第55話 セカイとミライ
序幕の為のプロローグ最終章。
序幕本編へと続く、数年を描いた物語をまとめた章となります。
第4章 継承
気高き意志は、次の世代へと継承し――、
暗躍する者達は、次第に思惑を形象していく――。
崩壊の兆しに、女神たちは警鐘を鳴らし始めていた――。
第55話 セカイとミライ
「ねぇ――、ミライ。ボクは今、とても楽しいんだ――。」
その声は――、冒険を待ち望む少年の如く、ワクワクとした、期待を膨らませたような口調で語った。
「セカイが楽しそうなら、私も楽しいわ――。」
片や、わんぱくな弟をあやす、姉のような雰囲気で、もう一つの声は返答する。
「ボクは、今のボクがとても気に入っているんだ。」
セカイは嬉々と語っていた――。
「どんなところが気に入っているの?」
ミライは優しく言葉を返す――。
「ボクが与える試練に挑む所だったり――、その為にゼロから文明をやり直したり――。沢山のユメたちより、苦悩する管理者たちの方が面白いね――。」
セカイは、無垢な子供が不思議なものを見るような口ぶりで、自らを語った――。
「そうね、とてもすてきな試みをしているわ。たしか――、今のセカイを紡いでいるのは、オズ――、と言ったかしら。」
ミライは、今のセカイを紡いでいる人物を思い出す。
はっきりとした人物像――、性格――、正しい名前は思い出せなかったが、あまり深くは考えていない。
「確かそんな名前だったね。ボクもあまり覚えていないけど――、楽しませてくれるなら何も問題はないね。」
同様に、セカイもまた、紡ぎ手の名前などどうでもいいかのようだった。
「そうね――。何も問題はないわ――。」
セカイの言葉にミライは同調する。
「さて――、今のボクをもっと面白くするために、今度は何をしようか――。」
次の遊びを考えるように、セカイは考えに耽った――。
本編開幕までの数年をまとめた第4章が開幕。




