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【4/15 書籍2巻、コミック発売】お狐様にお願い!~廃村に残ってた神様がファンタジー化した現代社会に放り込まれたら最強だった~  作者: 天野ハザマ
第六章

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知られざる決意

 その頃。真っ暗な部屋の中でタケルはテレビのニュースを見ていた。


―そんなわけで、強引な草津での買収行為も今回の背景にあるわけですね―

―いわゆる『新住人』の始まりというわけですが、そうなると元の住人の方々は今どうされているんでしょう?―

―そこは当番組でもまだ確認中ですが、現時点で分かることとしては……―


 番組が変わる。


―いやあ、土間さんも悪い部分はありますよ。もっと情報の発信をですね。そういうのをやっていくことで誤解を招く隙を無くすことが出来なかったものかと―


 番組が変わる。


―私は覚醒者協会の体質にも問題があると思いますね。今回のような事件が起こった背景を考えると、もっと打つべき対策が色々とあったんじゃないかと思いますよー

―今回の件に関しては土間さんは被害者ですよね。日本3位に対してあまりにも……―


 テレビが、消える。部屋の中に静寂が戻って……タケルの「ははっ……」という笑い声が聞こえてくる。


「見たかよ、神様。『土間タケルは被害者だけど悪いところもあった』らしいぜ?」

―【終わり告げる炎剣】はくだらないと唾を吐いています―

「アンタのそれが同情や義憤じゃないことは知ってる。そういう神様じゃないもんな」

―【終わり告げる炎剣】は貴方の覚悟を問うています―

「分かってるよ。明後日だ。明後日、完璧じゃないがある程度の条件が揃う。狐神さんを巻き込みたくはなかったけど……まあ、あの人のことだ。きっと近いうちに、俺のやりたいことを手伝いたいとか言い出すだろうしな」


 それはなんとも嬉しい言葉だし、「こんなこと」でもなければイナリに手伝ってもらうというのは、なんとも嬉しい話ではある。きっとイナリのことだ、全力を尽くして手伝ってくれるだろう。

 そうして、全てが終わって目標を見失ったタケルに再び「一緒に行こう」と言ってくれるのだろう。そうなれば、間違いなくタケルはその手を取るだろう。イナリの手助けで目的を果たすか諦めるかしたタケルは、そのままイナリと共に草津を出るだろう。

 けれど、そうであるからこそ。それはタケルの想像であり叶うことはない。タケルのしようとしていることを、イナリは絶対に手伝ってはくれないと……止めると、分かっているからだ。


―【終わり告げる炎剣】は狐神イナリを警戒すべきと主張しています―

「それは何度も聞いた。実際どうなんだよ。狐神さんは止められるのか?」

―【終わり告げる炎剣】は不明だと答えます―

「ははっ、マジかよ。一体何なんだ? あの人」


 タケルの呟きは、タケルと契約した神の如きもの……【終わり告げる炎剣】との対話でもあった。どうにも明らかにイナリを警戒している【終わり告げる炎剣】だが、タケルは決してイナリを甘く見てはいない。日本のトップランカー3位であるタケルには神の如きものと、その企みを阻止したイナリの話が伝わっているからだ。


「俺を通して見たんだろ? あの人も何かの使徒なのか?」

―【終わり告げる炎剣】は否定しています―

「そっか。じゃあ神様かもな。名前もイナリだし」


 少し待って……明確な答えが返ってこないことに、タケルは軽く苦笑する。少なくとも、タケルの契約した神の如きものは、その答えを持っていないのだろう。あるいは、答えを知っていても教える気が無いのかもしれないが。


「……まあ、なんでもいいさ。明後日の朝には、全てが終わる。これだけは邪魔はさせない」


 そう、タケルには成し遂げたいことがあった。イナリと出会うことで揺らぎ始めていたそれは、今回の件でタケルの気持ちを固める結果になった。しかしそれは同時にタケルにとっては甚だ不本意であり、不愉快でもあり……計画外の事態でもあった。


「サイラスの奴が余計なことをしなけりゃ……いや、アイツはあれが目的だったんだろうな」

―【終わり告げる炎剣】は超人連盟に強い不快感を表明しています―

「超人連盟としては俺が邪魔だったろうからな。俺か狐神さん、どっちが倒れてもいいってところか」


 そう、サイラスが……超人連盟が此処に来たのは、そしてタケルに冤罪を吹っ掛けたのは、単純にタケルをどうにかしようとしたからではない。タケルの計画を邪魔して、尚且つイナリとぶつけることで可能であれば共倒れ、そうでなくともどちらかが死ねばいいと思っていたのだろう。

 タケルを追い詰めたのはイナリがどうしようもなく善性であると分かっているからこそ、性格上タケルを放っておかないと簡単に予測できたのだろう。事実、タケルのことを心配して草津に残っているのも分かっている。


「……ごめんな、狐神さん。俺は明後日、貴女に世界一嫌われる人間になるよ」


 言いながらタケルはその手をぎゅっと拳の形に握る。

 止まらない。止まれない。いや、元々止まる資格など自分にはないと。タケルはそう知っていた。


名前:土間タケル

レベル:72

ジョブ:レーヴァテイン

能力値:攻撃A 魔力A 物防C 魔防C 敏捷B 幸運F

スキル:炎剣、神託、加護(終わり告げる炎剣)


「それでも、全て終わらせる……そう決めたんだ」

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― 新着の感想 ―
タケル君の性根を考えるとことを起こしてもイナリちゃんに嫌われなさそうだが……
[一言] 変態仮◯になってイナリちゃんに対して「それは私のおいなりさんだ」をやろうとしてるんだろ? そりゃあ嫌われるよなあ( まさに人生の終わりを告げるなんとやらですしw
[良い点] タケルの目的とは…? 契約してる神様は炎だし、レーヴァテインも炎関連、もしかして火山でも噴火させて全てをリセットしようとか考えてる?草津にも白根山という火山有りますし。
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