第十七章 災厄、再び
いやー。受験生って大変ねェ...(⌒∇⌒)
微かな父様の魔力を感じて。僕は父様の所にたどり着いた。
やっと。やっとだ。長かった。
「父様...これは...」
来たのはいい。だが、この状況は一体全体どういうことなのだろうか。危険な予感がすると思えば父様は何かの大きな存在と戦っているのを感じ、気が付けばその大きな存在が消えてまた大きな、そして異様なオーラを持った何かが感じ取れた。
来てみれば、今目の前にいるのは...。
「何故...あの伝説の邪竜が...今ここにいるのですか...!!」
神の力によって封じ込められたあと、何度かこいつは蘇ったことがある。巨人族の大地の力によって、その強大すぎる力を何度も解放させこの世界全体を震わせた。中にはこの竜の子供を攫ったり、殺したりすることで怒りを爆発させ蘇らせた巨人族もいる。何の理由があってこの邪竜達を蘇らせているのか分からない。だがそれは許されないことであり禁忌である。神の反逆者である。
それが、また。
また復活してしまったのだ。この竜が復活したせいでまた多くの命が失われることになる。惨劇を再び、呼び戻すことになる。
それだけは...阻止しなければならない。
「...知り合いの...[巨人族]の仕業だ...」
やはり巨人族だ。大地の力を悪用して、蘇らせた。また再びあの最悪と呼ばれた災厄が、実現されようとしている。
...え。知り合い...?僕は時間差で父様のその言葉に反応した。今、知り合いと...言った?巨人の......知り合い?
「どういうこと...ですか...?...知り合い...って...」
「......昔、私がお前ぐらいの頃に戦って敗れた相手だ」
それって、父様が初めて戦争に参戦した日のこと...。詳しいことは話してもらっていないけど、その戦争が第二次人魔大戦だったらしい。普通の戦争とは比べ物にならないくらい大規模で、死者負傷者が多かった過去最大の災厄。この竜も、その時からこうやって復活するようになった。
...なんか.....竜の様子が変だ。なんか、徐々に魔力が上昇しているような...。
僕は獣の優れた嗅覚で、相手の魔力を嗅ぎとった。やっぱり魔力の量がさっきと比べ物にならない。
「...父様」
「あぁ」
どうやら父様も気づいているようだ。そもそも、この量で気づかない者などいないだろう。
でも何故こんなにも魔力が膨張してしまっているのだろうか。魔力持ちの魔物は他の魔物から魔力を吸い取ったり分け合ったりして魔力を補給する。そして集めに集めまくった魔力の影響で力が暴走してしまったり、容姿が変わってしまったりすることも少なくない。
では、もしかしたら......。僕は辺りをくまなく見渡した。だが、彼と同じような竜型のモンスターや怪しいものなど無かった。
じゃあ、何故......?
「_____一時撤退する」
すると父様が、急に撤退命令を僕に出した。それを聞いて何事かと思い僕は理由を聞こうとしたが、父様の顔を見て聞くのを止めた。
「父...様......?」
顔を覗くと、少し青ざめている様子だった。父様のこんな顔は無論見たこともなく、驚きを隠せなかった。余裕がない顔。どこか冷静さを保とうとしているが、ちゃんと隠しきれていなかった。
僕はもう一度父様を呼んだ。しばらくしてやっと反応してくれたものの、理由を話す感じもなく父様はその場から走り去った。
「父様!?」
僕も父様の後を追う。何があったのだろうか。とりあえず、黙ってついていく他ないのだが。これだけ取り乱しているということは、最悪な事態が起こったに違いない。
黒馬に乗りそのまま全力疾走する父様に、白馬で僕は追いかけて行った。
「ゲルド...貴様ッ...!!」
そんな父の怒りの声に、僕は気づかなかった。
次回更新予定:8月上旬




