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ラスボスは女神様!?  作者: カモミール
2章.ひとりぼっちのダンジョンの支配者
9/22

7話.勇者とSSSランクの冒険者

その2です。


*勇者カイ視点



…なるほど。ここが零落のダンジョンか。

ダンジョンの入口は大きな洞穴と区別なく、入り口の上には

零落のダンジョンと書かれた看板がある。


迷い人がうっかり立ち入らないよう命がけで看板を張ったんだとか。

事前調査で聞いたことを思い出した。


ともにダンジョン攻略を乗り越える二人の仲間に

目を当てる。


レイラ・カルナは瞬弾の異名で恐れられる魔法使いだ。


トレードマークの頭のリボンをヒラヒラさせながら

せわしなくアイテムの最終確認をしている。


何でもここに来るまでにすでに三回は確認してるとか、

どんだけ心配性だ。


まあ、その分抜けがなくこっちも安心できるんだけどね。


もう一人のフーゲン・ハルクは考古学者であり、

その筋ではダンジョンマニアで有名だ。


60を超える高齢らしいが、

その膨大な知識と遺跡探索向けの幅広い魔法の数々は

とても心強い。



「おお、この岩のつや、硬質、さすが最難関ダンジョンと言われるだけあるわい」

などとつぶやき、彼は目を輝かせている。

正直その辺の岩にしか見えないんだけど。


俺たちがこのダンジョンの攻略依頼を受けたのは

昨日の夕方頃だった。


北の王国を通してロザリオとかいう

領主が大金を払って俺にダンジョン攻略を依頼してきたのだ。


俺は国直属の勇者だし、いざという時魔族の進行を抑えるのが仕事なわけだが、

ロザリオはダンジョンの未知のリターンにきっと魔族を倒すヒントがあると力説したそうだ。


そういうわけで3日以内の攻略という条件で

北の勇者である俺、カイはダンジョン攻略を命じられた。


レイラとフーゲンさんは冒険者だが

昔からの知り合いでもあるし、その実力もよく知っている。


だから、依頼を受けてすぐ俺は二人に協力を頼み、できるだけ早く準備をしてこのダンジョンに挑むのだ。


とはいえ、未知のダンジョン。気を引き締めなければ俺達でもどうなるか…


「皆、気を引き締めていこう」


再度呼びかけ、俺たちはダンジョン内部へ足を踏み入れた。



▽▽▽▼


入り口には長い階段があり、そこを降りると肌寒く薄暗い空間そこに一本道があった。

薄暗いとはいえ前方はかなり鮮明に見える。


こんな地下の洞窟なのに不思議だ。


「この岩は…クリスタル石でできておるの」

岩を鑑定するように触り、フーゲンさんが言った。


「なんですか?それ」

レイラが訪ねる。

「うむ。普通の岩石に何らかの要因でクリスタルの欠片が混ざり込みできた発光石じゃ。自然界でも滅多に見れん貴重な産物じゃよ。じゃが、ここまで一面に広がっておるものをわしは見たことがない。何があってこんなものが生まれたのか…。ダンジョンを攻略できれば分かるのかの」


その後俺たちは洞窟に沿ってまっすぐ進んだ。

クリスタル石のおかげでかなりよく見えるが、多少見えづらさはある。


「こういう時に節約しちゃいけないんですからねっ。わずかな妨げが全滅に繋がる事だってあるんだから」

レイラの助言に従い、カンテラに魔法で光を付け、進んだ。

「えーい!」

レイラの掛け声だけでそのカンテラは宙に浮かぶ。

相変わらず無詠唱魔法がうまい。

魔法とは本来呪文を起点に発動させるものである。

だが熟達し、その魔法を完全にものにしたものならば呪文を発せず魔法を繰り出せる。

それが無詠唱だ。


モノを浮かせるだけのなんてことない魔法だが、息をするように魔法を使う姿をだけで彼女の熟練度が分かる。


仲間たちの頼もしさに改めて安心し、少し笑みがこぼれる。

咳払いをし、俺たちは前に進んだ。


そこからはかなり長い距離を歩いた。

危惧していたモンスターやトラップはほとんど出てこなかった。


その事に逆に嵐の静けさのような不気味さを感じた。


その予感は的中したようだ。

しばらく歩くと大きな広間に出る。


丸い広間の横には一定間隔毎に道があり、数えて11くらい道があった。


さて、どの道に行ったものか。


そう考えていると中央にモノリスがあるのを見つけた。

「これは…」

“真なる道へ進め”


そう書かれている。正しき道に進めってことか?

これはもしや暗号?


だけどこれだけじゃ何のことかさっぱりだ。


「皆、気をつけろ」

そう考えているとフーゲンさんが静かな声で言った。

「どういうことですか?」


「こんな感じで多数に道が分かれた時、大抵は迷路のようなトラップであることが多い。

じゃが稀にわしら冒険者の退路を断ち、一網打尽にするための地形であることもある。今回ははずれのようじゃな。それ来たぞい」


すると、途端にけたたましい地鳴りが聞こえた。

と思うとそれぞれの道から大量のモンスターの群れが進撃してくる。

元来た道を振り返るがそちらも例外なく来たようだ。


「しまった。」

「あわわ。すごい数。100…いえ」

唯一モンスターの群れが見えなかった11番目の洞窟。

そこからズシン、ズシンと重たい音が響く。

「101匹っ!」

見るとそこには全身4メートルはあろうトロールが一体表れた。


他の洞窟からはリザード、ゴブリン、スケルトン、軍隊アリ、キラービーが

破竹の勢いで飛び出してくる。


「泣き言言っても始まらんわ。皆かまえい。戦闘開始じゃ!!」

そう言ってフーゲンさんはニヤリと笑う。


うわ~頼もしい。

でもこのパーティーのリーダー

一応俺ですよね?ね?






▽▽▼▼



モンスターの大群がものすごい勢いで俺たちに襲いかかる。

さて、まず対処すべきは…


やはり、キラービーだろう。猛毒を持つ蜂。

簡単な解毒魔法で治せるし、フーゲンさんがいれば問題はない。


だが非常にすばしっこく攻撃が当てずらい。

正直俺のような近接系攻撃を得意とする勇者や格闘家にとっては面倒な相手だ。


「ウィンド~スパーーーークッ」

そこへレイラが風魔法を唱える。

無詠唱が得意な彼女は詠唱を叫ぶ必要はないが本人曰くたまにはそっちの方が気合が入るようだ。


彼女が使った魔法は初級の風魔法。

その応用だ。


本来は風で物体を切る魔法。

だが、彼女はその魔法火花のように拡散させて無数の針のようにぶつけている。


故にレイラはウィンドスパークと命名した。


彼女のように一つの魔法をいじくり、アレンジして使うには

初級魔法であろうと並大抵でない技術力がいる。

レイラは()()()()()()を何千、何万発と打ち続け、訓練することでそれをものにしたのだ。


魔法の形状変化と打ち続ける事で得たコンマ0.1秒の早打ち。


それがレイラが瞬弾と呼ばれる所以(ゆえん)だ。


レイラはくるんとまわり、ウィンドスパークを放つ。

風の弾丸は全て突き刺さり、キラービーを一掃した。

「こっちはまかせて」

レイラは言った。

いやもう蜂さん全滅してますけど!!


「すきをみせたの」

レイラの風魔法に若干怯んだ(じゃっかんひるんだ)魔物たちに言う。

「ソイル・オルカ!」

土から巨大な石塔を生み出し、相手を突き刺す広範囲の上級土魔法だ。

フーゲンさんはレイラのように熟練の魔法使いではない。だが

ダンジョン攻略の為には初級から上級魔法、剣術、格闘、トラップと幅広いスキルを持っている。


地面からの岩槍は大半のモンスターに突き刺さった。

モンスターの大半が生き絶える


だが、

何匹かのすばしっこいリザードがそれをよけ、グアアアと吠えて噛みついてきた。


「フン、甘いわい」

フーゲンさんは剣を抜き、リザードたちを一刀両断。

リザードたちはなすすべなく転がった。


さて、残るは…巨大なトロールだ。

レイラを背後からこん棒で殴り倒そうとしている。


倒すなら弱そうな女性から…とでも思ったのか、愚かだな。


そう思い、俺は剣をふるう。


瞬間トロールの胴体は真っ二つに裂け、きれいな断面は目の前の

レイラに返り血を浴びせることなく崩れ落ちていった。




▽▼▼▼


さて何だかんだで瞬殺だったわけだがまだ問題は残っている。


どっちの道に進めばいいのだろう。


「それなんだけど…あたしなんとなくわかっちゃった。道」

「レイラも?」

「なんじゃと。わしはまだわからんのに」


「じゃあ答え合わせってことでせーので指ささないか?」

「そ、そうね。わかったわ。せーの」

「「こっち!」」


どうやら考えていることは同じだったようだ。


「なるほど、どうやらわしも耄碌(もうろく)したのかもしれんの。

若い頭脳がうらやましいわい」


そう言って一行はその道を進んだ。


すると先には少しわかりづらい隠し階段があり、それは二層へと進むものだった。



第一層攻略完了。




▼▼▼▼


「な、なにこの人たち。一層をこんな簡単に…で、でも二層はこんなものじゃないんだから」


その様子を見ていた私、七瀬一三(ななせひとみ)は呟いた。





お読みいただきありがとうございました。

最後の真なる道へ進めの答え合わせは次回にします。


ぜひ読者の皆さんも考えてみてください。


といってもこれはひとみが前世でやったクイズを思い出して暇つぶしに作ったものなので、

簡単だなーって思った方がいてもあきれないでくれると嬉しいです。

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