心の変化
智哉は店を閉めた後も、一人店に残りカウンターに座っていた。
さっきまでの感情の整理をしていた。
【ここに座る山本と愛を見てて・・・
店を変えると言った山本に愛が同意した時点では
俺はこの女はもう要らないと思っていたはず・・・】
智哉は目の前にあるウィスキーをグラスに注いだ。
【店を出る二人を見るまではそう思っていたはず・・・】
智哉はウイスキーと一口飲んだ。
【出て行くのを見届けてカウンターに入ろうとしたら
修が『いいの?』って聞いてきたんやったっけ・・・】
智哉がグラスにつく水滴を手でぬぐう。
【で、何故か良い訳無いって咄嗟に思って・・・
俺、店飛び出したんやった・・・】
智哉は頭を抱えた。
【何が良い訳ないんや、俺〜!】
しばらく智哉はぼんやりした。
【・・・何で最後、また連絡するって言うたんやろ・・
今までならもうあんな女なら着信拒否すんのに・・・】
考えても答えが出ない。
【なんであの時、俺許してしまったんや・・・・?
それ程どうでもいい女やからか・・・?】
智哉は苦しんでいた。
【じゃぁ、俺、なんであんなに怒ったんや・・・?】
智哉は携帯を見た。
【何俺、知らんうちに愛からのメール待ってるんやろ・・・】
その時智哉の携帯がなった。
今日はホントにごめんなさい
今日のこと、本当に後悔しました。
一つだけ聞きたいことがあります。
さっき言った
【何でやねん】
の意味、よければ教えてください。
【何でやねん・・・そんなん俺言ったか・・・?】
愛からのメールにまた智哉は頭を抱える。
智哉は忘れていた。
と言うよりも、不意にでていた言葉の為、覚えていなかった。
智哉は一気にグラスに残ったウィスキーと飲み干した。
【はぁ・・・あ〜〜も〜〜!!
何でやねん!俺今までこんなことなかったのに!!
・・・何で別れたくないなんて思ったんやろ・・・】
智哉は最後に本音が出た事に気付いていなかった。
そのままカウンターにひれ伏せて智哉は眠ってしまった。