第1話「歪んだ秤」
はじめまして。
拙い作品ですが、最後までお付き合いいただけると嬉しいです。
この物語は、未来の世界で「正義」が数値で管理される中、主人公レンが葛藤しながら歩んでいくお話です。
まだまだ未熟な部分も多いかと思いますが、レンの気持ちや世界観を少しでも感じていただければ幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
夕暮れの未来都市。ビル群の合間を縫うように飛ぶ監視ドローンが、街を冷たく見下ろしていた。巨大なホログラムが街角に浮かび上がり、人々のスマートフォンに「正義スコア」が表示される。
その中に、17歳の高校生・神城レンがいた。彼のスコアは、99.999。完璧な正義の象徴とされる数字だ。
だが、レンの瞳はどこか冷めていた。
「この数字が何だっていうんだ…?」
教室のざわめきを背に、レンは窓の外の街を見つめる。スコアの高さで得られる特権も羨望も、どこか虚しく感じた。
「おい、レン!今日のランキングでトップ10に入ったぞ!」
幼馴染のシオンが笑顔で近づいてくる。スポーツ万能で明るい彼は、スコアを誇ることが何よりも大事だと思っているようだった。
「数字なんて意味ないさ。俺は、妹を守りたいだけだ。」
レンはそう言って、ぽつりとつぶやいた。彼には、社会の理不尽に苦しむ妹・アカリがいた。
夕方、校舎の屋上。アカリが無邪気に笑いかける。
「お兄ちゃん、私のスコアもあげてよ!」
「もちろん。絶対に守る。」
レンは力強く答えた。彼の心に燃えるのは、数字を超えた“本当の正義”だった。
家に帰ると、古いパソコンの前でレンは「正義スコア」を管理するAI、セラフのシステムを解析していた。
「正義は数値化されるべきもの。感情は誤差だ。」
冷たい機械の声に、レンは眉をひそめる。
「このシステムがある限り、妹は壊される。」
その瞬間、街中に警報が鳴り響いた。
巨大スクリーンに表示される速報。
『反逆者クロウ、出現。国家の偽善者を暴く謎の存在。』
レンはフードを深く被り、決意を込めて呟いた。
「俺がクロウになる。真の正義を示すために。」
レンの瞳に、炎が灯った。
読んでいただき、ありがとうございます。
レンの複雑な状況や想いが伝わっているか不安ですが、少しでも物語に引き込めていれば幸いです。
今後も試行錯誤しながら書いてまいりますので、温かく見守っていただけるとありがたいです。
次回もどうぞよろしくお願いいたします。