ヤマト=サクラ皇国
↑同国の国旗
ヤマト=サクラ皇国
<地理>
龍造国の「地区」であった大和と時雨が大和国と櫻皇国として独立したのち合併した国。海洋国家であり、春夏秋冬といった季節がある。
首都は西都と多賀であり、複都制をとっている。これは大和国と櫻皇国の首都であったところをそのまま、ヤマト=サクラ皇国の首都として制定したためである。
西都は元櫻皇国の首都であり、現在の君主である天皇がいる上京となっており、主要な首都機能を有する。多賀は元大和国の首都で陪都であり「帝」の邸宅がある。こちらは海外の使節を迎えるなどの外交的な機能を有しているが、大規模災害等により首都機能あるいは外交機能の喪失を防ぐために両首都の間では常に情報交信が行われている。
★「遠野」
多賀の近くには妖怪が集団生活をする自治体があり、「遠野」と呼ばれている。
遠野は主に近代から生きている妖怪たちが集まっている区域であるが、元々この区域は彼らは妖力が強力であるために人間や他の妖怪に疎まれたり、開発などにより住処を失うなどの理由で元々居住していた土地から離れざるを得なくなってしまった妖怪たちが避難するための区域であった。
そのため、区域にはかなり保守的な妖怪が多く住んでおり、人間や付喪神、近代以後のテクノロジー機器に対して嫌悪感を抱く妖怪も少なからずいる。中には過激な者もおり、人間の痕跡を感じただけで激昂するような者もいる。
また、妖力の強い妖怪たちが集まっていることから、区域内は妖力が充満しており、時空にも影響を与えている。そのため、遠野内は四季が同時に存在し、昼夜も同時に存在する異世界となっている。これら強力な妖力は人間や未熟な妖怪・付喪神などに悪影響を及ぼす場合があり、自身の妖力の制御不能、自我の一時的喪失などを引き起こす可能性がある。
以上を踏まえて区域内の妖怪と外の存在を守るため、区域への玄関口となる「三途の川」「遠野駅」「銀河ステーション」では簡易的な入域検査を行なっており、許可されたものを除き、電子機器の持ち込みや武器・捕獲機の持ち込みはできない。また、酔っ払った状態での入域も禁止である。(中で飲むのは自由)
前述の通り、異世界となっているため、上空から見た面積と実際の面積が異なる。上空から見ると約2.200 km²(東京都と同程度)であるが、実際の面積は約14.900km²(岩手県と同程度)となっている。
この広い域内を結ぶ手段として、「夫婦鉄道」(<交通>にて解説)と相互乗り入れをしている「遠野満天列車鉄道」(通称・「遠野銀河鉄道」)が走っており、「三途の川」「遠野駅」「銀河ステーション」「迷い家」(1)「恐山総合妖怪病院(遠野分院)前」などを通る。
↑「遠野満天列車鉄道」のマーク
この地域は「年寄会」と呼ばれる妖怪たちが自治しており、主に話し合いによって区内のさまざまなことが行われている。
「年寄」は10名で構成され、主に区内の名士が選ばれており、ここ140年は顔ぶれに大きな変化はなく、議長の「ぬらりひょん」御大は300年以上、年寄会に在籍している。
また、比較的若い妖怪たちで結成された「青年会」もある。高齢の妖怪たちの手伝いや節句ごとの節会の準備・運営などを行うほか、新参者に対する世話役も担う。「年寄会」の話し合いに参加することも多い。現在の青年会リーダーは「花子さん」であり、歴代最年少リーダーである。
区域内の妖怪たちは人間との関わりを嫌う一方、数人の人間を名誉区民として表彰しており、一定の崇敬を集めている。彼らは現在も「魂」の状態で区域内に居住しており、「山猫軒」(2)付近に彼らの「魂」が鎮まっている墓がある。現在、墓は「水木」「柳田」「宮沢」「画狂」の4つだが、無記名の墓が1つある。
遠野内にある山のどこかには「幽霊族の親子の家」がある。ここは「キタロウ」と名乗る高位存在が居住しており、人間や妖怪からの事件の依頼を受けている。
彼らは現在確認されている種族のどれとも一致しないDNAを持っており(3)、「キタロウ」は特徴的なちゃんちゃんこと下駄を履いた10歳程度の少年という外見をしている。その父親を名乗る存在は動く目玉としか形容できない外見をしており、異常な物理耐性と妖術耐性、生命力を持つ。
時折、この「幽霊族の親子の家」には強烈な異臭を放つねずみ顔の男と猫顔の少女が出入りしている。(猫人ではないようである)また、ごく稀であるが、少年によく似た白髪長身の男が少年を抱えて家の中に入る様子が確認されているが、正体は不明である。詳細について「キタロウ」に心当たりはあるようだが、詳しく語ろうとしない。
<産業>
主に貿易で成り立っており、最大の輸出品目は絹とその加工品、香木である。商売人が多く、世界最大の貿易会社「三鱗」の拠点がある。
<国民>
古代日本語と現代日本語が混ざった言葉を話し、最大の貿易相手国である神聖アヴァロンの言葉を話せるものも多い。
妖怪と鬼(4)、狐狸(5)が人口の大半を占め、人間は少ない。紙と墨を用いる文化であるが、IT技術も低くはない。
また、妖術(6)を中心に最先端技術も取り入れるなど伝統を重んじつつ、最新技術も利用する国民性である。最近は大鳥居(7)をゲーミング仕様にしたことが話題となっており、とある社会学者は「既存のモノを改造するのが好きな国民性」であると指摘している。
<政治>
現在の国家体制は元櫻皇国の統治機構をそのまま流用しており、天皇による制限君主制をとり、天皇の補佐機関・実務機関として「宮廷」を設置している。天皇は世襲制であり、即位の際は勾玉と呼ばれる半貴石を新天皇に引き継ぐ「御神賜御八尺勾璁乃儀」が行われる。
元大和国となっていた地域では世襲制の「帝」による専制君主制をとっており、代替わりの際には祖霊を憑依させた神祇官から、微量の魔力を帯びた鏡を賜わる「御神鑑御遷能大儀」という儀式を行っていた。
現在の帝は87代目にあたる人物で政治的権力は有さないが、特に元大和国民から大変な崇敬を集めており、季節ごとに花見や雪見の会を催している。
<交通>
この国の交通は鉄道・飛行機・船がある。
陸路を結ぶ鉄道には狐と「オシラサマ」と呼ばれる存在が運営する「比翼連理鉄道」(8)(通称「夫婦鉄道」)があり、国内移動は主に鉄道で行われることが多い。
この「夫婦鉄道」は「きさらぎ駅」「霧島駅」「黄泉平坂」「西都」「大鳥居前」「上野駅」「新宿駅」「遠野駅」などの主要駅に乗りいれるイザナギ線と「根の国」「黄泉平坂」「皇居」「多賀」などを結ぶイザナミ線からなる鉄道である。
この鉄道はレール上の車輌を二頭立ての「馬の骨」(9)が牽引する方式をとっており、この「馬の骨」は輓馬と同様の骨格を有し、比較的穏やかな種である。「馬治」と「憂風」、「阿形」と「吽形」(10)の2組で運営されており、3日おきで交代して運営されている。
敷設されたレールも意思を持った存在であり、(付喪神に近いもの)時折、長さが変化するため、総走行距離は測定不能である。一説には9000キロ超と言われている。車輌内の照明などは「狐火」が担っており、電気エネルギーの必要がない。そのため、車両の駆動方式と合わせて、環境にやさしい鉄道といえる。
↑ヤマト=サクラ皇国の鉄道路線図
海路を結ぶ船は西都ー多賀間を1日3回往復する国内定期便があり、旅客や貨物を運んでいる。
また、西都から龍造国を直接結ぶ「無目籠号」が週に3回発着し、多賀からは「猿田彦号」が週に2回発着している。後者の船の方が大型船となっており、旅客と貨物を運ぶ。
また、西都ー龍宮國を結ぶ定期便も就航しており、これらは「潮つ路旅客運送」が運営する航路である。
国内の航空会社には「八咫烏航空」があり、業界シェア8割を占めている。国内は鉄道が主な移動手段であるため、西都ー多賀間の直通便しかないが、国際線は豊富であり、現在200カ国以上に就航している。
この会社は「ヤタガラスマッピングシステム」を採用しているため、安全かつ確実に旅客を運輸することが可能である。また、同システムの機能により、常に最短距離での運行が可能である。そのため、同社ではサーチャージの料金体系はない。
さらに同社は国内唯一の「魂転送運行技術」を有しており、肉体的な不快感を一切感じないまま、空の旅が楽しめる。
昨年、アリスタン王国の「ラグ・エア」と同地で合弁会社を設立し、新たに「太陽の船エアライン」を運営しており、「太陽の船エアライン」にヤタガラスマッピングシステムをはじめとした技術提供を行っている。
↑「八咫烏航空」のマーク
註釈
(1)「女将」が切り盛りする温泉宿であるが、通常は霧と同化しており、たどり着くことはおろか、視認することもできない。しかし、「ケガレ」が溜まった神や妖力の弱った妖怪、「人の温かみを知らずに育った」人間が助けを求めた時にだけ現れ、中に入ることができる。お代はその存在の「笑顔」である。ここの「女将」がつくる卵豆腐は絶品と評判。
(2)巨人症の虎人が経営する西洋料理店。サラサル王国で修行を積んだシェフとその弟子の3人で切り盛りしており、比較的安価で美味しいと人気のお店である。メニューには人肉を使用した料理もあるため、鬼などに好評である。そのような料理を間違えて人間が食べないようにメニューには「ニコちゃんマーク」がついている。
(3)本人たちは自身を「幽霊族である」と主張しているが、現在、そのような種族は他に確認されていない。
(4)巨躯なる体で頭部に2本のツノをもち、鋭い牙を有する種族。いくつかの下位分類があるが、共通する特徴は豊かな筋肉と頭部に生える2本のツノであり、性格的には怒りの発現が多く、酒を好む。また、動物の肉、特に人肉を好み、それらは体内で直接筋肉に変換される。生命力が強く、戦車の砲撃程度であれば致命症とならない。寿命は300年から500年程度。ツノは基本的に2本生え、男性は頭のてっぺん、あるいは狼の耳と同一位置に生える。女性の場合は額から生えるか、あるいは狼の耳と同一位置に生える。生え方は個人によるが、必ず2本一対で同一の場所に生える。ただ、稀に1本だけ生える者もおり、「隻角」と呼ばれる。
(5)狐と狸。これらは動物の中でも特に強い妖術を使える種族であり、人間や妖怪に化けて生活することが多い。獣人とは異なり、動物的な体毛や尻尾などの外見的な特徴は見られないが、鋭い嗅覚や聴覚などは狐狸のそれと同様である。あくまでも人間に「化けているだけの獣」である。ただ、一方で人間あるいは妖怪社会に違和感なく順応できるレベルの高い知能や感情を持つため、他の動物とも別の種族として考えられている。彼らが人間や妖怪に化ける理由は不明だが、専門家は「彼らなりの生存戦略ではないか」と分析している。
(6)魔術の類似概念。学派によっては魔術の下位概念と位置付けられる。魔術が環境に作用するのに対して、妖術は生物に対して作用する。
(7)東京タワーみたいなもの。
(8)創始者でもある「オシラサマ」の「(一人に)比して連りに理を翼ける」という理念からきている。解釈としては「一人ではなく、みなで何度でも現実世界を支えて(良くして)いこう」ということである。
(9)簡単に言うと骨だけになった馬である。
(10)「夫婦鉄道」にふさわしい名前だが、 「吽形」の方は「馬の名前に牛の漢字を使うな」と不満が残るようである。