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【4/15 書籍2巻、コミック発売】お狐様にお願い!~廃村に残ってた神様がファンタジー化した現代社会に放り込まれたら最強だった~  作者: 天野ハザマ
第七章

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お狐様、勇者と東京第8ダンジョンに挑む

 東京第8ダンジョンは「古城型」と呼ばれるダンジョンだ。以前神の如きものの使徒が入り込んだことがあるが……入れば古城の中に入り込んだかのような構造であるが、一定周期で内部構造が切り替わるという厄介な性質を持っていた。

 それでいて、内部には無数の罠も仕掛けられている。前回イナリが行った際にはそこに更に神の如きものの力による惑わしもかけられていたが……今回は拡張だ。単純に攻略難易度が上がる上に、「何」が出てくるか分からない。

 実際、今回ダンジョン拡張を確認した覚醒者たちも「これは拡張だ」と分かった時点で撤退して連絡してきたという。

 ダンジョン攻略をビジネスとして考えているからこそ、未知の浪漫に命をかける……といったような気概はあまりない、という証明でもある。

 さておいて、覚醒者協会としても「未知に飛び込め!」と無責任には言えない。だからこそ「何があっても問題なさそうな人物」にお願いする必要があり……丁度本部にそういう人間が2人いた。


「よろしくな! 狐神さん!」

「うむ」


 そう、日本ランキング1位『勇者』蒼空陽太、10位の狐神イナリの2人である。報告の後、覚醒者協会のヘリで即座に現場に飛んできた2人だが、その違和感は入ってすぐに明らかになった。


「それで? この状況、どう思うかの」

「そうだなあ。俺も此処来たの結構久しぶりだからアレだけど……」


 廃城のようだった雰囲気の東京第8ダンジョンはまるで真新しい城のように明るく、あちこちに装飾も煌いている。そして何よりも……リビングメイルたちが全然違う。より豪奢に「城付きの兵士」の如く飾られた鎧たちが剣や斧を構え、こちらを包囲するかのように距離を詰めてきている。


「聞いてた拡張とは少し違う気がするな。とはいえ……」

「うむ。まずはやるしかあるまい!」

「オッケー!」


 言い合うなり蒼空が飛び出し剣を振るうと、迎撃しようとしていたリビングメイルたちを一気に弾き飛ばし吹っ飛ばす。


「ブレイブオーラ!」


 叫ぶと同時に蒼空の剣を輝くオーラが覆い、リビングメイルを溶断するように切り裂いていく。凄まじい威力だが、別の場所ではイナリの狐火がリビングメイルに着弾し爆破していく。普通にやっても弱点らしきものが存在しないリビングメイルは、こうして行動不能にすることでようやく「死ぬ」のだ。その辺りがどういう仕組みによるものなのかは不明だが、とにかく2人の戦い方は此処に非常に合うものだということだ。

 そうして最後の1体が倒れると、周囲に魔石やら装備やらが残るが……そのうちの剣の1本を蒼空が持ち上げる。


「ふーん。高そうな装飾の剣だな」

「そうじゃのう」

「たぶんそれなりに良い物だぞ、これ。まあ、それなりだけど」

「ほう、分かるのかえ?」

「ソードブレイブだからかな。剣に関してはなんとなく分かるんだ」


 言いながら蒼空は「いる?」と差し出してくる。まあイナリとしてもいらないのだが、ひとまず回収することにして神隠しの穴に放り込んでいく。


「お、亜空間系のスキル? ほんと凄いな」

「さよか。それより回収して次に行くとするかのう」


 周囲には幾つかの扉がある……どれに進むべきだとイナリが迷っているのを見て、蒼空は「あれにしよう」と一番右端の扉を指し示す。


「……それもそおどぶれいぶの何か、かの?」

「いや、間違えたらどんどん次に行けばいいだけだし」

「道理ではあるかの」


 頷くと、扉に近づき……蒼空が扉を開けようとして。ガチャリと鍵がかかっている音が響く。ガチャガチャとノブを回しても開かない……その下には鍵穴がついているが、まさか鍵を探せという話なのだろうか?


「鍵かかってる」

「うむ。無理に開けていいものかどうか悩むが……」

「いや、それより良い手段がある」

「ほう?」

「鍵穴覗けばいいんだよ。こういうのはそれで部屋の中が見えると相場が決まってんだ」


 言いながら蒼空はその場に膝をついて鍵穴を覗き……「うおっ!」と背泳ぎをするようにその場から態勢を低くしながら飛びずさる。その直後、鍵穴からズバシュッという凶悪な音を立てて光線が飛んでいく。その場にいれば間違いなく目ごと頭蓋を貫かれていたであろうという凶悪な光線だ。


「あ、あぶねー!」

「何なんじゃ……?」

「なんか扉の向こうに水晶玉があった……それがいきなり光ったからヤバいと思ったらこれだよ」

「ふむ。つまりこの部屋は罠ということじゃな」

「そうなるな。蹴破ると心臓ぶち抜いてきそうだ」


 別にイナリが強行突破してもいいのだが、元々不正解なら意味はないだろう。ならば次へ行こうとイナリが隣の扉を開けると……そこには何もない普通の部屋だが、机の上に如何にもな箱が置いてある。


「……ふむ?」

「あ、この部屋も罠だな」


 蒼空の指差す先……ドアの裏側には、ノブがない。下手に扉を閉めたら戻れなくなるタイプ……いわゆるワンウェイドアと呼ばれるタイプの罠だ。


「たぶんあの箱も思わせぶりなものが入ってるんだろうけどな」

「なるほどのう……物凄く面倒になったものじゃ」


 部屋に入らずドアを閉めるイナリだったが……早くも疲労を感じてしまう。

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― 新着の感想 ―
罠の殺意たっか!鍵穴覗くのに対応?してるのエグイ!
[良い点] 青空が思ったより面白い勇者でしたw [気になる点] 拡張したダンジョンの殺意が凄く高いですねー
[気になる点] 勇者 精神年齢 中学生な気が
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