第31.5話 【1】英雄叙事詩~アルテム・ワイズ①~
記憶を取り戻したアルテミス。
彼の過去――、英雄と称されるに至った、世界救済の叙事詩――。
第31.5話 【1】英雄叙事詩~アルテム・ワイズ①~
創霊70年――。
マリーランド王国の辺境の地にて、ハイデンベルグ王国から派遣されて来た精霊学者――、ワイズマンは後の英雄となる赤子を拾う。
彼は赤子の手首に巻いてあったタグの文字列からアルテムという名を付け、その子を育てる事となった。
アルテムはワイズマンの下、幼い頃から精霊学に触れることになり、その才を開花させていく。
12歳で精霊学の修士となり、以来、研究施設で補佐をしながら経験を積んでいった。
創霊90年――。
20歳となったアルテムは、マリーランド王国からの依頼を受けたワイズマンに代わり、単身でシルフ霊山へ向かう。
道中、カルバイン王国の調査員として派遣されて来たオルカイトと出会い、同行することになった。
そして、山頂にて二人は、有翼の精霊獣――、ガルーダと対峙することとなる――。
対空戦に苦戦しつつも、二人は協力してガルーダを撃退した。
すると、周囲の風が二人を取り囲う様に渦巻き、眼前に風の大精霊シルフが顕現する。
精霊を守護する精霊獣――。
浸食による狂暴化――。
何者かの干渉により、各地で精霊獣が暴走する事が危惧されるとシルフは語った。
シルフの話を聞き、二人は被害を防ぐため、調査と討伐の旅に出ることを決意する。
こうして、英雄として名を遺す事になる、世界救済の旅が始まったのだった――。
下山した二人は一度別れ、各々に世界の存亡に関わる案件を国へと報告する。
世界崩壊の予兆――。
事態の重大さから、アルテムは国王への謁見が許され、世界救済のための調査を命ぜられた。
同時に、カルバイン王国への協力要請を認めた親書を託される。
親書を届け、オルカイトと合流する為、アルテムはカルバイン王国へと向かった――。
この謁見が――、世界崩壊の認知の始まりである。
創霊90年・サラマンドラ季・序月の頃――。
識の英雄、アルテム・ワイズの旅立ち――。




