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【4/15 書籍2巻、コミック発売】お狐様にお願い!~廃村に残ってた神様がファンタジー化した現代社会に放り込まれたら最強だった~  作者: 天野ハザマ
第五章

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お狐様、到着する

 それは、あの虫鎧モンスターたちだった。カブトムシ、クワガタムシ、コガネムシ……カマキリと思われるものもいる。ゾロゾロと集まってくる人型モンスターたちを油断なく見据えながら、エリは冷や汗を流す。


(数が多すぎる……私1人では守り切れない……!)


 如何にエリが強靭なタンクであっても、多数相手では限度というものがある。勿論恵瑠も戦えるのは分かっているが、そうだとしても……と、そこまで考えて。エリは自分の頭上近くへ飛んできたものに気付く。その独特の形は、確か月子の。


「ヴヴヴヴッ!?」

「ヴヴッ!?」


 ビットたちの放つレーザーが虫鎧たちを一撃で仕留めると、そのままビットがエリと恵瑠を守るように布陣する。


「プロフェッサー……か」

「ええ、そうよ。まったく、結構な数のモンスターを配置してくれちゃって……時間がかかったじゃない」

「まるで私のせいのように言う」

「貴方のせいでしょ。私の目は欺けても観測機器は欺けないわよ。貴方が今回の異常の中心。『使徒』とかいうやつなんでしょ?」

「使徒のことまで知っているのか……」


 呟くと、良一は困ったような表情で髪をかき上げる。


「そうですよ。私こそ『証明不能なる正体不明』さまの使徒、越後良一です。全ては越後商会を足掛かりにこの日本を支配下に置くため! 愚かなる者どもを」

「あ、そういうのいいから。さっきのイナリの言葉でちょっと疑問に思ってたんだけど……ほら、一応こういうのってノーマナーだからね」

「何を」

「ん? 何をって……『鑑定』」

「なっ!」


名前:越後良一ロバート・ミラー

レベル:43

ジョブ:■■■■(鑑定失敗)

能力値:攻撃D 魔力B 物防C 魔防C 敏捷C 幸運B

スキル:邪悪なるチェンジリング、■■■■(鑑定失敗)、■■■■(鑑定失敗)、偽装Lv38、隠蔽Lv32


スキル鑑定結果……邪悪なるチェンジリング。対象を虚空へと消し去り、その存在を乗っ取ることが出来る。乗っ取った対象にはいつでも変身可能。


「うーわ……そういうこと? 貴方悪党ね、ロバート」

「私の対鑑定防御を突き破った……!?」

「仕事とジョブの関係上……得意なのよね、そういうの」

(それでも鑑定できないものはあった……こいつ、相当な難敵ね)


 月子に正体を見破られた良一……いや、ロバートは大きく、とても大きく溜息をつく。元々、全員生かして帰すつもりはなかった。なかったが、正体を見破るほどともなれば何が何でも殺さなければならない。「つもり」から「絶対」に変わったのだ。


「いや、ああ。そうだな、見くびっていたよ。プロフェッサーのことを、厄介な発明屋と侮っていたことを謝罪しよう。お前は、絶対に殺すべきだ」

「どうやって?」

「そうだな……ひとまず、こうやってみよう」


 ロバートが指を鳴らすと、周囲から羽を広げた虫鎧たちが集まってくる音が聞こえ始める。ヴヴヴ……という羽音と声の混じる音は、いっそ恐怖すら感じさせて。しかし、月子はあくまで冷静にその状況を見極める。


(さて……どうしようかしら。まだイナリが到着してない。この状況を見れば、嫌でも場所は分かるでしょうけど)


 イナリが到着していないままに月子の奥の手を使うのは、少々問題がある。だからこそ、どうしようかと考えて。


「すでに策は狐神イナリを隔離し抹殺した時点で完成していたのだ! お前たちに成す術など」

「おお、こんなところにおったか」


 良一……いや、ロバートが何か言いかけているその途中で、なんでもないかのようにイナリがひょいと木々の間から現れる。


「はあ!?」

「うお、なんじゃ?」

「お、お前! アレはどうした! お前を殺すために、特製の!」

「よう分からん虫巨人か? 急いでたし、ちょいと簡単に呪殺したが」


 忌剣・村正。相手を蝕む黒い靄を生み出すそれは、遠距離からでも三日月のような形を描く斬撃を飛ばすことが出来る。だからこそ、デカくて硬くて強い程度では、相手にもなりはしない。


「どうにもこっちに来てからデカいのと戦う機会が多すぎるんじゃよなあ……安倍晴明でもそんなにデカいのとは戦っとらんじゃろ。まあ、会ったことはないんじゃけど」

「何をくだらんことを……!」

「くだらんのはお主じゃろ。それに成りすまして何をしてるかまでは知らんが、どうにも醜悪に過ぎる」


 イナリにもバレている。やはり一番拙いのはこいつだと、そうロバートは直感する。ならば、殺さねばならない。この場で、命を懸けてでも……だ。


「全員で一斉にかかれ。こいつらを殺すんだ」


 その言葉に倒れていた男たちも起き上がって。しかし、月子が「25分よ」と宣言する。


「……何?」

「私がこのダンジョンに入り戦闘態勢になってから、丁度25分」

「それがどうした。時間稼ぎのつもりなら」

「日本のアニメや特撮を見たことは?」


 時間稼ぎだと感じたのだろう。ロバートは殺せ、と指令を出して。


「発動、『ラスト5分の破壊神(G・O・D)』」


 月子たちの背後に、巨大な「何か」がゆらりと出現して。その2つの目だけが強く輝く。そして……月子たち以外の全てを、凄まじい爆発が吹き飛ばした。

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― 新着の感想 ―
まってwwwwwなにそれwwww戦隊ものの巨大戦みたいなあれか?wwwww 相手の黒幕っぽいムーブの流れを断ち切るイナリちゃんと月子ちゃんwww
[良い点] こうなるとラスト5秒の逆転ファイターもいそう
[一言] 元ネタなんじゃろ。 ス○シウム光線?
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