喘ぐこともなく、シャクドはただ使命を全うした。


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