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【2/15 書籍3巻発売】お狐様にお願い!~廃村に残ってた神様がファンタジー化した現代社会に放り込まれたら最強だった~  作者: 天野ハザマ
第十二章

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お狐様、月岡温泉に行く

 新潟県新発田市月岡温泉。

 それは新潟の中心地からは少し離れた場所にある温泉地である。

 旧時代は新潟県の温泉地の中では泉質こそ最高と言われながらも立地のせいで苦労している場所でもあった。

 しかしながら、その窮地を空き家活用などで店舗を増やし日帰り客の呼び込みなどを積極的に行い引っくり返してきたバイタリティ溢れる温泉地でもあった。

 毎年一つの新しい店が増えていくというスタンスは、勿論その全てを毎日営業するというわけにはいかないながらも常に新しさを呼び込んできた。

 ……だが、かつてのモンスター災害は当然のように月岡温泉をも襲い、あらゆるものを無茶苦茶にした。

 それでも培ったバイタリティは諦めることを知らず、再度立ち上がった不屈の象徴のような場所なのだ。


「ま、要は努力の塊よね」

「うむうむ。人の強さを感じる良い話じゃのう」


 サリナのマネージャーの運転する車の中で、サリナとイナリはそんな月岡温泉に関する話をしていた。

 旧時代は泉質に恵まれながらも客数に結びつかない温泉地などというものはいくらでもあった。

 しかし今の時代、温泉には少なからず魔力が含まれるようになり……元々効能という温泉力の強かった温泉はその効能を増し、増やしていった。

 つまるところ、月岡温泉も現代では誰もが注目する場所になったのだ。


「……まあ、距離的に不利であることには変わりないけど。電車もないし」

「電車、のう……まあ、事情は聞いとるが、仕方ないのう」

「進路にうっかりダンジョンゲートが出来たら死の直行便だものね。そういう事件もあったし」


 そう、電車や新幹線の普及によって短縮されていた全国各地の移動時間は再び大幅に増えている。

 それもこれも、ダンジョンゲートがいつ何処に現れるか分からないからであり、実際過去に線路上に出来たダンジョンゲートが走行中の車両とその乗客を全て吞み込んでしまった事件が複数あったからでもある。

 突然目の前に現れるダンジョンゲートを回避できるはずもない……電車という交通網が廃止されてしまったのも時代の流れではある。

 そのせいでかなり行きにくくなってしまった場所も多いのだが、それはそれ。

 草津に簡易的な空港が出来たように、人間はなんだかんだと適応していくのだから。


「そういう意味では月岡はよく復興できたものじゃのう」

「そこはそれ、泉質よ。今の時代は特に重要でしょ?」

「うむうむ。斯様なとこで産まれたというのも実に……」


 と、そこでイナリは一度言葉を切る。以前ヒカルに見せられた雑誌にサリナのインタビューが載っていたことを思い出したからだ。

 簡易的なプロフィールも載っていたが、確かあそこには……。


「そういえばサリナや」

「なによ?」

「七絶魔界だとかいうのが故郷だとかではなかったのかの?」


 イナリのどうしようもなく純粋な質問に、サリナは「はぁっ⁉」と変な声をあげてしまう。

 確かにキャラ作りとして、そう公言はしているけども。

 するっと口から出てくるように何度も練習したし今はするっと出るけども。


「な、なんで知ってるのよ!? 貴方にはそれ言ったことないでしょ!?」

「うむ。以前雑誌を見てのう」

「私がインタビュー受けてる雑誌って大抵はサブカル系なんだけど⁉」

「ふぁっしょん誌に載っておったではないか」

「た、確かに一回あったけど……そんなの見るタイプじゃないでしょ!」

「そういうのに敏感な友がおるでのう。似合っとったよ」

「ありがと! でもアレだってキャラ作りの一環なんだってば!」

「サリナちゃん、普段ジャージだものね」

「運転に集中しなさいよ!」


 会話に混ざってくるマネージャーにサリナが叫ぶが、その時の雑誌の特集が黒の着こなしだとかで、サリナに白羽の矢が立った上に「何物にも染まらぬ黒。如何様にでも変化するイメージは深淵を指し示すか――」みたいなキャッチコピーまでついていたのである。

 パブリックイメージを守るために衣装棚に入っていた『私服』が功を奏した仕事ではあったのだけれども。


「別にそこまでこだわらんでもええと思うがのう」

「狐耳のじゃ巫女に言われたくないんだけど……」

「儂の耳は天然モノじゃから……」

「ほんっとビックリしたわよこれ……」


 イナリの狐耳をもふもふと触るサリナだが、こういうのも才能だと思えてしまうのはキャラ作りというものにこだわっているからだろうか?

 ヒカルのように元々の性格に似たものに移行できるなら良いのだが、サリナの場合は「暗黒魔導士」というジョブのパブリックイメージを作ったのもあって、そう簡単に変えられない。

 中二病の権化のようなジョブを「憧れ」に変えた責任は大きすぎるのだ。

 まあ、今でもその考えは間違っていないと思うし、やり直しの機会があったとしてもサリナは同じことをするのだけれども。


「……まあ、イメージってのは大事よ。貴方も巫女とかのジョブのイメージを押し上げてるんだから」

「儂のじょぶは『狐巫女』なんじゃが」

「同じよ、同じ。大衆からしてみればね」


 そう、一般大衆からの「イメージ」とは結構大雑把なものだ。

 だからこそサリナは今のキャラ作りをやめられないし、イナリのおかげで巫女が人気になっているのも、覚醒者がアイドルみたいな扱いなのも……全部そういうイメージがあるからなのだ。

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― 新着の感想 ―
ダンジョン発生率が想像以上にえげつなかった……(汗。 中二病を仕事にするのは下手に我に返れなくてとても辛そうですw
そこに触れてあげないで! しかも自覚しつつ、現在進行形だと更に効果覿面だし…w
設定上の故郷の名前よwww じょぶに関して細かい分類まで正確に何度も周知でもしない限りは、わかりやすい大枠で広まるだろうしなぁ 公開情報次第ではイナリちゃんのじょぶが巫女系なのは知っても「狐巫女」であ…
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