3:闇キャベツ団との戦い
王都の地下――そこはかつて、王家の秘宝を安置する神聖な場所だった。
しかし今、その神殿のような空間は黒くよどんだキャベツの根に覆われ、不気味な光を放っていた。
「……ここが、竜王キャベツのある場所か」
俺はじっと前を見据えた。
「気をつけて、一真。ここには闇キャベツ団がいるはずよ」
リーファが慎重に剣を構える。
そして――
「ククク……よく来たな王女様!」
闇の奥から、黒いローブに身を包んだ男が現れた。
その名はザバ・サウザンド。
「お前が闇キャベツ団のボスか」
俺が睨みつけると、ザバはニヤリと笑った。
「そうだ。そしてこの闇キャベツの力で、俺は世界を支配する!」
そう言ってザバが手をかざすと、周囲の黒いキャベツの根が蠢き、地面が裂ける。
「来るわ!」
リーファが叫んだ瞬間、巨大な魔物が現れた。
腐ったキャベツゾンビとキャベツゴーレム。
「うわ……見た目も臭いも最悪だな」
「文句を言ってる暇はない! 来るわよ!」
腐ったキャベツゾンビがこちらへ襲いかかる。
俺はすぐにスキルを発動。
「キャベツ探知!!」
ピキーン!
スキルの効果で、敵の弱点が浮かび上がる。
「リーファ! キャベツゴーレムの魔力核は左肩だ!」
「了解!」
リーファが素早く剣を振るい、キャベツゴーレムの左肩を一閃。
サクッ!
「グオオオオ!」
ゴーレムが崩れ落ちる。
「すごい……本当に弱点がわかるのね!」
「当たり前だろ。俺のスキルはそれしかない!」
だが、まだ敵はいる。
腐ったキャベツゾンビが群れをなして押し寄せてくる。
「ポチ! 出番だ!」
「ポチィィィ!!」
俺の後ろから飛び出したキャベツスライムのポチが、ゾンビの群れへ飛び込む。
「ポチ、食え!」
ポチはゾンビキャベツを次々に飲み込み、その体が光る。
「ポチ・エボリューション!!」
次の瞬間、ポチは進化し、巨大なキャベツベアへと変貌した。
「ポチィィィィ!!!」
「すごい……キャベツを食べて進化したのね!?」
「こいつはキャベツなら何でも食う。例え腐っててもな!」
パリッ!パリッ!パリッ!
ポチの爪がキャベツゾンビを次々に粉砕し、戦場は一気に片付いていく。
「フン……思ったよりやるな」
ザバが舌打ちをしながら手をかざす。
「だが、これで終わりではないぞ……!」
すると、天井が崩れ、巨大な影が降ってきた。
「なっ……!?」
それは、闇キャベツの鬼。だが、頭がキャベツのため、あまり怖くない。
「これが……ザバの奥の手……!」
漆黒に染まったキャベツの巨体が、禍々しい魔力を放ちながら、こん棒を振るう!
「ウガァァァ!」
ドゴーーーーン!!
ポチが、一撃で、吹き飛ばされる!
「ポチィィィィ」
「こいつは、見た目とは裏腹に強いな……」
「逃げる?」
「まさか。俺のスキルを見せてやるよ」
俺は再びスキルを発動。
「キャベツ探知・詳細探知モード!」
ピキーン!!
視界の中に、闇キャベツの鬼の唯一の弱点が浮かび上がる。
「リーファ! 頭の中央にある核を破壊すれば勝てる!」
「わかった!」
「ウガァァァ!」
リーファが剣を構え、キャベツの鬼の攻撃を躱し、渾身の一撃を繰り出す。
「はあああああ!!」
――ズバァァァッ!!
剣が闇キャベツの鬼の核を貫いた瞬間――
パリッーーーン!!!
闇キャベツの鬼は、消滅した。
「や、やった……!」
「フン……ふざけたスキルだと思っていたが、なかなか面白いじゃないか」
ザバは苦々しい表情を浮かべながら、奥の部屋へと退いた。
「だが、俺の目的はまだ終わらん……!」
俺とリーファは奥の部屋へと進む。
そこにあったのは――
魔方陣の上に置かれた竜王キャベツだった。
「ついに見つけた……!」
だが、その魔方陣の前で、ザバが笑みを浮かべていた。
「フフフ……貴様らが、ここまでやるとはな」
「……何を企んでる?」
「竜王キャベツを“闇キャベツの核”に変え、世界の魔力を俺が支配するのだ!」
「なにぃ!?」
その瞬間、ザバは呪文を唱え、竜王キャベツが闇に染まり始めた。
「しまった……!」
「ハハハハ! これで俺はキャベツ魔王となる!!」
次の瞬間、ザバの体が闇に包まれ、邪悪なオーラが吹き荒れた。
――これは、ただのキャベツの奪還戦では済まない。
世界の命運を賭けた最終決戦が、今、始まる――。