表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/26

第二話 ASMR

「ぺ~こぺこぺこ~」


 スピーカーから流れてくるCEOを名乗る男性のなんとも調子の外れたあいさつを聞きながら朝食の最後の一品ひとしなを作り終えると、それを手にリビングへと向かった。




「いただきます」


 いつもどおりの誰もいない食卓に向かって手を合わせ、これまたいつもどおりの食事を口に運ぶ。

 うん、美味しい。と、ひとしきり心の中で自画自賛じがじさんタイムを堪能たんのうしているとそこにテレビからのニュースが割って入ってきた。

 内容は連続失踪しっそう事件について。15年前からはじまったそれは解決の糸口さえ見つからぬまま今なお続いていた。

 そう、つまりこれもまたいつもどおりなのだ。

 そんなことを考えていたらいい時間になっていたので、ウチは手早く残りを片付け高校に行く準備に取りかかった。するとスカートに片足を突っ込んだところで、机の上に置いてあったスマホからメールの通知音が流れてきた。



 * * * * *



 川岸にある公園のベンチに腰かけながら今朝のオトンからのメールを思い出す。そこには一言『今日は遅くなる』とだけ書かれていた。唯一の肉親であるオトンの晩ご飯の支度したくをしなくてもいいので、早く帰る理由がない。なので先ほどからこうしてひとり鴨長明かものちょうめいごっこをしているわけなのだが、いい加減それにも飽きてきた。しかし帰ろうという気分にはどうしてもなれなかったので、動画でも見てひまをつぶすことにした。すると、こんな時間には珍しいASMRのライブ配信がオススメにあがってきていた。普段ならスルーするところだが、この時はまるでなにかに誘われるようにそのライブストリーミングを開いていた。

 イヤホンから白上しらかみスノウストームと名乗るVtuberの女性の甘いささやき声が聞こえてくる。それは耳をくすぐり、心をたかぶらせ、ついには意識をまどろみの中へといざなっていった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ