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男大好きですが何か?

『あ〜主婦って退屈〜・・・』


横になりながらパラパラとファッション雑誌をめくる。


『結婚も楽しいかと思ったんだけどなぁ・・・』


パタンと雑誌を閉じて天井を見つめる。


『面白い事ないかなぁ。』


そう言いながら彼女は携帯を手に取り、メール画面を開く。



宛先  ヒロ


本文  退屈〜。次はいつ遊んでくれるの〜?



送信っと。


程なくしてメールを受信する。



【旦那は?来週なら有給休暇とれるから、飯でも食いに行く?】



『・・・こいつにも・・飽きたな。』


そう言って携帯を閉じる。


そんな彼女の名前は



高橋 愛。 26歳の主婦。


大きな目やセクシーな唇、といったチャームポイントとなるような所もないが、少し茶色い肩までのストレートヘアに、位置や形が整った、顔のパーツ、作り。


女ウケしそうにはないが、男ウケのしそうな、可愛い系の顔。

あどけなさも少し残るが、不意に見せる表情には知的さが伺える。


そんな彼女は三年前の23歳の時に、会社員である今の夫と、2年の交際を経て恋愛結婚。

2年前には一人の子供を出産し、今は子育てに主婦に完璧にこなす普通の主婦。

2歳になる我が子を溺愛していた。


しかし、2歳になった我が子は、あまり手がかからなくなった事もあり、時間をもてあますようになっていた。


真面目だけが取り柄の夫。


結婚するには最適な男だと結婚に踏み切ったが、彼女は真面目すぎるが故、面白みの無い夫との平穏すぎる日々に不満を抱いていた。


話は遡り、彼女は中学生の頃、同級生とは違いませていた。


どことなく近寄りがたい大人な雰囲気を醸し出していた彼女は学校には馴染めず、虐めなどはなかったものの、学校では一人のことが多かった。


違う学校の生徒や高校生と遊び、学校へは勉強をする為だけに行っていたものだ。


そして彼女は異性に大変モテた。


中学生らしさの無い大人びた彼女は、学校では浮いていたものの、他校の生徒からはアイドル的存在で、常に彼氏と言う存在があり、学校への送り迎え、食事を奢ってもらう、TPOにあった色々な異性が彼女の側にあった。


当時は彼女は外見でモテていた為、男に媚びたりすることもなく、勝手に言い寄ってきた男を良い様に利用していただけであった。


そんな彼女も高校生になり、同じ中学の生徒があまり選ばない私立の女子高を選んだ。


勉強はそれなりにできた彼女は高校選びや受験を苦なくこなした。


しかし、高校に入ると、女子高と言えば、合コンにナンパ、数々の異性と出会えるきっかけが増えた。


容姿の良い彼女はそういう誘いを多く受け、参加する度に必ず一人は自分に行為を持つ男を捕まえてきた。


そしてだんだん異性を虜にする要領を身に付け、外見だけではなく言葉やしぐさで異性を自分に向かせる事も得意となっていった。


当時の彼女は二股や三股は当たり前のようにこなし、そ9れと同時に女友達が彼女から離れていく。


【大して美人でもないのに】


そんな言葉が飛び交い、次第に彼女は高校でも孤立していった。


そうなると彼女は次第に学校に足を運ばなくなって行った。


中学とは違い、アルバイトもできる。


お金も手に入り、学校でお勉強よりも、バイトをしてお金を稼ぎ、自分にチヤホヤしてくる男達と日替わりで遊ぶ、そういう日々が楽しくてしかたなかった。


【大して美人じゃないのに】


確かに絶世の美女というわけでもない彼女がどうしてそんなにモテたのか。


男ウケする、可愛い系の容姿であるに違いは無いが、色々な男と出会ううちに、彼女は一つの特技を身につけていた。


【人を見抜く力】


そう、少し話をしただけで、大体の相手の性格や、好きなタイプを見抜けるようになっていた。


モテない男、モテる男、真面目な男、遊び人、ありとあらゆる男を分析し、好きなタイプの女になりきる。


言わば彼女にとってはゲーム。


『こいつ、落としてやる』


自分に落ちていく男、そのやり取り、駆け引きが楽しくて仕方ない。


出会う男、男前、ブ男、関係なくとりあえず自分に振り向かせる。


ブ男よりも男前の方が難しいので楽しみがいがある。


しかし、自分に落ちた=恋人同士になった瞬間、彼女にとってゲームは終わり。


イイ男は数人手元に置いておくが、興味の無い男はすぐさま【ポイッ】。


しかしこの時点で相手の男は、彼女に夢中な為相当なダメージを受けるが、彼女は温情すら与えず冷たく捨てる。


何人の男が彼女に縋り付き男泣きしたことであろう。


そんな彼女は高校2年に上がる頃、完全に学校では噂が噂を呼び孤立してしまい、結果、退学してしまった。


彼女の両親も、何故孤立してしまったか理由まではよく解らないが、いじめられているという事実を彼女から聞き、退学をやむを得ず承諾した。


その後、バイトや仕事を真面目にこなしながらも、男を虜にする業を磨き、決して男の存在を切らすことなく今の今まで生きてきた。


社会に出ればもっと沢山の人間に出会える。


元々性格はサバサバとしていて、実は友情に熱い彼女は、彼女の性格や考えに共感できる女友達や親友もでき、充実した日々を送っていた。


そんな彼女がどうして結婚したのか。


彼女が結婚した23歳の時点では、彼女は愛人生活をしていた。


もちろん夫とは違う人である。


相手は某大企業の社長、もちろん既婚者。


生活が難なくできるくらいの面倒を見てもらっていたが、彼女には本命の彼氏として今の夫と当時付き合っていた。


そんな時に夫からのプロポーズ。


愛人生活で、自分が働かなくても楽しく生活ができ、年齢的にもそろそろ周りが身を固め可愛い子供を抱いている。


そんな生活も悪くないのではないか。


幸い夫は優しく、仕事も真面目でなんでも自分のいう事をきいてくれる、結婚するならこういう人が良い。


彼女は沢山の人と出会った分、男を見る目だけは確かだった。


愛人ともそろそろ潮時。


いつまでも続けるときっと不倫は痛い目に合う。


そういう事で愛人とは手を切り、今の夫との結婚を踏み切った。


結婚してからの彼女は人が変わったかのように、とても真面目だった。


主婦業も完璧にこなし、暇つぶしに始めた自分の仕事も完璧にこなし、旦那一筋で毎日生き生き過ごしていた。


彼女は男関係以外でも要領がよく、頭の回転も速く、仕事もバリバリとこなし、職場でも一目置かれる存在だった。


夫はそんな嫁を誇りに思い、自慢の嫁であった。


彼女も結婚生活が新鮮だったのか、夫を慕い、夫の為に時間を使い、尽くし、幸せな生活をしていた。


時期に新しい命を授かり出産、次は我が子に沢山の愛情を注ぎ、手がかかるながらも可愛い我が子を溺愛し、どこからどう見ても幸せそうな家庭だった。


次第に子育てをしている自分に夫が自分を女としてではなく、子の母親として接している事に気付く。


その瞬間、ふと、彼女のなかで何かが動き出す。


【あたし、女だよね・・・?】


過去の自分が頭の中を巡る。


次の瞬間彼女は携帯を手に取り、ヒロにメールを打っていた。



【お元気ですか?お久しぶりです】



ヒロは、彼女が今の夫と付き合う前に少しだけ付き合っていた男だ。


遊び人風の彼は彼女と付き合うことにより、だんだん真面目になり、彼女一筋になっていく。


次第にそんな彼を重く感じてしまった彼女は別れを切り出した。


携帯に結婚した今でもまだ、彼のアドレスが残っていたのは、彼はその後自分の友達と付き合いだし、相談相手として友達付き合いをしていたからだ。


しかし、彼は友達とも別れ、今は一人だと聞いていた。


彼女は自分を試したかった。


まだ女として魅力があるのかを・・・


それから3ヶ月、彼女は【ヒロ】と、自分がまだ女として魅力があると、自信を付ける為に月に一度だけ出かけていた。


ヒロは彼女にまだ未練があったらしく、だんだんまた重くなっていく。


それを最近感じつつある彼女は、面倒臭さを覚えていたが、主婦である以上、新しい出会いなどなかなかなく、ダラダラと【ヒロ】との関係を続けていた。



『はぁ・・・なんか面白い事ないかな・・・平穏すぎて退屈。ドキドキしたい。』

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