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最後の日

詩織の席を見る。何度見ても同じだ。

秋月詩織は今日も学校に来ていない。それが日常。

秋人の出国(一般では失踪扱い)に対しての変化は樹の周りでは二つだけ。

凛子が戻ってきて、詩織が居なくなった。

秋人だったらどうするのか?愚問だ。秋人が居ないからこうなった。それなのに秋人を求めるのは樹がしてはいけないことだ。

だが、直視できない。それは樹が弱いからか、人間だったからなのか分からない。ただ樹は秋人の席を振り返る。

難しい事を良く分からないタイミングで意味深く呟く友人。あんな風になれたらといつも思っていた。

今は秋人と同じ実験体になった。でも・・・遅かった。

『人には二種類の人間が居る。俺<自分>を相手<他人>にしたい人間と相手<他人>を俺<自分>にしたい人間』

秋人が良く言っていた。授業の片手間に樹は思い出す。

自分が探している友達。そもそも秋人は一体誰なのか、そして自分はどうするのか。

考えて決断する。もうやめだ。

手を上げる。教師の言葉を待たず立ち上がる。

「今までありがとうございました。」

樹自身驚く程の声量で宣言する。頭を下げる。

『人間のフリをするのは今日で最後にしよう。』

「そうか・・・、困った奴だ。何かあったら言えよ。」

担任の教師は黒板を向いたまま振り返らなかった。

ただチョークを持つ手は止まっていた。それだけで嬉しかった。


『だから、伝えよう。人としての自分の気持ちを詩織に精一杯。』


教室を出て詩織の家に向かう。また一つ歯車が進んだ。

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