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一貢で語れる日本昔話  作者: ナンプラー
4/10

第四話

 昔、正直で働き者なおじいさんが山で木を切っていました。


 昼になり、おばあさんの作ってくれたお弁当を開けました。

 何と、その時におむすびが一つ転がってしまいました。


 慌てて追いかけたおじいさんですが、徒労虚しくおむすびが空いていた穴に落ちました。


「そんな……」


 おじいさんは悲しみました。

 すると、声がしたのです。


「すみません」


 どこから声がしたか分からずおじいさんは戸惑いました。


「すみません、どなたかおむすびを落としませんでしたか?」


 その声を聞いた時おじいさんは悟りました。

 この声は穴から聞こえているのだと。


「私です!」


 おじいさんは言いました。


「良かった。まだ近くにいますね。直ぐお届けします」


 すると穴からゆっくりおむすびが這い上がってくるではありませんか。

 おじいさんは喜びました。

 しかし、その笑顔がぎこちないものに変わりました。


「ふう、お待たせしました。あなたが落とした人ですね。お気をつけください。よく落とされる人が多いもので」


 声をかけてきたのはネズミでした。


「あ、ああ。ありがとう」


 おじいさんは引きつった顔でお礼を言いました。


 ……泥だらけのおむすびとネズミを見ながら。

 ネズミはそう告げると帰りました。

 おじいさんは固まったまま動きません。


「結局食べれない……」


 まあ、うん、そうですよね。

 穴に落ちたせいで泥だらけですし。

 ネズミが触ってましたし。

 泥団子食べるのと変わりません。


 複雑な気持ちのままおじいさんは暫く固まったままでした。


 因みに、転がらなかったおむすびは通りかかったゴロツキが勝手に食べました。





第四話 「おむすびどろり」

ー完ー

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