第22話 小学校入学前の花見に子どもを連れて出かけたら、義理の子(?)も付いてきました。
そんな騒動を、息子の総司は小学校入学前に引き起こしてくれたのだが。
それはそれとして、小学校入学前の思い出として、桜の花見に僕は子ども3人を連れて行くことにした。
花見に行くと言っても、すぐ近所で、小学校入学前の子でも歩いて行けるところだ。
とはいえ、実際に行くとなると、思わぬことが起きた。
「本当にすみません。お弁当は準備しましたから」
「ああ、いいですよ」
村山キクの言葉に、僕は少し顔が引きつるのを覚えた。
花見に行くとはいえ、小料理屋を営む村山家にしてみれば、花見はかきいれどきだ。
花見弁当を売る手伝い等を篠田りつにまで頼む程、この時期の週末は忙しくなる。
(村山家に千恵子を連れて来るうちに、りつはいつの間にか、キクと気安い仲になり、村山家が忙しいときは、折に触れて助っ人に来る仲にまでなってしまったという訳だ。
当人同士が気にしていないので、僕が口を挟むことは無いのだが、いいのか、とツッコミたくなる)
そして、4歳近くになるキクの2人目の子、幸恵の異父妹になる美子は、幸恵達が僕と一緒に花見に行こうとしているのを見て、
「お姉ちゃん達だけずるい。私も連れて行って」
と泣きわめき、それに手を焼いた村山夫妻は、僕に美子も連れて行ってほしい、と頼み込み。
結果的に、僕は美子も併せて連れて、子ども4人と花見に赴くことになった。
忠子も花見に連れてきたかったが、忠子は小学校入学騒動の件で、息子の総司が自分を捨てて、姉二人の下に奔った、と言わんばかりにむくれてしまい、機嫌が未だに完全には直らず、僕が花見の声を掛けたら、一言の下に勝手に行ってきたら、とけんもほろろの対応だった。
かと言って、りつと行っては、それこそ愛人連れの花見と誤解されそうだ。
また、キクは夫の手伝いという仕事がある。
かくして、僕は1人で4人の子を連れて、花見に行く羽目になった。
「ちゃんと僕の目の届く範囲で、4人が固まって行動するんだぞ」
「はい」
小学2年生になる幸恵は、年の割に大人びていて、完全に姉の風格が漂ってくる気がする。
僕の言葉に、元気よく幸恵は返答し、公園について早々に弟妹3人と遊びだした。
ああ、和むなあ、春の陽気も相まって、花吹雪が舞い、子どもらが集って遊ぶ光景が、夢の世界に僕は思えてきた。
というか、本来から言えば、この世界は夢の世界なのだ。
僕は、史実ではとうに戦死しているのだから。
夢の世界なら、好き勝手やってもいいかな、そんな想いが浮かぶ。
実際、既に僕はやらかしている。
本来なら、当時の日本では知られていない作戦術や縦深戦術を、海兵隊の研究の場で僕は出している。
そして、その海兵隊の研究は、当然に日本陸軍にも影響を与えている。
更に、先の世界大戦の結果、日本軍は仏軍のみならず、米英軍とも積極的に交流を持っている。
このまま行けば、独軍の編み出した電撃戦戦術等、日仏米英陸軍の上層部からは、第二次世界大戦においては、完全に時代遅れの戦術と一部からは評されても仕方のない状況になってもおかしくない。
だが。
目の前のこの光景、子ども達が健やかに育っている光景を守るためなら、僕のこの想いは許される気がしてならない。
そんなことを想っていると、美子が僕に声を掛けてきた。
「えーと、お腹空いた。雄父さん、と呼べばいいの」
「ああ、いいよ」
幸恵は、お父さんが二人いるので、僕のことを雄父さん、と呼ぶ。
美子もそれに合わせることにしたらしい。
それを機に、子ども4人と共に弁当を食べることにし、一服した後、子ども4人と遊んで僕は帰った。
そして、これをきっかけに、幸恵の異父妹になる美子も姉弟の輪に加わるようになり、姉弟4人で遊ぶようになっていった。
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