あなただけのあたしでいたい
メールを受信した。
今日は電話ありがとう
愛は優しいな。
智哉からのメールだ。
【作戦開始】
愛の頭の中でゴングが鳴る。
第何ラウンド目であろう?
久しぶりに男を落とすので勘が鈍っているのか、ここまでかなりの失敗をしてきた。
もう失敗はできない。
愛の恋愛感情に近い思いも、先日のセックスで吹き飛んだ。
よし、今からが本勝負だ。
愛はメールに返信をする。
体調はもう大丈夫?
彼女には優しく看病してもらった?
愛はとりあえずこう、送信した。
今日は彼女がシフトに入っていない日のはず。
店も平日のこの時間なら暇なはず。
おそらくすぐに返事は来るだろう。
思ったとおり5分後、すぐに返事が来た。
女、あの電話の後すぐに来たよ。
オレ、寝てたから気付かなかったけど・・・
ホワイトデーだから来たんだってさ(笑)
愛はあの日帰って旦那には何も言われなかった?
智哉からの【?】付きのメールが来た。
【よし、ここだ】
愛は智哉にすぐさま返事を打つ。
あはは(^◇^)
彼女、面白いなぁ。
旦那は大丈夫だったんだけどね。
・・・あたし、智哉に言いたい事あるんだ。
メールじゃぁ言いたくないから、また時間ある時に電話で言うわ。
よし、これでよし。
見てろ。
すぐに電話がかかってくる。
きっとこのメールを読んだ智哉は何か気になって、店が暇な今、すぐに電話をかけてくる。
もしかしてセックスしたことで何か問題がおきてるんじゃないかと、不安になり、かけてくるはず。
そして、順調に愛の思惑通り、愛の携帯に着信が入る。
ここで失敗はできない、演技力がものを言う。
『はい?智哉?
どうしたん・・・仕事中に・・・』
白々しい、実に白々しい。
『いや、今店、暇やし何か言いたい事ありそうやったし・・・
何やったん?』
智哉は少し不安そうだ。
愛のシナリオどおりに動いてくれる智哉。
有難い。
ここで愛は躊躇なく一気に答える。
『あたしさ、智哉以外の男と全部、切ったよ』