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悠久思想同盟  作者: 二ノ宮明季
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 久々に見る、真っ白な空間だった。初めて日高と会った、人形のいる、あの場所。

 目の前には二体の人形がいて、私達の身体は人間の物に戻っている。

「クリアしたので、連続再生します」

「ちょ、ちょっと待って!」

 突然訳の分からない事を言った人形に向かって、私は待ったをかける。

「今までのは一体なんだったの? それに、連続再生って、何をするつもり? それから、結局ここってなんなの?」

「……」

 人形は無言で、少し考えるような仕草をした。人形に仕草、というのもおかしな話だが、とにかく、私にはそんな風に見えた。

「平行世界です」

「そう、ここは、平行世界の狭間」

 二体の人形は、言う。ここが平行世界だとかいう曖昧な話は、先に聞いていた。だけど、明確な答えは結局貰えていない。私はムッっとしながらも、今日高はどんな顔をしているのかと思って、彼に視線を向けた。丁度日高も、私を見ていたようで、目が合う。彼は、よく分からないという表情をしている。……ま、それもそうか。

「様々な平行世界での出来事を、百瀬橙子は見てきました」

「どういう事?」

「記憶の欠片、といえば、分かりやすいでしょうか」

 記憶の、欠片……あれの事か。

「それじゃあ、色んな世界で私と日高は出会って、そして死んでいたっていう事?」

 私の問いに、人形は「はい」と返した。

「百瀬、どういう事?」

「ゲームクリアって文字が浮かぶ、病院の待合室みたいな場所があったでしょ? その文字の下にあった宝箱の中身の話」

「あぁ、俺が取らなかったヤツか」

 日高は納得がいったようで、頷く。

「今からその内容を、連続再生します」

「それは分かった。で、あんた達は何なの? それと、私達がさっきまで人形になっていた理由は?」

 私の問いに人形は答えず、「連続再生します」と、再び口にした。また強制だ。

 私はため息を付いて日高を見る。彼は、「ま、何とかなるよ」と言った。

 大分変わったな。彼も、私も。

 人形たちが指を鳴らすと、私達の見る世界は、変わる。変わる。変わる。

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