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素直な気持ちで

二人はカウンターの隅で、床に座りながら話をする。


『智哉はさ、落とせない女なんかいないって思ってるやろ?』


愛が智哉の肩にもたれて話す。


『あはは、思ってるかもしれん』


智哉は愛の髪を撫でながら答える。


『あたしもな、一緒。

 男なんか単純、簡単に落とせるわ〜、あたしは恋愛のプロや!って今まで思ってた。

 何股もかけたり、飽きたら捨てたり。

 性格悪いやろ〜?』


愛は少し笑いながら言う。


『めっちゃ最低やん。

 まぁ、俺も人のことは言えんけどな』


智哉は笑いながら答え、愛に掛けてある自分の上着のポケットを探り、煙草を取り出す。


『・・・最初は、智哉に対してもそうやってん・・・

 智哉、落としたる〜って・・。』


愛が少し真顔で言う。


『え!?そうなん!?

 俺を忘れられんくて探したんちゃうん!?』


智哉は加えたタバコを一度手に取り、愛を見て聞く。


愛は少し俯いて笑い、答える。


『うん、探したには探したんやけども、智哉の事、何故かずっと覚えてた理由

 きっとあたしに感じ悪かった智哉に仕返しする為やと、最初は思ってたから。』


愛は笑う。


智哉は


『なんやそれ、しばくぞ!』


と、笑う。


『でもあたし、それは違ったってちゃんと気付いたやん。

 最初は認めたくなくて苦しんだけど・・・』


愛は智哉の持っているジッポを奪い、智哉が加える煙草に火をつけた。


『・・・まぁ、俺も最初は都合のいい女が、やってきおったって思ってたけどな』


智哉が笑いながら言うので、愛も笑いながら智哉の頭を軽く叩く。


『ほんまにうちら、素直やないよな・・・』


愛はまた智哉の肩にもたれかかり言う。


『・・・二人とも、めっちゃ恋愛下手なんやで、ホンマは。』


智哉が煙をフーッと深く吐く。


『あはは、ホンマやん、10年前にちゃんと素直に気付いてたらこんな風にならんかったのに

 もうどないも出来んようになった今に、やっと気付いて・・・

 あの時素直に認めてたら今のこの未来、変わってたのかもしれへんな』


愛は少し切ない声で言う。


智哉は考え込むように黙り込んだ。


しばらくの沈黙の後、智哉が口を開いた。


『なぁ、俺、アメリカ行くねん』


愛は山本から聞いていたのでついにその話が来たか・・・と言う感じで


『うん』


と、答えた。


『驚かへんの?』


と、智哉が聞くと、ハッと我に返り


『え!?あ、ゴメン、ボーっとしてた』


と、答えた。


また智哉は少し黙り、しばらくして愛を見た。


『素直になる努力する。

 だから思ってる事を一度だけ言う。』


智哉が愛をじっと見つめた。




『一緒にけーへんか?』




智哉の言葉に愛は驚き、智哉の顔を見た。


智哉は真顔で続けて愛に話す。


『もちろん、愛にはたくさん失うものがある。

 だから、強制じゃない・・・

 ホンマは強制したいけど・・・』


智哉が言葉につまり、頭を激しく掻いた。


『あ〜も〜!

 素直になりすぎて俺らしさまで無くしてどうすんねん!』


智哉はそう言うと、愛をまっすぐな目で見て、愛の両肩に手を置いて深く息を吸った。


『俺はドSやぞ!』


愛は真面目な顔で言う智哉に


『はぁ!?』


と、言い、少し笑った。


智哉はそれに構わず愛にいい続けた。




『俺と一緒に来い!

 これは強制や!』


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