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星見る竜  作者: 千夢
8/8

エピローグ

 あれから三年の月日が経つ。あの戦いが嘘だったかのような平和がレベッカにもやってきた。その間に出産、子育てを経験した彼女の顔は、大人びているだけでない、ふんわりとした顔になっていた。

 子供が産まれてから少々かかぁ天下になったようで、テリーは何でも手伝えるパパに。この家族の下へマリーとアウルラも一緒に住むこととなった。

 あの邪心竜の一件以来、魔法が少し認められた。


「きょうは、パーティ、きょうは、パーティ」

 幼い女の子が歌っていた。

「私のパーティ!」

 家族みんなが微笑んでいた。

「さぁ、ケーキの出番よぉ~」

 可愛らしいケーキには二本のキャンドルが立っている。

「じゃぁ、電気を消そう」

 パチンとスイッチを消すと、キャンドルの灯りが女の子の顔を照らす。

「じゃ、みんなで歌いましょ。せぇの…………」

「待って!」

 女の子が止めた。

「パーティはディーバが歌わないと始まらないのよ、私が一番に歌うの」

 歌姫『ディーバ』と名付けられた女の子は自分で自分の誕生日の歌を歌い始めた。

「ハッピーバースディ、ディーバ、ハッピーバースディ、ディーバ…………」

 最初からディーバの名前が入っているところは少々気になるものの、そこにいる者はみんな、この可愛らしい歌姫の歌に微笑んだ。ディーバはなぜか、何度もはじめのフレーズを歌い続けている。

 小声でレベッカとマリーが話す。

「この子の魔法は、歌ね」

 うんうん、と、二人で頷く。

「名付け親のディーバはどうしているかしら」

「あの森に住んでいるらしいわ。神殿の横の森の、祠のあと。ちょうどいい大きさだって、快適に暮らしているみたい」

「そうなの。…………不思議だったんだけど、ディーバは何竜だったのかしら。水も、風も、火も操っていたけど」

「白竜としか言いようがないわね。力が強すぎて何でも扱えたんだわ」

「ハッピーバースディ、ディア、ディーバ~」

 ずっと自分の誕生日を祝っているディーバが、もう少しで歌い終えそうだ。


「ハッピーバースディ、ディーバ」


 END

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