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玉葱とクラリオン  作者: 水月一人
グレートジャーニー(玉葱とクラリオン after story)
364/398

日本訪問編①

 今からおよそ20万年ほど前、東アフリカの地で誕生したといわれるホモ・サピエンスは、産めよ増やせよと瞬く間に地上に満ち溢れ、この地球を支配する万物の霊長となった……わけではなかった。


 実際のところ、我々の祖先は今と同じ頭脳と肉体を得ても、なお東アフリカの地に留まり続け、サバンナと熱帯雨林の境目の辺りで、日々、猛獣に怯えながら暮らしていた。


 月日が流れ、およそ10万年ほど前、一部の人たちがアフリカを離れ、今のレバント地域、いわゆる肥沃な三日月地帯に進出したが、移動もそこまでで、人類は未だそれ以上広がろうとはしなかった。


 ところが状況が変わったのは、今からおよそ6万5千年ほど前、先の移住組ではなく、東アフリカに残っていたグループが、突如として大移動を開始し、紅海を越えてアラビア半島に入り、インドからインドネシアを経て、あっと言う間にオーストラリアにまで到達してしまったのである。


 インドネシアとメラネシアの間には、ウォレス線と呼ばれる、ゴンドワナ大陸が分裂してから一度として他地域と繋がったことがない海峡が存在する。つまり、この時期に人類がオーストラリアに到達したというのなら、彼らには何らかの移動手段が存在したというわけだ。


 それはズバリ、船だろう。


 どんなものかは想像するしかないが、彼らは木を切り倒すなり倒木を利用するなりして、それを海に浮かべて海峡を渡ったのだ。


 その後も人類は旺盛な移動を繰り返し、約4万年前までにはユーラシア大陸全土に広がり、氷期の明ける1万5千年ほど前には南米大陸の最南端にまで到達。ついに全世界を踏破する。


 こうして人類は7つの大陸を制覇する、本物の万物の霊長となったのである。


 しかし、ホモ・サピエンスが誕生して以来、10万年以上に亘る長い間、人類はずっと東アフリカの地に留まっていたくせに、どうして急に移動を繰り返すようになったのだろうか?


 実を言えば、7万年程前から地球は氷期に入り、食料が乏しくなった彼らが食べ物を求めて移動を繰り返していたというのが本当のところのようだ。


 ただ、それなら10万年より以前にも氷期はあったのだから、そのときに移動しなかった理由がわからない。


 結局のところ、2つ前の氷期と最終氷期の間に、人類が変わるような劇的な変化が何かあったと想像するしかないが……


 ともあれ、一度移動を開始した人類はそれ以降留まることを知らず、新たな食料を求めて旺盛に世界を旅して回ることとなる。


 まだ人間という捕食者の脅威を知らない数多くの種を滅ぼしながら、5万年もの長きにも及ぶその偉大なる足跡のことを、人はいつしかグレートジャーニーと呼ぶようになった。


挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


 探検船団を率いるはエドワード・ジョンストン提督。曰く、


「昔、陛下と約束したんだ……まずは、ロディーナ大陸一周。ゆくゆくは、世界一周!」


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― 新着の感想 ―
[良い点] 今日書籍を見かけてビックリしました! アフターストーリーありがとうございます!
[一言] 書籍化じゃぁあああああああ!!祭りじゃぁぁぁ!!!
[良い点] 昨日読み終わったばっか!! 超嬉しい!!
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