表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ファンタジーレコード  作者: 夜桜日々哉
物語の火蓋は切られた
5/35

第五頁 物語の火蓋は切られたその5

本日5話更新予定です。これは5話目です。本日の更新は終了となります。

 発動、失敗、発動、失敗、発動、失敗、発動、失敗、発動、失敗。


 一向に成功する気配は無い。けれど、僕は徐々に確信し始めていた。この窮地(きゅうち)を脱する勝利へと道を、見始めていた。


 発動、失敗、発動、失敗、発動、失敗、発動、失敗。


 そうしている内にいつの間にか、僕の姿は()()()()()()()()()


「っ!?」


 弾が煙の中を突き進み、僕へ直撃したかと思われた後、弾は徐々に風と同化していき、煙は魔力弾の風圧によって霧散した。そして、結果が(あら)わとなる。


 それを見て赤目は驚いているようだった。なぜならば煙が晴れた先、僕が元いた場所であるそこには、()()()()()()()()()()()()


「しまった、煙幕代わりか!」


 そう、煙幕だ。正直付与(エンチャント)が成功するなんて初めから思っちゃいない。最終的に狙っていたのは、少量の黒煙を利用したこの煙幕だ。


 しかも偶然か必然か、赤目の放った魔力弾が風属性だったこともあり煙は霧散し、僕が歩いたルートを示す黒煙も跡形も無く消え去った。これで赤目は僕のことを見失った。赤目のやつに、隙ができたのだ。


 魔法が使えないなら使えないで、失敗だらけなら失敗だらけで、方法はいくらでもある。これが僕にとってのその方法だ。


「くそ、どこだ! どこにいやがる!」


「ここだ!」


「なにっ!?」


 僕が居たのはそう、木の上である。先程僕の魔力弾が衝突した木の上、ここなら赤目の死角から一気に近づけると踏んだ。


 赤目が僕の声に気づいて振り返った先、僕は木の上から颯爽(さっそう)と登場し、一点目掛けて飛びついた。驚きで一瞬硬直していたそいつから引き剥がすのは、そう難しいことではなかった。


 僕は、パラメラを取り返したのだ。


 僕はパラメラの体をこれ以上ないくらいに抱きしめる。自分も苦しくなるくらいに。まだパラメラは起きていないようだから、起きたらまた抱きしめることにしよう。


 ただ、この後は少々怪我をしつつもパラメラを庇いながら着地し、そのまま逃げればいいと思っていたのだが、僕も詰めが甘かったようで、そう上手くはいきそうになかった。


 横を見ると、赤目は魔力弾を僕に向かって撃つ構えに入っていた。まだ体の向き的に撃てはしないだろうが、僕がパラメラを庇いながら着地して無事に逃げられるような余裕もない。万事休すだ。


「こんの泥棒やろうがぁ!」


 確かにこいつは隙を見せた。だというのにこの反応速度だ。これはもはや執念に近いものだろう。こいつにとってパラメラは、それほどまでに執着できる獲物なのだろうか、余程腹でも空いてたのだろうか。その真意は定かでは無いが、その執着心故にここまで動いてるのは事実だ。


 トキメラもまだ来ていない。パラメラも起きていない。周囲には他の人影も見当たらない。


 やっぱり、僕はダメなやつだ。僕一人じゃ何もできない。一番大切なパラメラでさえも守ることができない。


 ごめんよパラメラ……ならせめて、少しでもダメージを押さえられるように。


 そう思い、僕はパラメラの体を赤目から覆い隠すようにして抱きしめ、うずくまろうとした。

ここまで読んでくださりありがとうございます!


今回のお話はお楽しみいただけましたかね?

読者の方々が「ひゃっほーい!!!!!!!」と声を大にして叫べるような作品を志してどんどん投稿していくので、楽しんでいただけたのであれば幸いです。


まだまだ字書きとして未熟な者ですが、レビューやコメント、ブックマークをしてくださると、活動をしていく際に大変励みになります。

是非よろしくお願い致します!



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ