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【4/15 書籍2巻、コミック発売】お狐様にお願い!~廃村に残ってた神様がファンタジー化した現代社会に放り込まれたら最強だった~  作者: 天野ハザマ
第七章

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お狐様、カードが銀になる

 数日後。イナリは覚醒者協会日本本部の応接室に来ていた。そこにはいつものようにイナリと安野、そして秘書室長の青山。それと見知らぬ職員の青年と……蒼空がニコニコ笑顔で立っていた。


「本日は……えっと、申し訳ありません……」

「気にするでない。そこの男が無茶を言うたんじゃろ?」


 本当に申し訳なさそうに言う安野に、イナリは慰めるようにそう頷く。実際、蒼空はイナリに会わせてほしいと自分の担当を通してかなり強く頼み込んでいたらしい。その理由が「今後トップランカーになるかもしれない相手と早めに顔合わせをしておきたい」、そして「自分が率先してやるべきことを結果的に任せてしまったことについて感謝を言っておきたい」とまあ……理由としてはひどく真っ当であるため、断りにくかったというのもあるようだ。

 そこにイナリのカードのランクアップということで、丁度良いから……ということになったようだ。


「そこは本当にすまない! 重ねて言えば、もっと早めに挨拶をするべきだったとも思っている」

「挨拶云々はどうでもいいんじゃが……それってやらねばならんことかの?」

「ん? そりゃあ、全ては挨拶から始まるって言うしな。あ、俺が蒼空陽太だ。『勇者』って呼ばれてる……よろしく頼む」

「儂は狐神イナリじゃ。此方こそよろしく頼む」


 差し出された手をイナリが握り返し握手をすると、蒼空は「よし!」と頷く。


「じゃあこれで友達だな!」

「いや、知り合いじゃのう……お主、人に迷惑かける類みたいじゃし」

「うっ、それは謝ったじゃないか」

「儂ではなく此処に集まった面々に謝らんかい」


 イナリに言われ、蒼空はバツが悪そうに頭を掻き……安野たちに深々と頭を下げる。


「俺の考えが浅かった。ごめん!」

「いえ、構いません。ですが今後はもう少し色々と気をつけてください」

「ああ、気をつける」


 頭を下げたまま青山に答えると、蒼空はパッと頭をあげてイナリへ向き直る。


「これでいいか?」

「うむ」

「じゃあ」

「まあ、知人じゃのう……」

「言い方変わっただけだ!」


 さておき、蒼空の用件が済んだと判断したイナリは青山へと視線を向ける。本来の用件はカードのランクアップなのだ。


「さて、今日はらんくあっぷと聞いたが……此処に呼んだ理由は、こやつがいるからというわけではあるまい?」

「はい、勿論です。金級と銀級は、各国の覚醒者協会本部のみが認定できるランクになります。金と銀で違いは然程ありませんが、トップランカーの中でも3位以内に入ると金が授与されると考えていただいて構いません」

「ああ、そうなるとこやつと月子、それとタケルが金……そこに加えて今は紫苑が金かの?」

「そうなります。ただし大和さんに関しては今はランクは落ちていますが……1度授与された金がはく奪されることはありません」

「うむうむ」


 タケルは今頑張っている。トップランカーと再び呼ばれる日もそう遠くはないだろうとイナリは考えている。元々真っすぐで才能のある若者なのだ、それに関してはイナリも心配はしていない。


「今回狐神さんにお渡しするのは銀級のカードになりますが、先程お話した理由から、私たち日本本部が認定する実質上の最高戦力の一角であるということになります。また制度面でも今まで以上の優遇が受けられますが……それについてはこの後安野の方から詳しく説明があります」

「うむ」

「では、この場でカードの交換をさせていただきます」


 イナリが今までのカードを渡すと、青山が美しく加工された銀の覚醒者カードをイナリへ渡す。何やら特殊な素材を使っているようで、僅かではあるが魔力も感じられる。これも人造アーティファクト……ということなのだろう。


「何やら特殊な素材を使っとるんじゃな」

「はい。硬度10の物質とぶつかっても一方的に打ち勝ち、ある程度のモンスターの攻撃への耐性も期待できるものに仕上がっています」

「……意味があるんかえ?」

「そのくらい評価しているという証です」

「そういうもんかの」


 さておきイナリがカードを仕舞うと、青山が「ところで」と切り出す。


「む?」

「話は変わるのですが……狐神さんに見ていただきたいものがあります」


 言いながら青山は懐から1枚のカードを取り出す。それはイナリが駒込でも見た電脳ウォーズのカードであった。


【ノイズジェッター『コスト3』『遠距離』『4/1』電脳世界のスーパー戦闘機。ノイズショットで未来を拓け!】


 そう、あの玩具のような戦闘機をもっとカッコよくしたようなイラストが描かれているが、これがなんだというのだろうか?


「これまではご存じの通り、科学兵器に類似したものは真野さんのスキルによるものしかありませんでした。その辺りの経緯については?」

「確か軍隊が全滅したんじゃったかの?」

「この国では自衛隊ですが……ええ。各国の軍隊が敗北し、核ですら傷1つ付けられませんでした。いわゆる『かつての時代』の話です」


 ナイフのような単純武器であれば良いという話でもない。そんなものも一切通じなかったのだから。


「東京11ダンジョンに関しては私も現場に出向きました。そこで感じたのです……飛行能力を持つ新世代覚醒者、長野第2ダンジョンで起こったダンジョン拡張……それに次ぐ、新たな世界の変化の兆しなのではないかと」

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― 新着の感想 ―
うーむ、悪い人間ではないんだろうけど、お近づきになるには抵抗感のあるタイプの勇者君だなぁwww 勇者君の距離の詰め方がアレだからエリちゃんの凄さが再確認できてしまうwww
[一言] 勇者の友人になったら面倒ごとに巻き込まれたり押し付けられそう
[良い点] ダンジョン攻略を基準に色々進めてて、イナリの攻略を基準に進めてたら人類滅びそう。 どっちかというとイナリの攻略を口実に人類の可能性を拡げてるように見えるけど。
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