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玉葱とクラリオン  作者: 水月一人
第三章
95/398

玉葱とクラリオン

 メディアでの襲撃を受け、滞在の予定を取りやめた但馬達一行は前線基地までとんぼ返りすることになった。


 この一連の陰謀を張り巡らせた相手は、よもや失敗するとは思っていないだろう。次の手を打たれる前に自分たちの無事を知らせるべきだと考えた彼らは、夜が明けるとまた苦労して通ってきたばかりの山越えのルートを逆戻りした。


 世界樹の施設が止められたと知ると、まるで一気に年を取った感じに呆けてしまった執政官をサポートするために、リーゼロッテは村に残った。死んだ多くの子供たちを弔わねばならなかったし、これから前線の兵士たちも迎え入れてやらねばならないから、暫くは帰れないだろうと言うと、彼女はリリィに別れを告げた。


 彼女はもうエトルリアの食客ではなく、メディアの女王として、今回の後始末をつけることに決めたようだ。


 世界樹の跡地には誰も残っておらず、焼け焦げた大木の骨格が無残に晒されているだけだった。根っこにある施設はもう亜人を生み出しはしないだろうが、相変わらず何かが動き続けており、薄気味悪いので入り口以外に土を被せて埋め、立入禁止にするつもりだそうだ。


 強行軍で前線基地まで戻ると、予定よりもずっと早い帰還に大将は驚いていた。メディアで何があったかを語ると今度は怒り、帰還途中の兵士を呼び戻し、今度こそメディアに侵攻をかけると息巻いて、おまえは何を聞いていたんだとリリィに怒鳴られていた。


 リリィを宥めすかすブリジットの姿を、これって立場が逆なんじゃないかな……と横目で見つつ但馬は席を外すと、基地に駐留しているはずの自分の会社の社員に会いに行った。順調ならばそろそろ電話が開通しているはずと思ったら、運の良いことに、ついさっき開通したばかりだった。


 早速とばかりに通話をお願いし、繋がった相手に緊急事態だから近衛隊か大臣かを呼んでくれと頼み、やってきたウルフに一連の騒動を伝えた。


 そして先んじて情報を得た憲兵隊と近衛隊が市内に潜伏していた不穏分子を逮捕し、調べてみたら、案の定何か騒動を起こして撹乱する計画を立てていたことが判明した。彼らはどうやら、攫ったタチアナをここで使うつもりだったらしい。リディア憎しと、彼女が暴走したように見せかけるつもりだったようだ。下手をすれば、彼女はここで殺されていたわけである……尤も、その時、但馬もこの世にはいなかっただろうが。


 ともあれ、こうして事なきを得たローデポリスであったが……話はこれでは終わらない。


 事の次第を聞かされた国王は、顔を真っ赤にして激怒すると、すぐさまカンディアへの侵攻を決断した。今回の一連の騒動はカンディアの関与が明白であり、ついに堪忍袋の緒が切れたようである。


 国王は即日リディア国内にあったコルフ船を全て没収すると、それを使ってカンディアに侵攻を開始した。元々、リディアに軍艦は無く、年末年始も重なって、完全に油断していたカンディアは、翌年リディア軍に急襲上陸されると、あっという間に白旗を挙げて降伏し、領主一族は追放されることとなった。


 イオニア海沿岸にあるエトルリア諸侯から非難声明が出たが、元々カンディアはリディア王の故郷であると正当性を主張されれば、彼らにはそれ以上何も言えることはなくなった。リディア軍は精強であり、単独では勝ち目がない。おまけにその頃にはもう今回の事件の噂は明るみに出ており、それによるとカンディアはリリィ殺害未遂の嫌疑がかかっているわけである。


 カンディア領主はそのことを追求されるだろうが、リディア王にはもうそれを助けるつもりはさらさら無かった。こうしてリディア王ハンスは、期せずして60年ぶりの故郷へ、帰郷することになったわけである。


 一方その頃、リディア軍のカンディア侵攻を契機に、コルフから保守勢力が脱出した。彼らは拘束されていた総統を救出すると、海賊の目をかいくぐり、リディアへと亡命を果たした。


 こうなってくるとクーデター勢力に大義はなく、事を重大視したティレニア軍が国境へ兵を進める事態となった。亡命政府は都市の明け渡しを求めたが、彼らはこれを拒否し、イオニア海に海賊船を並べると、籠城の構えを見せた。


 しれっと参戦してきたエトルリア軍も加わって、コルフは完全に包囲されたが、元々海上の港湾都市であったために、陸からは攻めづらく、暫くにらみ合いが続くことになった。


 とにかく海上に海賊船が居る限りは籠城が続くだろうと思われた。ティレニアとエトルリアは元々仲が悪く、お互いに協力しあうという考えはなく、いかに相手の足を引っ張ってやろうかと考えていたからである。


 それでもどうにか、エトルリア海軍を派遣するか、いやそれではティレニアに旨味がない……などと話し合いを始めた頃、リディア方面から黒い二隻の船がふらっとやってきた。


 普通ならあり得ない航路を通ってやってきたとは言え、所詮は船二隻である。何も出来ないだろうと誰もが高をくくっていたところ、その船は弓の射程外からボンボンと何かを飛ばしてきては、すかさず離脱した……因みにこれがこの世界初の臼砲による艦砲射撃であった。


 海賊船の密集する沿岸部上空で炸裂したその榴弾から飛び出してきた火の玉は、船に降り注ぐと燃え上がり、水をかけても消えることはなかった。リディア軍艦はそうして遠巻きに一撃離脱を繰り返し、敵が近づいてくれば全力で沖に逃げた。それでも近づいてくる船には、引きつけて散弾をお見舞いし、一方的に攻撃を加え続けた。


 ガレー船の戦術とは明らかに違う。これには海賊船も為す術がなく、元々金で雇われただけの私掠船の集団であるから、分が悪くなると続々と戦線を離脱する船が出始めて、やがてコルフを守る海の戦力は居なくなり、恐れをなしたクーデター勢力は降伏した。


 そして翌日、ティレニア・エトルリア両国軍が市内に入城し、両軍監視の下、コルフは亡命政府に統治権が返される運びとなる。


 これら一連の戦闘はリディア軍の強さを内外に示すこととなった。


 陰謀を張り巡らせた者が何者なのか、未だに判然とはしなかったが、その誰かが警戒していた通り、リディアが大陸に目を向けると言うことは、つまりこういうことなのだと、誰もが危機感を覚えるようになったのは皮肉であったと言えよう。


 更に同年、リディアは長年に渡るメディアとの戦争に終止符を打ち、これを吸収。女王は退位し、メディアはリディアの一地方となる。これを受けてリディアは国名をアナトリアと改め、陸海の王者としてイオニア海に君臨することとなるのだった。

 


 

 時を戻してカンディア侵攻前、但馬はローデポリスの自宅へとようやく帰還し、人心地をついていた。


 市内はリリィや但馬の暗殺未遂や、国内に潜伏していた者たちによるテロ未遂事件の話題で持ちきりであり、せっかくのクリスマス休暇だと言うのに、どこもかしこも落ち着かない様子であった。


 もしこれが上手く行っていたら、そのせっかくのクリスマス休暇が血に染まっていたはずだから、仕方ないといえば仕方ないことだろう。だが、本来なら陽気な彼らが、こうして殺伐とした雰囲気で目を血走らせているところ見ると、但馬は少々残念に思えるのだった。


 但馬の帰還が知らされると、彼の家には続々と人が押し寄せてきた。親父さんたちはもちろんのこと、農園のオジサンやフレッド君、工員や会社の人々、大臣やら頭取やら、近衛隊長がウルフと一緒にやってきたり、終いには一度くらいしか顔を合わせたこともない貴族の連中までやってきて、来客の応対で休む暇もないほどだった。


 そして最後に、何やら外が物々しい雰囲気に変わったなと思いきや、国王がやってきて流石に度肝を抜かれた。呼んでくれればいつでも馳せ参じるのにと言うと、孫娘を助けてくれた礼だから、自分で来るのが筋だと言われた。


「いや、助けてもらったのは俺の方です。今までも、ブリジットが居なかったら死んでたなんてこと、しょっちゅうでしたからね。今回も大活躍でしたよ」

「謙遜するでない。いくらあれが強くとも、エルフ相手ではどうしようもなかったはずじゃ」


 そりゃまあ、そうだが。実際問題、総合的にブリジットのほうが戦闘力はずっと上だと思うのだが。


「とは言え、孫娘が褒められるのは悪い気分ではないの。素直に礼を言おう」

「いえ、こちらこそ」


 国王はふっと笑うと、長居をしては迷惑がかかるだろうからと席を立った。お付の近衛兵がさっと彼のためにドアを開けると、その近くに立っていたアナスタシアが平伏して小さくなっていた。


 国王はそんな彼女の横を通り過ぎる時、ふと思い出したといった感じに言った。


「……お主が、但馬の使用人か。名前はアナスタシアじゃったか」


 まさか自分の名前なんて知るわけ無いと思っていたアナスタシアは、珍しくあたふたとして、返事をするのがだいぶ遅れた。それを失態と思ったのか、彼女が更に小さくなると、


「そう萎縮することはあるまい。孫娘から聞いておっただけのことじゃ。あれに剣を教えてもらっておるそうじゃの。なかなか筋が良いと褒めておった」

「は、はい!」


 アナスタシアが真っ赤になって返事をする。今まで一度も見せたこともないような表情に、思わず噴き出しそうになる。


「……あれは生まれのせいか、同じ年頃の友達もおらんでな、少しは女らしくなるやも知れん。仲良くやって欲しい」

「は、はい!」


 国王は孫娘を眺める好好爺のように彼女に笑いかけると、


「邪魔したの」


 と言って去って行った。


 王宮に近くなったとは言え、それでも国王に寄り道をさせるとは、自分も出世したものだなあと感慨深く思いながら見送っていると、隣に立っていたはずのアナスタシアがヘナヘナと腰を抜かしてへたり込んだ。


 呆然として口を半開きにし、額には汗をびっしょりとかいていた。大げさに思いもしたが、考えても見ればこれが普通の反応かも知れない。


「大丈夫?」


 と声をかけてもまだ放心状態の彼女を抱き起こすと、ダイニングテーブルにつかせて冷たい飲み物を与えた。彼女は真っ赤な顔をしながらゴクゴクとそれを飲み干して、更にもういっぱいお代わりしたところでようやく落ち着いたようだった。


 その様子が可笑しくて、思わず顔がほころんでしまうと、彼女はムスッとした顔を背け、拗ねた素振りを見せた。


 出会ってからやっと一年で、最近、ようやくそういう顔も見せてくれるようになった。少しずつ、彼女にとって、いい方へいい方へといっているんだと思うが、もしもこの子を巻き込んでしまったら、また逆戻りしてしまうのだろうか。


 今回は本当にやばかった。彼女を連れて行かなくて良かった。そんなことを考えていると……突然、アナスタシアが但馬の眉間をグイッと人差し指で突き刺した。


「……先生、眉間に皺が寄ってるよ」


 そんなことを、いつもの、眉間に皺を寄せた表情で彼女が言うのである。


 但馬は思わず苦笑いすると、お返しとばかりにグイッと彼女の眉間を指差して、


「アーニャちゃんも寄ってる……つーか、凄いなこれ、指が埋もれてる」


 そう言うと、彼女の眉間の皺はより一層深くなった気がして……


 二人はお互いに目を見合わせた後、プーッと吹き出して笑いあった。


 やっと安全な家に帰ってきたんだ。今日くらいはもう、難しいことは考えないで気楽にしておこうか……


「そう言えば、リオンは?」


 と但馬が言うと、


「来客が多くて不安そうだったから、お母さんに預かってもらった」

「そっか、じゃあ迎えにいかないとね」

「うん……」


 そういいながらも、見つめ合った瞳がなかなか離れない。但馬は眉間に押し付けていた指で、そのままツーっと彼女の頬を撫でた。彼女はその指先を目で追って、やがてそれが止まるとまた彼の顔を見上げてきた。


 心なしか、潤んだ瞳で見上げる彼女の顔が近づいてくる。それは彼女が近づいてくるわけではなく、自分が近寄っていってるんだと気づいたら、途端に気恥ずかしくなって、但馬は体を離そうとしたが……それを制するように、アナスタシアの手が彼を掴んだ。


 胸にしがみついた彼女の体が密着し、見上げる瞳が徐々に近づいてくる。そしてお互いの息がかかるくらい近くなると、彼女は言った。


「先生と会ってから、毎日が楽しかった」

「そっか」

「夢みたいだった……」

「そう……かな?」

「あたしは多分、一人じゃ生きられないと思うから。だから……絶対、一人にしないでね?」


 前に一度考えたことはある。自分が居なくなったら、彼女はどうなってしまうんだろうかと……


 多分、彼女はもう大丈夫だろうけど、別の意味で一人にしたくないし、させたくないと思い、但馬はギュッと彼女を抱きしめると、力強く頷いた。


 そして、二人の顔が徐々に近づいていくと……


 ゴンッ!!


 っと、音が聞こえたかと思えば、


「あ……す、すまん、社長! 邪魔をした! 本当にすまない!」


 来客を告げに来たらしいエリオスが、百面相をしながらそう叫ぶと、踵を返して去って行った。


 二人は暫し呆然としたあと、我を取り戻し、咄嗟にお互いに距離を取ろうと飛びのいた。


 二人の顔がみるみるうちに赤く染まっていく。


 逃げるエリオスを尻目に首をかしげながら入室してきたトーは、その姿を見て何があったか感づいたらしい。


「どうした、続けろ」


 彼はそう言うと肩を竦めてやれやれとお手上げのポーズをし、


「……30分でいいか? 初めてはそんなもんさ」


 と言って、退屈そうにあくびをかましてから、悠々と背を向けて去って行った。


 今どうしてもしたいことがあるならば、それはアナスタシアとイチャイチャすることではない。この男を処刑することである。




 但馬の家へやってきたトーは、もう特に隠すことでもないからと、あっさりと自分の正体を明かした。


「皇太子派か……」


 かつて皇太子が生きていた頃、リディア国内で彼が子飼いにしていた勢力の残党らしい。とは言っても、彼自身は皇太子に会ったことも無ければ忠誠を誓った覚えもない。単純に能力を買われて皇太子派に雇われていたというのが正しいそうだ。


 彼はリディアに但馬が現れると、どう考えても怪しいこいつが何者であるのか、その正体を探れと命令された。しかし正体を探れと言われても但馬は但馬としか言えないような奴であり、背後関係をいくら洗っても何も見つからず、日々のんべんだらりと暮らしてる様を見ている内に、何者かは分からないが、害はないということで落ち着いた。


 その内、こいつがメキメキ頭角を現してくると、今度は疑いつつもこいつを利用しろと命令されて、エロ本作ったり、まあ、リディアの得になるような方向に誘導していたらしい。基本的に、面倒くさがりな性格は本物のようだ。


 しかし、段々雲行きが怪しくなる。頭角を現すと言っても、いくらなんでも出来過ぎなのだ。次々と繰り出す発明の数々、人類が知りようもない知識をあっさりと披露しておきながら、それが本当に大したことのないように振る舞う。こんな男が居るものか、どこから来たのか、こいつは。未来から来た超能力者か神様か、一体こいつは何者だろうかと、誰もがそう思うようになっていった。


「いや、そんなこと言われても……まいったな」


 未来から来た超能力者というよりは、過去から来た異邦人と言ったほうが正しいだろうか……しかし、それを言ったところで、誰にも理解してはもらえないだろう。


「つーか、実は神ですって言っても、おまえどうせ信じないだろ?」


 トーは、ゲラゲラ笑うと、


「確かにな……まあ、そんなもん、どうでも良かったんだよ、もう」


 但馬が何者であろうと、彼がリディアに好影響を与えていたのは事実であり、彼に悪意があるわけでもない。そんな彼を疑うよりは、利用したほうがよっぽど良いだろうと、彼らは考えを改めた。


 ところが、そうして味方として受け入れようとしたら、この男がとんでもなく無防備なことに気付かされた。全く自分の身を守ろうとしない。それを心配した護衛に口を酸っぱくして言われてるのに、お構いなしに飲んだくれるわ、遊び呆けるわ、あいも変わらずスラム街に入り浸るわで、初めは疑っていたはずなのに、今度は逆に心配になって来た。


 そうこうしている内に会社がドンドン大きくなってきて、勝手に敵を増やしていく。利用しようとして近づいてくる奴も次々とお構い無く受け入れる。奴隷は買う、亜人は保護する、こいつは本当に放って置いて平気なのだろうかと、不安になった彼らが身辺調査をしたところ……今回の発端となるべき事件が発覚した。


 どうやら、但馬はだいぶ以前から、いろんなところから狙われていたらしい。


「製塩所の社長は貴族だからな。社交界でエトルリア貴族と交流を持っていて、恐らくそこで取り込まれたんだろう。いや、自分が利用されてるとも思っていなかったようだ。とにかく、おまえに近づいて利用すれば大儲けまちがいなしだからと唆されて、おまえを巻き込んで盛大に自爆したわけだ」


 目的は但馬に大損させて、失脚させるつもりだった。ところが、普通ならあれだけの損失を被れば再起不能になるはずが、持ちこたえてしまった。但馬を自由にしておくとやはり危険だと、危機感を募らせたその犯人は、殺意を抱くようになっていった。


 但馬の周辺がきな臭くなってきたと感づいた彼らは、秘密裏に協力しあって国内の不穏分子を炙りだしていった。コルフが怪しいと思うと、子飼いのものを潜りこませ、そしてクーデターのことを突き止めた。


 残念ながらそれを止めることは出来なかったが、利害関係は一通り把握していたので、タチアナに害がないことは分かっていた。そして、そんな彼女を心配して現れたランに対し、メディアへ付き添うように指示したのがトーらしい。


「あのおばさんは、ロレダン家の家令の親戚らしい。クーデターで親戚が拘束されたんで、心配して見に行ったら、使用人から総統の手紙と言われて託されたんだと。そうしてメッセンジャーとしてリディアまで来たわけだが、多分、騙されたんだと教えてやったら、すげえ怒ってた」


 その頃にはコルフの連中がタチアナを陥れようとしていることは判明していたから、これを失敗させて一網打尽にしようと、ランを護衛につけた。メディアで何か起こるだろうが、あとは但馬がどうにかするだろうと、その間、市街に潜伏していた不穏分子を見張って知らせを待っていた。


「……おまえなあ、マジで死にそうになったんだよ!? 知ってたんなら止めろよ」

「リリィ様を狙うとか、メディア全体が敵になるなんて、考えてなかったんだよ。ちょこっとおまえのことを呼び出して殺そうなんて連中に、おまえが殺られるわけないだろう? 姫様だっているのに」

「まさか……おまえら、ブリジットも捨て駒にしようとしたのか!?」

「逆だ、逆。姫様はこの国の切り札だぞ。あれに敵う人間が、この国のどこに居るってんだ」


 物は言いようだが、開いた口が塞がらなかった。本来なら、自分たちが守るべき対象だろう。近衛兵に聞かれたら、きっと処刑されるぞ……ものすごいドライな反応に、こいつ本当に味方なのかと思い睨んでいると、


「そう言う合理的なメンバーが揃ってたんだよ、皇太子の取り巻きは。皇太子自身がそう言う人だったらしい。だから使えない王子を疎んじて、姫様ばかり可愛がってたって、聞いたことあるだろう?」


 そう言えば、なんかそんな話は聞いたことがある。


「皇太子が勇者に会いに行ったのだって、メディアとの戦争を止めさせるためなんかじゃないぞ」

「……え?」

「亜人という貴重な戦力を、こんな下らないことに使ってるくらいなら、おまえは下りて俺に寄越せと言いに行ったんだ。おまえが生ぬるいことをいつまでもやってるようなら、俺が代わりに世界征服するから、さっさと隠居しろと」


 リディア皇太子として社交界を外遊していたとき、彼に接触してきた亜人の奴隷商人が、戦争のからくりを教えたらしい。彼くらいドライな人間であれば、きっと取り込めると思ったのだろう。ところが、それを聞いた彼は一言、もったいないと言うと、勇者に文句をつけに行った。


 勇者はそれで、自分が信じていた亜人に裏切られたことを知り、彼らを排除した。そして自身の甘さを痛感し、皇太子と交渉を始めたが……


 が、そもそも、皇太子を唆しに行った亜人の奴隷商人が、皇太子にしか声をかけてないわけもなく……不測の事態を察知した敵対勢力に、勇者も皇太子も罠にはめられたと言うわけだ。


「勇者だって、言われてるような人格者なんかじゃねえよ。この国の連中はみんな良いようにしか捉えてないが、あっちの大陸で育ったら全く別の顔になるぞ。あいつが奴隷解放を掲げて荒らしまくった戦場が、どんだけあると思う? どれだけ沢山の人間が死んだと思う? こいつらにとって、勇者はただの悪魔だよ。社長、同姓同名であるあんたが活躍すると、そいつらはトラウマを思い出してヒステリーを起こす。それだけは覚えておいたほうが良いぜ」


 聞いていたのとぜんぜん違う事の顛末と、勇者の真の姿に但馬はうんざりするようなため息が漏れた。


 しかし、それにしてもつくづく亜人は報われない。亜人が生み出された理由を知ったら、皇太子は果たして同情したのだろうか……多分、その技術にしか関心が向かないだろう。


 この国は、皇太子を失って良かったのか悪かったのか、なんとも判別がつきにくかった。実際、これだけ合理主義が徹底していれば、稀代の英雄になっていた可能性だってあるかも知れない。


 なんにせよ、そんな皇太子の残党が残って何をしていたかと言えば、


「やっぱり国王は甘いからな。それが魅力でもあるが欠点でもある。誰かが汚い仕事を引き受けなければって考えて、自然と集まってきたのさ。白状してしまえば、今回のメディア行きに乗ったのは、ひとえに施設を把握できる可能性があるからだ。危険なところにわざわざ国賓を向かわせることはないだろう」

「把握できるって……あの施設は止めたんだぜ? また動かせというなら、俺はおまえらと袂を分かつことになるが……」


 まさかそんなことを考えていたのかと思い、警戒して尋ねてみたが、


「良いんだよ、それで。止まるのが一番いい。駄目だった時は、こちらの制御下に置きたかった。そういうことさ」

「そっか」

「何しろ、戦争は金がかかるだろう? 国内のいざこざに、いつまでもこんな金をつぎ込んでいられない。向こうも限界だったようだが、こっちも限界だったんだよ。主に予算がな」


 そう言うと、トーはカラカラと笑った。まるで悪びれない素振りにため息が漏れる。


「何にしても働いた。もう一生分働いた。暫くはゆっくりさせてもらうぜ」

「いっつもゆっくりしてるじゃねえか、おまえは……つか、このあとどうするんだ? 俺に正体明かしちゃったけど」

「俺はただの雇われだからな……正体のバレたスパイに意味は無いだろう。普通の男の子に戻るだけだ、普通の」

「そうか……」


 但馬はゆっくり頷くと言った。


「なら、改めてうちに来いよ」


 その言葉に、トーは片眉を上げた。


「おまえが居ない間に仕事取ってきたんだ。公共事業だぞ公共事業」

「へえ、やるじゃん。どんなの?」

「外洋交易だ。イオニア海をすっ飛ばしてアクロポリスやセレスティアと交易を行う。それが上手く行ったら、今度はよその大陸だ。南の方にブリタニアって島があるって聞いたことがあるだろう? あれ、俺が調べた限りでは本当らしいんだよ。島じゃなくって大陸なんだけど」


 方角的に、南西へ向かえばオーストラリア大陸があるはずだ。本物のブリタニアではないが、あそこも英連邦の国の一つだったし、構わないだろう。細かいことはいいのである。


「そこに人間が居るのか、エルフが居るのか、それとも未知の生命体が居るのか、確かめに行こうぜ」

「へえ、面白そうだな……おまえが船長なの?」

「あたぼうよ」

「じゃあお断りだ。沈みそうだからちゃんとした人を雇ってくれよ」

「お、おう……合理主義者め」


 そうしてその後は二人で馬鹿みたいな会話を朝まで続けた。オーストラリア大陸には有袋類という生物が居ると言っても、トーは信じてくれず、そんな悪魔みたいな生物が居てたまるかとブルブル震えながら返してきた。


 いや、これが可愛いんだと言うのだがどうしても納得が行かない彼が、じゃあ書いてみせろとスケッチを渡してきたので、うろ覚えのカンガルーを描いてみせたら、やっぱり悪魔じゃねえかと罵られた。コアラやカンガルーが可愛くないわけじゃない。但馬の絵が下手なのである。


 その後は酒も入ってへべれけになりながら、エアーズロックのことを説明しようとしてグレートキャニオンの話を小一時間続け、ようやく間違いに気づき修正しようと思ったところ、バングル・バングルという赤い大地のことを思い出し、昔読んだホラー小説を思い出してゲーゲー吐く羽目になった。


 大陸は主に砂漠地帯が多いが、大陸周辺部はサンゴ礁が多くて、特にグレートバリアリーフというところはこの世の楽園のようだと熱心に伝え、いつかみんなで遊びに行って、シュノーケリングでもしようぜと約束した。


 あとは記憶も飛び飛びになって、色んな話をしたはずなのだが、翌日にはもうよく覚えていなかった。途中でアナスタシアが但馬の介抱に来て、トーに何かを言われたりしてたが、その時に、てめえ俺の女に手をだすんじゃねえとか、酔っぱらいみたいなセリフを吐いていた気もするが、断じて酔っては居ない但馬が翌日の昼過ぎに起きだすと、トーはとっくに帰った後だった。


 翌日もまた但馬の帰還を喜ぶ訪問者が次々とやってきて、アナスタシアと二人で応対し、夜になってリオンを迎えに行ったら眠っていたので、みんなで泊まることにした。


 エリオスが憲兵隊を数人配下につけて家の周囲を警戒していたが、それを労うことも、やっぱり自分だけでも家に帰るとも言えなかった。


 年末年始は仕事休みだから仕方ないが、年が明けてもトーは会社に来なかった。それ以来、彼とは会ってない。


 彼は今日もどこかの国で、のんべんだらりとスパイ稼業に勤しんでることだろう。

 

 

 

 年が明けて数日後、カンディアに侵攻したリディア軍から戦勝報告が入ると、国内は歓喜の声に包まれた。絶対王政の国なのに、国民国家のようなナショナリズムを感じさせるという、この国の統治におかしさを感じながらも、元の世界でも、王室は形骸化しても国民には愛されていたなと思いだし、ふと懐かしくなった。


 カンディアを落とすとコルフが俄に騒がしくなり、亡命してきた政府の要請で、救援に向かうことになったリディア軍は、外洋船として用意していた二隻の船を急遽軍艦化して、世界初の臼砲六門と、フランキ砲二門という艦砲射撃能力を持ったフリゲート艦を派遣した。


 コールタールにより真っ黒い塗装が施されたその帆船には、玉葱とクラリオンの旗が翻っており、以来、海賊たちはその旗を見るや戦意を喪失し、やがてイオニア海ではこの旗をつけていない船は見れなくなることになる。


 大陸中にS&Hと但馬の名前が轟き、いよいよ彼はリディアに無くてはならない人物となった。


 彼のそばには常に護衛長のエリオスが付き従い、その指揮のもとで、憲兵隊が大名行列のように続くのである。


「……そんなわけで、これからはもうそんなにここまで来れなくなると思うんだ」

「あらぁ~……それは残念ねぇ~」


 市外の穀倉地帯では、いつも農園の作業員が但馬を見つけると、嬉しそうに手を振ってくれたものだった。だが今は彼に気がつくと、作業をやめて胸に手をあて、そして最敬礼を返してくるようになった。


 川に差し掛かるといつもいた物乞いは、遠巻きに但馬を見ると逃げるように去って行った。スラム街の阿片窟の連中は、臨検が来たのかと驚いてバタバタと家のドアを閉めた。


 そんな中、水車小屋へ近づいていくと、いつもより少し緊張気味のジュリアが、珍しい人が来たと言った感じで出迎えてくれた。いつもならこのまま世間話をするところなのだが、今日は違った。お別れを言いに来たのだ。


「なんつーか、こんな具合に俺達がフラフラしてると、落ち着かない連中が出てきちゃったんだよ。アーニャちゃんも、ここまで通うのはもう無理だと思う。代わりの祈祷師さんを手配しといたけど、何か困ったことがあったら、いつでも工場に来てよ。みんなも会いたがってるから」

「それは、お姉さぁんじゃなくてぇ~、他の子たちでしょ~? プンプン」


 但馬は苦笑いして、否定も肯定もせずに続けた。


「……真面目な話なんだけど、ジュリアさんがもしも足を洗うつもりなら……」


 言いかけた但馬の口に、ジュリアがそっと指を当てた。それ以上は言わなくていいと言うことだろう。


「そうねえ~。お姉さんも、いつまでもってわけにはいかないと思うの~……でも、まだその時じゃないわあ~。今もまだ、この国は亜人にとって厳しい国だし、困って転がり込んでくる子たちが、まだまだいるんだわ~」

「そっか」


 格好つけて、そのみんなも面倒見るというわけにもいくまい。


 水車小屋……というか売春宿には、訳ありの人間が集まっていた。亜人に限らず、逃亡奴隷や身を持ち崩した人、他国から移民でやってきたが、馴染めず売春婦になった人なんかも居る。


 彼女らの子供たちも居るし、その子供たちがまた売春婦になったりすることもあるらしい。そういう連中にジュリアは頼られていたし、自分がやれるうちは、まだまだ面倒を見てあげたいそうである。


「……やっぱり、亜人の子ってたまに来るの?」

「たまぁ~にねぇ。うちには、今は居ないけどぉ~、よそには居るって聞くわぁ」


 メディアの施設から生み出され、村へは向かわず、奴隷商人にも見つからず、生き延びてきた子供が中には居るらしい。そうまでして勝ち取った自由のはずなのに、生きていくにはやはりこういう場所に来るしか無いのかと思うと、なんとも切ない気分になった。


 それに、亜人は全部猫耳つけた見目麗しい種族というわけじゃない。鳥や爬虫類はちょっと勝手が違うだろうし、ゴツい男だって居る。ジュリアは売春はやってないと言っていたが、それはゴリラの亜人だからだろうし……


「そう言えば、ジュリアさんも亜人だろ? どうやってここに流れ着いたの?」


 ついポロッと口から出てしまった。そんなこと聞くもんじゃない。しまったと思った時にはもう後の祭りで、目の前のジュリアはソワソワと落ち着きのない素振りを見せて、但馬は彼女を傷つけてしまったことに気がついた。


「ご、ごめん! そんなつもりは無かったんだ。忘れてくれ」

「う、ううん……いいのよ。で、でも……人間に向かって、亜人なんて、絶対に言っちゃ駄目よ? 坊や」

「……え?」

「……え?」


 なにかがお互いに噛み合わない感じだった。但馬はその違和感に首を捻って、言わなくてもいいことを更に続けてしまった。


「えーっと……ジュリアさんは亜人だよね? ゴリラの亜人」

「ひっ! ……ひどいわぁ~……お姉さんがいくらゴリラに見えるからって、そんなひどいこと言われたの初めてよぉ~……シクシク」

「え? あー……えっと、ごめん」


 見ると、周囲のみんながジロリと睨んでいた。水車小屋の面々が、口々に社長さんには失望したわと声を荒げた。エリオスさえも、いくらなんでも酷いと言って、但馬の頭をゴチンとやって、彼女に謝れと怒りだした。


 但馬は本当に申し訳ないと思い、何度も何度も謝った。謝るついでに左のコメカミをチョンと叩いて、


『Julia.Female.Chimera, 199, 91, Age.38, 112E, 84, 108, Alv.0, HP.1653, MP.0,,,,,,,』


 ジュリアのステータスを確認し、やはり自分が間違っていないということを確認してから、そこでようやく気づいたのである。


 確かにジュリアは亜人かも知れないが、見た目はゴリラっぽい人間なのだ。実際、初めて会った時、但馬は彼女のことをゴリラっぽい売春婦だと思い、ステータスを確認して初めて亜人だと気づいたのだ。


 この国で亜人であることは差別の対象だ。いや、この国どころか、世界中どこに行ってもである。だから彼女は普段から、自分が亜人であることを隠していても不思議ではないだろう。


 もしかしたら、彼女はそれを隠してる罪悪感から、水車小屋の面々の面倒を見ているのかも知れない。但馬は今日が最後かも知れないというのに、彼女のその気持ちを踏みにじってしまった。


 そうと気づいた時には後の祭りで、但馬は心の底から何度も何度も謝ったが、ジュリアに心からの笑顔が戻ることはなかった。


 結局、最後は彼女も泣き笑いしながら見送ってくれたが、よそよそしい雰囲気は拭えず、機会があればまたいつか謝りに来なければと思い、後ろ髪を引かれつつ、但馬は水車小屋を後にした。


 思えば、ここがすべての始まりだったような気もする。そんな大切な場所だと言うのに、最後の最後の失態に、但馬は己の浅はかさを呪った。


 そうなのだ……亜人はいろんな種類がいる。


 リオンやミルトンのように猫っぽいのもいれば、犬っぽいのも居るし、ネズミや鳥や爬虫類、その他諸々、昆虫でなければなんでも居るんじゃないか? と言うくらい、千差万別だ。


 尤も、一番多い種類は犬猫であり、恐らくそれは元々家畜だったり、人間に近いほど多いんじゃないかと但馬は考えていたが、それだけ種類が豊富な亜人であれば、ジュリアのように人間に混じっても違和感のない者が出てきても当然だろう。


 例えば、猿の亜人が居たとしたら、人間と見た目で判別が出来るだろうか?


 ジュリアの例を見ると、恐らくは無理だ。言い方は悪いが、ジュリアはかなりゴリラっぽいが、それでも人間の仲間として周囲には認識されている。まして猿やチンパンジーなんてものは……


 と考えた時……


 但馬はガツンと頭を揺さぶられたかのような、強烈な不安感に押しつぶされて、急激に目眩がして、目の前が真っ暗になっていった。


「どうした……社長!?」


 エリオスの焦った声だけが聞こえる。


 但馬は貧血の頭を抱えながら、大丈夫と言うつもりで手を振って知らせた。


「大丈夫、体は平気だ、ちょっと目眩がするだけだ……」


 ただ、暫く、立ち上がれそうにない。

 



 勇者は自分のことをなんて言って自己紹介した? 俺の名前は但馬波瑠。タージマハールじゃないよ……勇者は誰に戦い方を教わったと言っていた? イルカっぽい、何か禍々しいものと言っていたはずだ。


 彼のこの世界の最初の記憶はなんだったか? 確か、リディア周辺の森の中を彷徨っていた。彼はメディアで見つけた亜人、ヴィクトリアを伴侶としたが、リーゼロッテの母親の名前はブリュンヒルデだった。亜人はエルフの生存戦略の過程で生み出された。だから亜人同士では子供が作れない。勇者は最後、娘に言った。自分に何かあったらリディアへ行け。そこに自分が居る。


「俺は……誰だ……」


 メディアの世界樹では亜人が製造され続けていた。彼らは施設で生み出されると、フラフラと徘徊して、野たれ死ぬか、リディアの海岸に出てきたりしたという。


 かつて、シモンは言った。お前は一体何者だ? トーは尋ねた。未来から来た超能力者か神様か。どうして、人類の誰も知らないような知識がこんなにある? 自分は、あの日、アルバイトの最終面接を待つ会場を最後に記憶を失った。それから今日まで、何があったのだろうかと必死に探ってここまで来た。しかし、それ以前の記憶については、疑ったことは一度もない。


「これは……誰の記憶だ……」


 空には月が二つある。惑星がなくては、太陽系としてはあり得ない。だがここは赤道上へ移動した未来の南極大陸で……


 これは紛れも無く地球の話なのである。


(三章・了)

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[良い点] うわあああぁぁぁぁぃぁぁぁぁ [一言] 読んでてもしや主人公や勇者はタジマハルのクローンなのではって薄々思ってたけどまさかのまじかぁぁ………………… じゃやっぱり怪しいバイト面接受けに行っ…
[一言] そういうこと?ゾワゾワしたわ。DNAってそういうことか。
[一言] 表題があっさり風呂敷にくるまれ、人物たちの奥行きをだだ深める描写は大盤振る舞いで。ええ感じな手順でとろけたところに、ずぶり突き立てられる鋭利なミステリーの刃。 最高です!! この回は、きっと…
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