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アナザーフェーズ  作者: 陽田城寺
防戦・ナーダ大陸!
26/38

アークスVS赤忍者

 帝都南にすぐ町がある。

 人口三千に満たない小さな町であるが、帝都に糧秣を届けるための『帝都専属農家』のような役割があり、ただでさえ科学が遅れ気味のプライム・ユニオンの中でも、一層未開である。

 最近は首都に移り住む者も多いが、のんびりと農業に勤しみ時折帝都で劇など大衆娯楽を楽しむのはこの大陸の老人が持つ密かな流行である。

 そんな町にアークスが訪れた時、既に外を出歩く者はいなかった。

 まだ日が赤くもないのに誰もいないとなると怪しいを通り越し、確信を持つ。

「おーい!! 誰かいるのか!?」

 あらん限りの声を振り絞り、アークスは叫ぶ。

「ニンニンッ! 尋常に目ッ殺(めっさつ)!!」

 どこからか飛び来た忍者は茶色に近い赤の装束を着て、その隙間の目からバチバチと音が鳴る青白い光線が、飛び出た。

「なにぃ!?」

 目からビーム、というやつである。

 アークスは最初オーラで弾こうとしたが、なんとそれは斥力によって弾かれない。すかさず体を動かし横に避ける。

「拙者の『熱死線』から逃れられると思うな!」

「要は目からビーム出すだけだろ? 見られたら死ぬわけでもない」

 そうは言いつつ、ひやひやものである。

 ビームが当たった家は煙を起こし赤々と燃え始めている。どうやら熱の名の通り炎のようなものらしい。

 それを確認し、アークスは赤忍『赤錆のガンリキ』の正面に飛んだ。

 高く飛び、オーラで微調整を繰り返しながら徐々に近づく。ガンリキはそれを仰ぎ見て、首を動かし、徐々に後ずさりして、限界まで来たところで。

 急降下したアークスの両足が、ガンリキの顔面に降り立つ。

 ガンリキは首が変な方向に曲がりつつ天を仰ぐように倒れたが、その目から光線は出ない。

 ガンリキはそのまま意識がなくなったらしいのだ。

 思いっきり後ずさってアークスを見ればまだ一矢報いたかもしれないし、思い切りなぎ払うような動きができればダメージを与えたことは間違いない。

 それをしなかった理由は、ガンリキの未熟と油断である。

「まず一人目。ふぅ、意外とちょろいな」

「それはどうでござるかな!?」

 再び、どこからともなく忍者が現れる。

「ニンニン、拙者は茜のクノイチ、テッカでござる! 尋常に撃滅!」

 言うや否やテッカは装束の頭巾を取ると、いや、髪の毛にだけ当てていた布を取り除くと、溢れる赤い髪を曝した。

「おお、何をする気だ?」

「尋常に撃滅!!」

 答えず、テッカはアークスへとひた走る。

 が、安易に近づけるほどアークスも馬鹿ではない。

「髪の毛が武器なわけだ」

 大仰な動きで頭巾を取れば誰でも一目で分かる。

 アークスはオーラを触手のように伸ばしテッカの手足を掴んだ。

「あっ!? 放すでござる!」

「…………」

 さすがにアークスも失笑をきんじえない。あまりの愚かさに。

 しかし止めを刺しにくいのも事実である。

 アグジスのオーラなら消し去れる、エクシェルのオーラなら刺せる、しかしアークスは敵を捕獲できるほど巧みに操れるのにエクシェルのように細く鋭くできない。よって打撃じみた攻撃しかできないのだ。

 しかし、持ち上げることや弾くことができる。それで充分といえる。

 アークスがオーラを伸ばしに伸ばして、テッカを標高十メートル以上まで高く持ち上げる。

「おっ、落とす気でござるか!?」

「ごめんね。運が良かったら生き残るかもよ」

 見るからに狼狽するテッカ、言葉とは裏腹に笑顔のアークス。

 しかしテッカは女性とて選抜された忍者の兵、この程度の高さで死ぬほど柔ではない。

 強靭な肉体、着地術、体術、それら全てが忍者には備わっているのだ。

 生き延びたところで、能力の大体を知られたテッカにアークスを打倒する手段はなく、中途半端な敵の能力を仲間に伝えるべく走る程度しかできないのだが。

 それすらできなかった。

 テッカを放したアークスのオーラが、膨大な斥力を発生させつつテッカを突いたから。

「うごっ!」

 最後の言葉は短く、醜い。

「二人、か」

 アークスは少しだけ油断した。忍者の実力に疑念を抱く。これほどの弱さなら、取るに足らないと。

 そのまま、アークスは村々を解放しつつ南進を続けた。

ニンジャが出て……死ぬ!

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