第3話「選択の重み」
いつもお読みいただき、本当にありがとうございます。
第3話では、主人公レンが抱える葛藤やこれからの選択について、少し深く掘り下げてみました。
まだまだ未熟な表現も多いかと思いますが、レンの心の動きを感じ取っていただければ幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
夕暮れの街並みがオレンジ色に染まる中、僕は重い足取りで校門をくぐった。
正義スコアは99.999。
その数字は、まるで呪いのように僕を縛っていた。
「レン、君にはもう逃げ場はない」
あの冷たい声が頭の中で響く。ユナ・カゼハヤ。
国防省のエリートであり、僕の正義スコアを監視し、時に処理を命じる存在だ。
彼女の言葉には容赦がない。
「君が“クロウ”として認識された以上、世界は君に試練を与える。選択しろ──従うか、抗うか」
僕はただ黙ってうつむいた。
本当に僕は正しいことをしてきたのか?
“正義”とは何なのか?
子どもの頃、友達をかばって叱られた日のこと。
善意で助けた老人に社会から冷たい視線を浴びた瞬間。
数字に支配される世界で、僕は何度も葛藤してきた。
「本当の正義は、自分で決めるものだ」
心のどこかで叫んだその言葉は、まだ僕の胸の奥で小さく震えているだけだった。
帰宅すると、部屋の端に置かれた端末が一つ、無言で僕を待っていた。
開くと、差出人不明のメッセージが画面に浮かぶ。
「君は、これから何を選ぶのか。世界は、その答えを待っている。」
その文字を見つめながら、僕の正義スコアが微かに揺れた。
まだ何も動いていないのに、数字は動く。
誰かが僕を見ている、そう実感した瞬間だった。
「逃げてはいけない。向き合わなければ──」
僕は決意を新たにし、目を閉じて深呼吸した。
正義の重みは、時に命の重みでもある。
これから始まる戦いの中で、僕は何を選び、何を守るのか。
それはまだ、僕自身にも分からなかった。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。
レンの中で少しずつ変化が始まる回となりました。
読者の皆さまに彼の想いが伝われば嬉しいです。
今後も物語を丁寧に紡いでいきたいと思いますので、どうか温かく見守っていただければ幸いです。
引き続きよろしくお願いいたします。