自動販売機 (KAMITSUBAKI STUDIO オーディション④)
塾の帰り
裏通りに入ると
少し奥の方で
自販機が出迎えてくれる。
コイツはいつも
夜の重さに溶け込めずに
ピカリピカリと自己主張している。
ぶっちゃけ
「一人だけ浮いているな」
といつも思う。
けれども
私には
その幼い輝きが
何故だか神々しく感じられるのだ。
自販機の元へ駆け寄り
商品を覗き込む。
まだ小銭を入れていないけど
ボタンを押してみる。
何も出てこない。
なぁ、自販機。
アンタのそういう所は苦手だよ。
自分にとって何の利益も無ければ、目の前の人間がどうなっても構わないのか?
カフェオレを手に入れるには、金が必須なのか?
まあ、アンタを責める資格は、私には無いのだけど。
そういう嫌なところも似てるよな、私たち。
もういっそ、友達にならないか?
二回目、ボタンを押してみる。
「ピッ」と短い返事
自販機は、照れくさそうに頷いた。
じゃあ、と私は続ける。
友達に、カフェオレ一本奢ってくれよ。
三回目、ボタンを押してみる。
何も出てこない。
・・・やっぱり私、アンタのこと嫌いだ。
<KAMITSUBAKI STUDIO の皆さんへ>
私は、皆さんが創る世界が大好きです。皆さんの作品を見ると、自分では経験したことの無い気持ち(恋心など・・・)にもなぜか共感することができる上、時にはその未体験の感情に一種の懐かしささえ覚えます。新しい作品を見る度に、ただのファンである私の世界もどんどん広がっていくような感じがして、
いつも「不可解だなあ・・・」と思っています。
花譜さんの活動が一周年を迎え、「KAMITSUBAKI STUDIO」が発足し、新しいアーティストの方々のデビューが発表されて・・・。「ここからもっと素敵な世界が生まれていくんだろうなあ・・・」と漠然と感じていた、そんな時。今回のオーディションについての話を知り、応募させて頂きました。
私は幼い頃から「何か」を創り出し、それを通して自己表現をするのが大好きでした。絵を描いたり、工作をしたり、曲を作ったり・・・。ただ、私はそれらを他人に見せる勇気の無い、気弱な子供でした。「親や友人に笑われたら嫌だ、否定される位なら自分の世界だけで終わらせよう。」という考え方は、今も心の奥に根強く残っています。
そのため、このオーディションに応募するかどうか、正直なところ凄く悩みました。ですが、初めて皆さんの作品を見たときの感動や憧れがどうしても忘れられず、「やるだけやってみよう!」と参加を決めました。
ここでする話ではないのかもしれませんが、私が小説を書くのはこれが初めてです。しかも、オーディション開催を知ったのは、11月6日。「合格するのか」という問題以前に、そもそも「作品」と呼べるものができるのか、とても不安でした。が、いざ書き始めてみると、本当に面白かったです。荒削りで、下手くそな文章ではあるけれども、「これは私の「作品」だ!」と思う位には、自分で書いたものを気に入っています(ものすごく下手くそだし、書き直したい部分は何箇所もありますが・・・)。ただ、自分のやりたいように自由に書いてしまったので、「これは果たして「小説・シナリオ」なのだろか・・?ちょっと違う気がする・・・。」という不安もあります(笑)。
伝えたいことがありすぎて、長々とした文章を書いてしまいました。ごめんなさい。私の言いたいことを大まかにまとめると、
①「KAMITSUBAKI STUDIO」の作品、及びそれを創りだす皆さんが大好きです。
②文章を書くのは、とても楽しかったです。そして、そのきっかけを私に与えてくださり、本当にありがとうございます。
ということです(笑)。「誰かに作品を見せる」ことが初めてなので少し緊張していますが、「応募してよかった」と心から思っています。
それでは、審査の程、宜しくお願いいたします。
追伸:連載小説「10B病棟」は、11月10日までに完成できなかった作品の一部です。本当に最初の部分しか出来ていないのですが・・・少しずつ書き上げていこうと思います。この小説は私の実体験を織り交ぜた特別なものなので、読んで頂けたらたら本当に嬉しいです。