第19話、妻が家を潰す、廃家にしようとするので、大騒動にしました。
更に、僕は事実上はその足で、村山家にも、このこと、野村家が廃家になることを伝えた。
村山家にしても、僕からの幸恵への養育費で、家計が一息つけている、という現実がある。
何しろ、キクにしてみれば2人目、今の夫にしてみれば初子の出産が間近いのだ。
だから、野村家を潰す、廃家にした後も、引き続き幸恵の養育費を支払いたい、という僕の提案は、村山家にしてみれば願ってもないことで、僕の全面的な味方になることを、村山家から言い出した。
こうした根回しが済んでから、数日後、僕と妻は岸家に半ば呼び出された。
岸家に僕と妻が行くと、義両親が僕を待ち構えていて、表向きは僕に対するお願いが始まった。
「知っていると思うが、わしの息子は二人共に亡くなり、娘二人しか今はいない。それで、長女のところから養子を迎えることも考えたが、長女も娘しか産んでいない。そこで、色々と思うところはあるが、お前を婿養子に迎えよう、と思うのだが。受け入れてもらえないか」
義父が、まずはそう言った。
「本当に浮気だけならまだしも、3人もの女性に子どもまで産ませるとは、と私も思いました。しかし、岸家を絶やす訳には行きません。どうか、廃家して、岸家の婿養子になってもらえませんか」
義母も、義父に事実上は口添えした。
僕の横で、妻が肯く気配がする。
妻にしてみれば、完全に周囲を固め終わったという訳か。
妻から見れば姉夫婦、僕から見れば義姉夫婦は、僕を婿養子に迎えることに賛同したのだろう。
さてと、岸家の婿養子になるのは、僕自身は別に構わないが、子どもへの養育費等の件がある。
岸家に僕が入っても、子どもへの養育費等は確保しないと。
僕はそう考えて、言葉を返した。
「分かりました。岸家に婿養子で入るのを、僕は受け入れたいと思います。でも、僕の両親が何というか、僕の両親等を交えて、あらためて話し合いませんか」
「それもそうだな。野村の両親も交えるべきだな」
義父はそう言い、その日の話し合いは終わった。
僕の横で、妻がほくそ笑む気配がする。
僕は想った。
もう少し気配を殺さない、と戦場では生き残れないよ。
そして、数日後。
「何で、野村家と共に、篠田家や村山家も来るのだ」
義父が少し慌てた声を挙げた。
「ええ、野村の家が廃家になっては、問題だろうと思って、篠田家や村山家にも声を掛けたのですが、何かまずかったですか」
僕は少し惚けて言った。
僕の横で、妻が苦虫を嚙み潰したような表情を浮かべた気配がする。
ほら、また、気配を出している、だから、すぐにバレるのだよ。
篠田家や村山家が加わった話し合いは、岸家にしてみれば、予想外の流れになった。
僕の野村の家が廃家になって、千恵子を篠田家が引き取ることまでは、話し合いがすぐにまとまった。
だが、それで、養育費の支払いを止めよう、という話に岸家としてはなる筈が、村山家と篠田家が引き続きの支払いを求め、野村家も加担する事態になったのだ。
更に、話を進める内に、村山家や篠田家は、アランにまで養育費の支払いを求める事態になった。
下手にアランを排除すると、自分達の養育費も払わなくていい、という方向に流れるのを、両家は懸念したのだ。
そして、話し合いは1日では終わらず、数日掛かることになり。
最終的に、幸恵にも千恵子にもアランにも、僕の給料から引き続き養育費が支払われることが決まり、それを野村家(本家)が保証することになった。
勿論、僕の家、野村家(分家)は廃家になり、千恵子は篠田家が引き取ることになる。
岸家にしてみれば、大いに不満がこぼれたが、親なら親として養育費を払ってほしい、と篠田家や村山家が叫ぶ以上、これで話をまとめるしかなかったのだ。
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