表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【2/15 書籍3巻発売】お狐様にお願い!~廃村に残ってた神様がファンタジー化した現代社会に放り込まれたら最強だった~  作者: 天野ハザマ
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/422

お狐様、騒動の中心になる

 おにぎり。ほっかほかのシャケ握り。

 シャケを焼いてほぐすのもいいが、現代にはシャケフレークがあるのも見逃せない。

 お手軽にシャケを好きなだけご飯に詰め込んで、キュッと三角に握る。

 海苔はつけてもつけなくてもいい。シャケがあるだけで幸せは保証されているのだから。

 そう、イナリは海苔の力を信じているが、同様にシャケの力をも信じていた。


「ふふふ……こうして並んだしゃけ握り。ああ、美味そうじゃあ……いやいや、ダメじゃダメじゃ。台所で食べるのは無粋に過ぎる。キチンと食卓に運ばねば……」


 とろけたような表情をキリッと引き締めて、イナリはシャケ握りの乗ったお皿を食卓へと運んでいく。

 すでに熱いお茶は用意してあるので、あとは食べるだけだ。

 ほっかほかのシャケ握り。ふんわりと伝わってくるその香りは、もう美味しいと確定しているかのようだ。


「現代とは実に罪な時代よのう。まさかしゃけふれえくなるものが売っておるとはの。梅干しもええもんじゃが、しゃけの白飯との相性は完璧じゃからのう……それをまさかほっかほかで食える時が来るとは! ああ、もうたまらん! いただきま」


 イナリがシャケ握りを口に運ぼうとしたその瞬間。


 ピンポーン

「キエー!」


 何度聞いても慣れないインターホンの音が響き、イナリはシャケ握りを持ったまま椅子から飛びあがる。


「い、いんたーほん……! 毎度のことじゃがあれ、音がでかすぎるんじゃないかのう……!」


 名残惜しそうな表情でイナリはシャケ握りを皿に戻すと、カメラ付きインターホンの画面の前へと歩いていく。するとそこには、安野の姿が映っていた。


「むう? 安野か。一体何の用かのう?」


 通話ボタンを慣れない手つきで押して「おー、安野。こんにちはじゃ」と声をかける。


「あ、狐神さんこんにちは! 実はちょっとお話がですね」

「後で出直してくれるかのう」

「えっ」

「今儂、ちょいと忙しいんじゃよ」

「ええ!? そ、その! そんなにお時間は取らせませんので! 緊急の話があるんです!」


 緊急。そう言われてしまうとイナリとしても無下には追い返せない。

 チラリとテーブルの上のシャケ握りに目を向けると、小さく溜息をついて玄関まで走っていきドアを開ける。


「こんにちは! 上がってもよろしいですか?」

「まあ、ええがのう」


 そうしてリビングまで行った安野はテーブルの上に乗っているシャケ握りとお茶を見て「あ、やっちゃった……?」という顔をする。


「お食事中申し訳ありません……でも本当に緊急なんです……」

「うむ、構わんよ。それで何の用かのう?」

「あ、お食事しながらで構いませんので」

「それは行儀が悪かろう? いいから話すとええ」


 シャケ握りとお茶を横に除けるイナリに頷くと、安野は鞄の中から資料を取り出し始める。


「実は先日狐神さんがオークションに出品された兜と剣なんですが、オークション始まって以来の最高額を叩きだしました。おめでとうございます」

「あ、うむ。ありがとうのう」

「は、反応薄いですね……結構凄いことなんですが」

「そんなこと言われてものう」

「合計4億3200万……こんな額が出たのは初めてです。やはりセット装備というのが効いたんでしょうね。此処まで高額となると落札者に直接来ていただく形になるんですが……ちょっとその相手がですね、クラン『ジェネシス』のマスターなんですよ」


 クラン『ジェネシス』。日本の10大ギルドの1つであり、マスターの「竹中 洋一」は優秀な遠距離ディーラーである。つまり、剣も兜も使わないジョブなのだ。

 そんな竹中が何故オークションでオークジェネラルの剣と兜を競り落としたのか?

 

「その答えが、つい先程公開されたこの動画にあるんです!」


 覚醒者専用ポータルサイトからもリンクしている覚醒者専用の動画投稿サイト「ウィーチューブ」。視聴だけなら一般人でも出来るこのサイトにある『ジェネシスチャンネル』。

 安野が再生ボタンを押してイナリに差し出してきた覚醒フォンの中では、竹中が弁舌を振るっている。


―と、このように僕たちジェネシスはこの剣と兜を競り落とした! 勿論適切に使用できる者に貸し出すつもりだが、これは僕たちからのメッセージでもある! このアイテムをドロップした人は、物凄く有望な覚醒者だと考えている―

「ほー……?」

―やったのは剣聖か、それとも黒の魔女か、それとも僕たちの知らない団体か……誰であるにせよ構わない。僕たちジェネシスは君、あるいは君たちを歓迎する! これを競り落としたように、何処よりも良い条件を出せる自信がある! 連絡先は……―

「とまあ、こんな感じです」

「ふむ……」


 イナリは真面目な表情で覚醒フォンの画面を見ながら、動画再生後の「関連しているかもしれない動画」の項目を指し示す。


「なんか『東京第4ダンジョンの件の真実をお話しします』ってたいとるが幾つもあるんじゃが……」

「あ、それは気にしなくていいです」

「む?」

「なんかこう、そういうものですので狐神さんはあんまり気にしなくていいと申しますか……まあ問題はそこじゃないと申しますか」


 そう、問題は超大手クランの『ジェネシス』がこんな動画を公開したという一点にあるのだ。


「すでに狐神さんを特定しようという動きが広まっています。例のタチの悪い連中の動きも加速すると思いますので……その件で今回、ご相談に来たんです」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
書籍版『お狐様にお願い!』2024年8月10日発売!
『お狐様にお願い!』1巻書影
各種書店様でも 【予約受付中!】
― 新着の感想 ―
オイタする者なら正面から叩き潰していけばいいのではないかのぉ?
ご飯時に来るとはなんとも間の悪いwwww 200万という端数?があるのがオークションでギリギリまで競り合った感があって好いのぅ
[一言] そんなに評判を地の底まで落としたいだなんてマゾ集団かな?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ