楽しかな、疑似恋愛
【よっしゃっ!】
電話を切った後、愛はガッツポーズ。
大成功だ。
智哉に浮気相手だとは言え、自分の女であると意識させることに成功した。
これで、どんっどん疑似恋愛をして自分の女だと言うことをもっともっと意識させる。
そのうちに、疑似だかなんだかイマイチ見分けがつきにくくなる瞬間がかならず訪れる。
次はその時を待つ。
こんなにうまくいくなんて!
愛はわくわくしていた。
しかも、なんだか疑似恋愛も少し楽しみだ。
愛もどうせなら疑似恋愛を楽しもうと思っていた。
その頃、智哉は電話を切り、一人クスクス笑っていた。
【それにしても、変な女〜・・・】
誰もいないことをいいことに、こっそり店の酒を一杯飲んだ。
【でもまぁ、今まで色々浮気もしたけど、やっぱり嘘ついたりしんどくて面倒くさくて・・・
それに比べて愛は、隠し事や嘘もなく付き合っていけるなんて、
めっちゃ楽そうやん】
智哉は楽しくて仕方なかった。
【あとはうまく沙織にだけはバレずにいくことやなぁ・・・
まぁ、それは今までも同じか 】
智哉は今繋がってるほかの女を携帯のメモリーを見ながらぼーっと考えていた。
【この際、面倒くさめの女、切ってしまおうか。
愛はしばらく楽しめそうだし】
そして、数名の女からの着信と、メール受信を拒否設定にした。
【次はいつ会う・・・かな】
智哉は久しぶりに特定の女に
【会いたいな】
と言う感情を持っていた。
そして、頭の中の半分の場所が、愛で埋まっていることにまだ気付いていなかった。