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第四話 セイント・クレア

 そういえばなんでウチは誘拐されたのだろう?

 出されたコンビニ弁当をつつきながら今更な疑問をいだく。だがそれに答えてくれそうな人間は、この部屋にただひとつもうけられたドアの前に鎮座ちんざする男だけしかいなかった。

 そんなことを考えながらそちらの方を見ていると、不意におもてをあげた彼と目が合った。何人なにじんにも見えるし何人にも見えない顔立ちにワイシャツ姿のサラリーマンぜんとしたその人は、少しだけ申し訳なさそうにはにかんだ。


「もう少しだけ我慢してくれないか」


 この発言もそうだし車に乗っていたときもそうだったが、彼らはなにかと気をかせてくれた。そんな調子だったからか、ストックホルム症候群ではないがウチの心の扉をひら──


「トイレは」


 心の扉は勢いよく閉ざされ、代わりに部屋の扉が開かれた。



 * * * * *



 連れていかれた先は倉庫のようなだだっぴろい空間で、そこには修道服に身を包んだ女性が立っていた。

 彼女は最初にあいさつをべ、次に手荒な真似をしたことへの非礼をびてきた。ウチの後ろに立つ4人の分まで。

 いまだかつてないほどらしくない誘拐犯の登場に、こういう時どんな顔すればいいのかわからないでいると、どうやらそれを警戒と受け取ったらしい彼女は優しくさとすように微笑ほほえんできた。そしてウチからの信頼を得んと、ここに連れてきた理由を話しはじめ──


「そこまでだっ!」


 謎の声がそれをさえぎった。

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