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創神~善悪宿りし神の化身~  作者: とりあえずネタ
8/19

第七章 誕生日

三週間ほど遅れてしまいましたが、最後まで読んでくれると嬉しいです。


今回はかなり短いです。すぐ読み終わると思います。


 早朝六時。ボクはベッドから起き上がる。目をこすりながらそのまま洗面台へと向かうと、鏡に髪がボッサボサのボクが映っていた。


 「ん~~~」


 寝起きだからちゃんとした言葉が出ない。が、ボクはその寝癖を見て、これは酷いなと思った。

 近くにある髪をとかすブラシで、絡まった髪を解く。ブラシを通しては引っかかり、通しては引っかかりの繰り返しで、引っ張られていく頭皮が痛い。

 この髪、どうにかしたいなぁ......。

 女の子みたいな行動をやって、しばらくしてボクはブラシを元の場所に戻し服やらなんやら色々入っているクローゼットの中にある服に着替え始める。

 

 「ふわぁ......」


 今日は大事な日だ。一年に一度しかない、大切な記念日。

 小さめなあくびをして、ボクは服を着替え終わる。近くの椅子に立てかけてある剣とその椅子の上に散らばっているナイフ五本を腰に装備して、自分の部屋を出た。

 

 今日はーーーーーーボクと妹達の誕生日だ。









 「「「「「「「「「「誕生日おめでとう」」」」」」」」」」


 パンッと、どこからか乾いた爆発音みたいな音がなる。それとほぼ同時に、城中の方々にお祝いの言葉を告げられた。

 ボクらの家系は、五歳、十歳、十五歳しか他国の王族貴族を招待しない。今回はボクと妹達二歳の誕生日だから、城の中の人たちのみに祝ってもらう。

 いや、それにしてももう二歳か。結構早かったな~~~、一年。一歳の誕生日を祝ったのがついこの前だったように感じる。ま、二歳になってもほぼ一歳の時と変わらない。騎士団に入団するには五歳以上だし、竜騎士選抜大会も七歳以上だし。あー。そう思うと早く大人になりたいって感じがする。

 ボクはその事に少し溜め息をつきながらも、二歳になったという自覚を少し感じながら、その場を過ごした。


 「では、カルミス、レルミス、エルミス、ラルミス。お前達にちょっとしたプレゼントをやろう」

 

 パンパンと手を叩いてボク達の視線を自分に向ける父様。その手には大きな杖が四本握られている。すると父様はゆっくりとこちらに向かってきて、ラルミスの前でピタリと止まった。そして手に持っていた杖の一本を、ラルミスに差し出す。


 「ラルミス。今日お前は二歳になったということで、父としての私からこの[業火なる火竜王ファイヤービカムズファイヤドラゴンキング]を授けよう。私が作ったものだ。お前の得意な火属性の魔法が宿った宝玉を装着している。大事に扱ってくれ」


 「あ、ありがとうございますっ...!!父上!!」


 ラルミスが歓喜の涙を流し、父様の杖を大事に受け取った。父様はしっかりと受け取ったのを確認し、その左隣にいるエルミスの前に行く。そしてさっきと同じような言葉で、


 「エルミス。ラルミスと同じく今日お前は二歳になった。父としての私からこの[漆黒のジェットブラックウルフ]を授けよう。これも私が作ったものだ。お前が得意な闇属性の魔法が宿った宝玉がはめ込まれている。大事に扱ってくれ」


 「嬉しい限りです、お父様」


 あまり笑う事が無いエルミスが、少し微笑み父様からもらった杖を丁寧に受け取る。そしてまた父様は左隣に移動し、今度はレルミスに杖を渡した。


 「レルミス。お前にも授けよう。お前の得意な水と氷属性の宝玉がはめ込まれている[憤怒の水蛇レージオブザウォータースネーク]。扱いには十分注意しろ。この杖では、国一つ流せるほどの魔力を秘めているからな」


 「あ、ありがとうございます」


 国一つ流せる、と言われた瞬間に、青ざめるレルミスの顔。嬉しいのか嬉しくないのかよくわからない感じの顔で、レルミスは杖を受け取った。

 そして、最後はボク。父様は他の妹達とは違う態度をとる。王位継承みたいな感じだった。


 「カルミス」


 父様から発せられる言葉はとても低く、そしてボクを信じている声だった。


 「お前も今日、二回目の誕生日を迎えた。お前はまだまだこれからやる事がいっぱいある。将来ーーーーーーこの国の王になるために、精一杯努力し、力と知識を身につけなければならない。それは分かっているな?」


 「はい、父様」


 なんかいつもより少し堅苦しいような気がする。いつも接しているような感じじゃない。ちょっと話づらいな......。


 「うむ。では」


 父様が手に持っている最後の杖をボクに渡す。ボクがそれに触れると、その杖は淡い光と薄くて黒い霧を出し、ボクの体に巻きついてくる。


 「父様...これは...?」


 「それはこの杖に宿る光と闇の力の一部だ。お前がこの杖を持つのにふさわしいのかどうかを試している。この杖は自分の主人を選ぶ生きている杖だ。所持者のステータスによって強くなっていく杖だ。所持者が成長すればその杖も成長する。名前は......そうだな。[光闇の生杖(レイアケイナオブライトダクネス]とでも名づけておこうか」


 そのまんまじゃん!!という気持ちは口に出さないでおこう。きっとこの杖もボクのために父様が一生懸命作った杖だと思うから。せkkっく作ってくれたのに最初に出る言葉がネーミングセンスに対しての不満じゃあ......父様の機嫌を損ねてしまうからね。ボクは後先の事を考えながら、口から溢れそうになる笑いを堪えた。


 「その杖も、私が作ったものだ。レルミスたちの杖を上回るほどの強力な力を宿している。今まで散々武器などを作ってきたが、それが一番上手く出来た代物だ。[生きている杖]など、私は初めて作った」


 父様が微笑みながら「頑張ったんだぞ」アピールをしていた。確かに、生きた杖なんて今まで見たことも聞いたことも無い。こんな最強の武器なんて相当の腕前が無い限り、作ることは不可能だ。と思うと父様はすごいな...って思う。なんでもできちゃうね、父様は。

 改めて父様の凄さに憧れなおしたボクは、「ありがとうございます、父様」と父様に心からの感謝を伝えた。


 「あぁ。大事に扱ってくれ」


 父様の大きな手が、ボクの小さな頭を撫でる。父様の撫で方は眠りそうになるくらい優しい。このまま眠ってしまいそうになったが、自分の体に何か入っていくような感じがして、そのまま目を開けっ放しにした。

 ボクの心臓部分に、先程杖から出てきた光と闇がゆっくり入っていく。何だか力がみなぎるような感じがして、とてもいい気分だ。


 「...杖が、お前を主人と認めたようだな」

 

 父様がポツリと呟く。最強の武器が、こんなボクを認めてくれた。その嬉しさに、ボクは心が躍った。

 パーティが終わったら早速この杖を使ってみようと、ボクはワクワクしていた。すると父様がテーブルの料理めがけて走っていくボクの肩を掴んで止めた。何だろうと思って、ボクは振り返る。


 「カルミス。その杖を使うにあたって注意点がある」


 注意点......?あぁ、レルミスみたいに国一つ流せるから気をつけて、とかか。


 「はい、なんでしょう?」


 さすがに最強の武器といえど、この力に酔いしれて使い方を誤ってしまえば、そこで終わってしまうからね。ボクは次の父様の言葉を待った。そんなボクに対して父様は、先程の優しい顔と打って変わってキツイ顔になった。めっちゃ怖い。


 「その杖に宿る光と闇は、普通に使えばとても強力な武器になる。...だが、闇は人の心に宿る光を飲みこみ、この世に終焉をもたらすことが出来る。もう片方の神の光で抑えながら使わなければ、そのままお前は闇に取り込まれてしまうだろう。それだけは注意しておけ」


 「...!!......分かりました、父様」


 父様の話を聞いて、ボクはゾッとした。過去に何度か闇に取り込まれた「闇堕ダークサイド」がいたという話を聞いた事がある。闇堕は人の体に宿る光を食料とするため、人に襲い掛かる。大体首辺りを狙ってくるらしく、対抗する手段はない。どうやら、寿命が尽きた闇堕は灰となって消えていってしまうようで、なかなか死体を調べられないらしい。ちなみに闇堕の寿命は一週間。ごく稀に、「半闇堕ハーフダークサイド」がいるという。半分自我があり、半分は自我が無い。にしても死後灰になって跡形も無く消えていってしまうとは恐ろしい死に方だな。

 つまりボクが言いたいのは、闇堕だけにはなりたくないということ。闇堕になったら最後、死ぬしかないということ。これを言いたかったのだ。


 「では、プレゼントも渡した事だ。今日は無礼講といこうじゃないか」


 父様がくるっと振り返って、他国から来た貴族や王族の方々にワイングラスを掲げる。王族達はそれにあわせて父様と同じくワイングラスを掲げ、歓声を上げる。


 「......」


 今日は長い一日になりそうだ。

次回更新予定 6月4日

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