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【4/15 書籍2巻、コミック発売】お狐様にお願い!~廃村に残ってた神様がファンタジー化した現代社会に放り込まれたら最強だった~  作者: 天野ハザマ
第七章

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お狐様、駒込に行く4

 そうであるならば、やはり何の問題もない。出てくるモンスターたちを次から次へと撃破していくと、何やらイナリの眼前に光の線が表面を走る大きなキューブのようなものが現れる。

 一軒家ほどに巨大なそれはフワフワと浮いていて、このダンジョンの地形の一部であるかのようにも見える。

 だが……イナリが近づくとキューブは淡く光り始め、何やらメッセージウインドウを表示し始める。


―学習完了:ボスキューブ、展開―

「ほう……学習、とな。儂を……というわけかの?」

―変形完了。タイプ:コガミイナリー

「ひょ?」

―出撃―


 キューブが光となって弾け、中から何かが飛びだしてくる。それはイナリを昔のゲームキャラの如くデフォルメしたらこんな感じになるのではという、緑色に光るモンスターであった。


「ノジャ!」


 指先を向け狐火……らしき緑の火を放ってくるノイズイナリの攻撃を跳んで回避すると、床に命中し爆発を起こす。それは先程までイナリが放っていたものと同じ程度の威力を持っていると。イナリ自身にそう思わせる一撃で。ノイズイナリは次から次へと指先から緑の火を放っていく。


「ノジャ! ノジャノジャ!」

「ええい、妙なのが出たのう!」


 イナリの行動を恐らく学習か何かをしてそうなったというのは理解できる。しかしなんだろう、ノジャノジャ言われると自分はそんなに言ってない……などと考えてしまうのは無理もないことだろう。


「しかしまあ、そうなると……来い、狐月」

「コゲツ!」

「なぬっ⁉」


 イナリが刀形態の狐月を呼びだすと、ノイズイナリも弓のようなものを取り出し乱射を始める。それは先程の狐火よりも更に弾速が速く、イナリにぶつかり0の数字をまき散らしていく。しかしダメージらしきものが出ていないから痛くないかといえば、それは別の話だ。


「あたたたたた! これはいかん!」


 どう見ても形だけ真似た偽物だが、射出速度はイナリより上だ。しかも威力も命中速度も結構なものだ……真似とはいえ、中々に凄まじいものだ。結界を展開すれば弾けるが、いつまでもそうしているわけにはいかない。


「ならばこうじゃ!」


 結界を展開し矢を弾きながらイナリが走ると、ノイズイナリは速射をやめ極太の光線を弓から放つ。なるほど、使ってはいないがそんなこともできるのかと。イナリはそんな風に感心してしまう。そんなイナリのいた場所を光線が貫いて。しかし、イナリはもうそこにはいない。

 跳躍し、そのまま浮遊して。イナリは刀身に指を這わせ滑らせる。

 イナリの指の動きに合わせ輝きを纏っていく狐月は紫電を纏って。


「秘剣・雷切」


 ズドン、と。稲妻がノイズイナリに落ちて37と今までと比べると大分小さい数字をポップさせる。当然、それがノイズイナリが恐ろしく頑丈であることはイナリにも理解できる。なるほど、攻撃が効いていないイナリを「凄く硬い」ということで再現したのだろう。ピンピンしているノイズイナリにイナリも思わず「ほう」と声をあげながら地面に着地する。


「ヒケン!」


 瞬間に武器を刀に変化させたノイズイナリがカマイタチを放つが、イナリは結界で弾き防ぐ。


「なるほどのう、随分と厄介な敵じゃ。よもや儂に化け『らしい』技を使うとは」

「ヒケン!」


 カマイタチを弾く。どうにもそれしか出来ないようだが、再現の限界が存在するのだろうか?


「されど、そうであれば儂とてやりようもあるというものよ」

「ヒケン!」


 刀を構え走るイナリは、カマイタチを姿勢を低くして躱し刀身に指を這わせ滑らせる。

 イナリの指の動きに合わせ輝きを纏っていく狐月は冷たい輝きを纏って。


「秘剣・鉋切」


 鉋切長光かんなぎりながみつ。知人に化けた怪異を鉋ごと断ち切ったという伝説を拡大解釈し、別の何かに姿を変える「力」そのものを断つ秘剣。

 その一撃がノイズイナリを切り裂き、一瞬で霧散させる。


「ノジャー……」

「儂、そんなに『のじゃ』とか言わんのじゃけど……言っとるように見えるんかのう」


 イナリ本人がどう思っているかはさておき、このダンジョンはそう判断した……ということなのだろう。あるいは分かりやすい特徴であるのかもしれないが、さておいて。

 そうしてノイズイナリが消え去った後にその場に落ちたのは1枚のカードだった。やはり「電脳ウォーズ」とやらのカードであるようだが、拾い上げればイナリっぽい何かがかわいいポーズをとったイラストが描かれている。

 しかも、何故かは分からないがカードがキラキラしている。いわゆるキラカードというものであるようだ。


【ノイズイナリ『コストX』『全距離』『X/X』電脳世界の狐巫女なのじゃ!】


「……なんじゃこれ」


 イナリはこんなこと言わないしこんな赤井が喜びそうなポーズはとらない。そんなことを考えていると、いつものシステムメッセージが表示され始める。


―【ボス】キューブボス討伐完了!―

―ダンジョンクリア完了!―

―報酬ボックスを手に入れました!―

―ダンジョンリセットの為、生存者を全員排出します―

・どうでもいいTips

Q:Xって何?

A:エックスです。何らかの条件によって変化する数値であり、たとえば『コストをX点捧げる。攻撃、防御がXとなる』みたいな感じだったりします。

ちなみにイナリは「何故バツが書いてあるんじゃ……?」とか思ってます。

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― 新着の感想 ―
このボスが、今後もイナリ基準で出てこられたら他の覚醒者は詰むぞ HPがどれほどあるか知らんけど、1000オーバーのダメージをポンポン出してたところに二桁ダメージしか出ないってかなりヤバイ
学習・模倣してくる敵は厄介だけど、イナリちゃんを完全再現出来てないからそこまで脅威じゃなかったなぁ うーむ、これはイナリちゃんが規格外すぎて再現しきれなかったのか、再現度は強さに関係なく抑えられてるの…
[一言] ノwwジwwャwww
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