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玉葱とクラリオン  作者: 水月一人
第一章
25/398

一体、どこまでやっていいのか

 水車小屋内で電気分解をしている最中、それを見ていたシモンの父親がポツリといった。もっと力強い水車があればいいのか? どういうことだろうかと戸惑っていると、彼はついてきなさいと言って部屋から出て行った。


 但馬とシモンは顔を見合わせてから、彼の後に続いた。暫くするとアナスタシアが小走りに駆けて来て、但馬たちのすぐ後についてきた。


 水車小屋から出ると、外にいたジュリアとシモンの父親が何やらボソボソと小声で話し込んでおり、なにやらこちらの様子を見て感慨深そうな顔をしてから、


「あら、あれを見せてあげるの~? いいんじゃな~い? あたしは隠す必要なんてぇ~、無かったと思うしぃ~?」


 などと、何か含みのあるようなことを言っていた。


 シモンの父親は礼をいうと、また返事も待たずにスタスタと歩いていってしまった。後に続く息子のシモンが、一体なんのつもりなのか? と尋ねる声も無視して、彼はどんどん先へと進んでいく。


 水車小屋から川沿いに、更に上流に遡って行くと、やがてスラムを抜けて雑木林になってきた。森には魔物などが出るというが、ここは平気なんだろうか……? と、丸腰状態の但馬が、ちょっとおっかなびっくり進んでいくと、やがて川の畔に小さな掘っ立て小屋が見えてきた。


 大きさは水車小屋の動力室を一回り大きくした感じで、外観からそれほど年季は経ってなさそうだったが、人が住んでいたような形跡も殆どいない。物置といった感じの小屋だった。


 シモンの父親は、小屋の前まで来るとくるりと背後を振り返り、どう話を切り出したらいいんだろうか……といった感じに、胸の前で両手のひらをワキワキさせながら、


「あ~……これは、アナスタシアの父親が死ぬ直前まで作ってたものなんだが……俺には使いみちがさっぱりわからなくてな……」


 そう前置きすると、彼は小屋の扉を開けて、中に但馬たちを招き入れた。


 小屋内には何やらでっかい円筒状の鉄の固まりと大きな車輪あって、両方がクランクでつながってる。そしてその車軸には、ここのところお馴染みで、すぐに見分けがついた水車の動力のようなものが突き出ていた。


 そして部屋の片隅には、うず高く石炭が積み上げられていて、


「生前、あいつは取り憑かれたかのように、この機械を作っていたんだ。発明のアイディアが枯渇して、いよいよ切羽詰まっていたそんな時、昔勇者様に聞いた機械のことを思い出したらしい。あいつは蒸気機関とか言っていたんだが……」


 彼は石炭を手に取ると、片方の機械の前で言った。


「このボイラーに火を入れると、中で水が急速に沸騰して、ダクトを通じてあっちの動力部に蒸気が行く。動力部に蒸気が行くと、その圧力でクランクに繋がったピストンが動いて車輪が回り、それが半回転すると動力内部の弁が切り替わり、今度は逆向きにピストンを押すようになる。それがまた半回転すると、元に戻って同じことの繰り返しだ。それが燃料が尽きるまで続くんだが……」


 まさかとは思った。以前から、もしかしたらと思ってはいた。勇者のせいで、そこそこ発展した都市だったから、蒸気機関くらいあるんじゃないかと……


「……確かに強力な機械ではあるんだが、見ての通りのデカブツで、動き出すまで時間がかかる。粉を挽くくらいの用途では、強力すぎてかえって問題になってしまう。それで作って見たは良いが、使い道が無くってなあ……結局、ここで埃をかぶる羽目になった。でも先生、もしかしたら、あんたならこれを使いこなせるんじゃないだろうか」


 その予想は正しかったのだ。


 しかし、但馬はそれそのものを目の当たりにしつつ、何も言えず顔が引きつって行くのを隠しきれなかった。確かに使える。そして使いこなせるかも知れないが……


 でも、一体どこまでやっていいのか、その匙加減がわからない。


 ワットの蒸気機関の発明により、現実の世界では産業革命が起こった。鉱山の生産性が増し、工場が林立し、大量生産大量消費の時代に入った。鉄道が大陸中に引かれて、物や人の大移動が起きて、かつてないほど経済活動が活発となり、人類は一足飛びの発展を遂げた。


 その歴史をなぞることは、この世界よりずっと発展した世界からやって来た但馬にとっては簡単なことだろうが……いや、簡単じゃないけど、この世界の住人に比べたらマシである。しかし、それってやっちゃってもいいことなのだろうか?


 この世界にはろくな紙がなく、情報記録媒体を羊皮紙なんかに頼っている。もちろん電信などの情報伝達手段もないから、恐らく科学技術のレベルは相当に低いはずだ。おまけに、ここには大学のような教育機関はないようだし、メディチ家のサロンみたいな場所もなさそうだ。


 軍人の装備を見る限り、武器も貧弱で、せいぜい14~5世紀の欧州の生活レベルだろう。確かに、一部不相応に発展している部分もあったが、それは継ぎ接ぎだらけの無理矢理な技術であるから、その先へと発展するような気配がまるでない。実際、勇者から聞きかじったアナスタシアの父親が、こうして蒸気機関を開発してしまったわけだが……その使い道が分からなかったようである。


 結局、無理矢理な発展を遂げても、指導者がいなくなればこんな物なのだ。


 そんな中、但馬がしゃしゃり出てきて、あれやこれややってしまうってのは、一体どうなのだろうか。別に偉そうだなんだと言いたいわけじゃない。未来からやってきて過去を変えるわけでもないから、タイムパラドックスなども気にしないでいいだろう。が、しかし……


 但馬はこの世界に腰を落ち着けるのが目的では無い。


 元の世界に帰るのが目的なのだ。


 なのに下手に手を出して、投げっぱなしで元の世界に帰ってしまったら、恐らくこの世界は相当歪むだろう。それに大概、人類の発展は戦争とセットである場合が多い。争いの火種だけ作って、はいサヨナラってわけにもいくまい。


 だから、ここはわからないと言って誤魔化した方が良いのだろうが……


「お父さんが……これを?」


 そんな時……アナスタシアが一歩踏み出て、今は火の入ってない鉄の固まりに触れた。


 恐らく、彼女の父親はこれの開発費用で散財した挙句に自殺したのだろう。なのに、その使い道がわからないなんて彼女には言えず、シモンの父親は今までひた隠しにしてきたのだろう。


「借金取りに知られたら、スクラップにされて売り飛ばされてもおかしくなかった。少しでも君の足しになるなら、それもいいかと思いもした。だが、彼が最後に残したものを、ただ使い道が分からないからとゴミのように扱ってしまうのは抵抗があったんだ……だから、誰にも伝えずにこっそりと、ここでメンテナンスをしていた。いつか、誰かの役に立つかも知れないと思ってな……アナスタシア。君に伝えることが出来なかったのを許しておくれ」


 そう言うと、彼はよほどの葛藤があったのだろうか、崩折れるようにガックリと頭を垂れるのであった。アナスタシアはちらりと振り返り、それを見て一瞬だけなんとも言えない表情を見せたが、すぐにいつもの眉毛だけが困った顔に戻ると、首を振るって、また機械の方へ向き直った。


 彼女が触る手のひらが、慈しむかのように機械を撫でた。


「ええと……使い道が無いというわけもないんですが……役に立てようにも、すぐにどうこう出来るってものでもなく……」


 但馬は、そんなアナスタシアの横顔を見て、一体彼女が何を考えているのか、正直なところは分からなかったが、


「まあ、何か出来るかも知れないし。何か考えてみます……あー、シモンは手伝ってくれるよな?」


 渋々、これを使って何かを作ることを承諾した。流石にこのまま、何もせずに放っておくのは、可哀想だと思った。何か出来るはずなのだから……


 本当は早く元の世界に帰りたいのだが……仕方ない。ちょっと寄り道だ。


 対して、シモンの方は本当にいい笑顔で、


「あたぼうよ! なんでも言ってくれ。なんでも協力するからさ」


 と、安請け合いをしてくれた。


 但馬はため息を隠しながら、本当に役に立ってくれよと切に願った。ここまで来たら、もう彼に相当な負担を強いるより他ない。そうでないと、勇者の足跡を辿るとか、自分が元の世界に戻る方法を探すとか、自由に行動することが出来ないだろうから。


*************


 その後、取り敢えず蒸気機関の小屋から出た但馬たちは、水車小屋へと戻った。実際問題、試運転を相当行わなければ爆発が怖いし、それをクリアしたところでも、現状の発電機で蒸気機関を利用するなど、大げさ過ぎて役に立ちそうもないからだ。それを知るとシモンの父親は少し残念がったが、すぐに気を取り直すと、自分の店へと戻っていった。なんだか憑き物でも落ちたような清々しさだった。


 もしも、蒸気機関で発電をするなら、現状の直流発電ではなく交流発電に切り替えた方が良いだろう。単極誘導なんて以ての外だ。交流発電ならコイルが必要だし、送電のために変圧器、バッファとしてのコンデンサ、直流変換のために真空管なども必要だ。結局、すぐにどうこう出来るものでもない。


 それよりも炭鉱の動力として使うことを考えたほうがいい。現実でも、最初は炭鉱の水抜きポンプに使っていたらしい。水抜きが終わったらベルトコンベアにも使えるだろう。そもそも炭鉱で働く馬の代わりに蒸気機関を使ったから、馬力という言葉が生まれたのだ。


 そういうわけで、ひとまず蒸気機関のことは忘れて、結局元通り、水車小屋で塩水の電気分解を行った。スピードが遅いと言っても、今のところこれ以外の方法がない。水素や塩素ガスが垂れ流しの状態で、正直なところ危ないというより、ちょっともったいないのだが、これも致し方無いことだろう。塩素臭くてジュリアに追い出されかけたが、こればっかりは動力の前にいないとどうしようもないので、懇願して何とか許してもらった。見た目は怖いが、意外と気の優しい人である。さすが森の聖人ゴリラ。


 そんなこんなで3日間、せっせと電気分解を行って、そこそこの苛性ソーダを手に入れた。紙漉きも試作段階であるからそれほど量が必要なわけでもない。蒸解には十分集まったと判断して作業を切り上げ、いよいよクラフトパルプの制作を開始した。


 結果は良好で、放っておけば黒液が下にたまるので、上澄みを掬う感じで問題なくパルプとリグニンの分離が出来た。紙の質も十分なものに仕上がり、これだけ出来るのだから、そろそろ王様に報告に言ったほうが良いかな? という話になった。


 それがシモンから伝わったのか、翌日にふらりと、久しぶりにブリジットがやってきた。彼女は恐る恐るといった感じで水車小屋の中に入ってきて、


「本当に、もう出来ちゃったんですか?」

「だから、最初からそんなに時間は必要ないって言っただろ。ほら、これ」

「これ……確かに紙ですね……羊皮紙とはまた違うけど、むしろこっちの方が使いやすそうです」


 などと感嘆の息を吐いていた。


「つーわけで、そろそろ王様に報告したいんだけど」


 と言うと、彼女は、え? もう? って顔をしたが、実際に自分の手の中に紙があるので、


「わかりました。いつ会えるか尋ねて……近衛隊の人に頼んでおきます」


 別に今さら取り繕わないでいいんだけど……と思いつつ、


「頼むぜ。ああ、あと謁見にはこいつも連れてくから、取り計らってくれないか」

「……え!?」


 隣で他人事のようにやりとりを聞いていたシモンの頭をひっぱたくと、二人揃ってぎょっとした顔をした。シモンはまるで出川哲朗みたいな焦り方をして、


「無理無理無理! 何言ってんだよ、先生!? 俺、先生と違ってそんな場所に呼ばれるような人間じゃないから。ヤバいよヤバいよ」


 今にもチェーン! とか叫びそうである。


「俺だってそうだよ。つーか、諦めろ。なんでもするって言っただろ」

「うっ……それはそうだけど」


 但馬の世界で迂闊にそんなこと言ったら、ホモに寄ってこられるんだぞ。アイスティーに睡眠薬を入れてでも連れて行くからな。追い打ちをかけるように但馬は続けた。


「そんで、おまえには俺の代わりにプレゼンをやってもらう」

「ええ!?」

「やってもらわなきゃ困るんだよ」


 但馬は開発は行ったが、初めから紙の生産と販売はシモンにやらせるつもりだった。だが、それを国王や大臣に言っても渋られる可能性がある。そうならないためにも、彼には箔をつけてもらわねば困るのだ。


 但馬がそういう事情も交えつつ説明すると、


「金を稼ぎたいんなら、ここが正念場だぜ。なに、ちゃんと手助けはしてやるから、覚悟を決めろ」

「くっ……仕方ないか」


 真っ青になりながらも、シモンは承諾した。


 段取りが決まると、プレゼンの資料作りとシモンのリハーサルに2日ばかりをもらって、結局、紙の開発を依頼されてから8日後、彼は助手としてシモンを連れて、ローデポリスのランドマーク、リディアインペリアルタワーの15階に再度訪問した。


 エレベータの無い建物に辟易しながら、汗をかきつつようやく階段を登り終えると、息を整えて、近衛兵に先導されながら謁見の間へと足を踏み入れる。


 中には前回同様、国王と大臣が3人、それから秘書官と、今回は護衛に女騎士が立っていた。面子から察するに、ウルフはリストラされたようである。ざまあみろ。


 近衛兵に先導され、赤絨毯を進んで王の前で跪く。


「面を上げよ。但馬よ、久しいと言うにはあまりに早く、驚いておるぞ。もう出来てしまったそうじゃな」

「はい。おかげさまで。ここに居る彼が手伝ってくれたこともあって、作業が順調に進みましたんで」

「ほう」

「今日は彼から発表をさせていただきます。それじゃ、用意しておいた資料を持ってきてもらえますか?」


 と、但馬たちを先導してきた近衛兵に頼むと、彼は別の隊員と一緒に黒板と資料を持ってきた。


 ガチガチに緊張していたシモンが、要点をかいつまんで記述した資料の紙を、その場にいた出席者全員に配り、さらに但馬が黒板いっぱいはあるデカイ資料の紙を広げると、おおっ! っと、あちこちから感嘆の声が漏れた。


 彼らはそれほど大きな紙を見たことがなかったのだろう。インパクトは大事である。しょっぱなに現物を見せられると、初めはそんなに期待してない感じだった大臣たちも真剣な表情になって、手元の資料と黒板とを交互に見ていた。


 そしてシモンのプレゼンは滞り無く進んだ。


 多分、期待以上のものが出てきたのだろう。誰もが真剣な表情を崩さず、彼らからしてみれば下々の者でしかないシモンの声に、熱心に耳を傾けていた。サンプルとして持ってきた様々な種類の紙を渡し、ついでだから筆記具として作っておいた鉛筆を見せたら、それもかなり好評だった。彼らは受け取った紙に鉛筆で何やらを書いては、何度も何度も唸っていた。


 これだけ反応がいいなら、消しゴムも作ってくればよかったな……と思いつつ、いよいよ紙の製法の説明に入る。


 紙の製法自体は、これまで述べてきた通り、とっても簡単だ。植物に含まれるセルロースという繊維の話から、アルカリ溶液を用いて煮て叩くという叩解方法、乾いたパルプを実際に見せて、それを水に入れて掬い上げる実演もしてみせた。


 彼らはその一つ一つを真剣に聞いていたが、やがて材料の説明に入り、サトウキビの搾りかす、とうもろこしの皮、ボロ布、低木と続いて……そして丸太から砕木パルプを削りだす段階に進むと、にわかに場がざわめきだした。


 なんだろう、嫌な感じがする……


「……というわけで、丸太から削りだした繊維はそのままでは弱く、特殊な水溶液でリグニンを除去するのですが……」

「いや、それはもう良い。それより、質問をしてもいいだろうか?」

「え? ……あ、はい。どうぞ」


 シモンのプレゼンを遮って、大臣の一人から質問が飛んできた。


「材料としては結局、サトウキビの搾りかすや低木で構わないのだろうか」

「はい。植物であるなら、何でも可能のはずです」

「では、特に木材にこだわる必要はないんだな?」

「ええ、そうですけど……」


 シモンがそう断言すると、大臣たちは全員ほっとした表情を浮かべた。


 流石に、この反応はなにかおかしい……


「あの、こちらからも質問してよろしいですかね」


 何かしっくりこない但馬は、挙手をして周囲に尋ねた。


「申してみよ」

「ありがとうございます。ええ……先程からの様子を拝見させてもらっていますと、なにやら皆様砕木パルプが都合悪いように考えていらっしゃるのではないかと……」

「当たり前だろう」


 いや、当たり前と言われても……但馬が戸惑っていると、その様子を見ていた王が何かに気づいたかのように、ポツリと言った。


「なるほど……但馬よ。お主はこの国の者ではなかったな」

「あ、はい」

「ならば知らぬのも無理からぬな。この国は、木材を輸入に頼っておる。故に大臣たちは材料の高騰を危惧しておるのじゃ」

「……は?」


 何言ってるんだ? こんな森と山だらけの国で……


「いや、でも……ここは砂漠じゃないんですよ? そこら辺にいくらでも生えてるじゃないですか」


 素っ頓狂な声で但馬がそう言うと、大臣たちは眉根を顰め首を捻った。どうしてそんな顔で見られなきゃならないのか? ……まるで奇異な者でも見るような目つきに驚いて、助けを求めるつもりでシモンの顔を振り返ったのであるが、


「え……?」


 そのシモンも、大臣たちと同じような表情で、何言ってんだ、こいつ? と言った表情を隠さずにいた。


 どういうことだ……? 但馬は焦った。理由が皆目検討つかない。何かまずいことでもしてしまったのだろうか……


 パンパンパン!


 っと、その時、手をたたく音が辺りに鳴り響いた。その音に、全員が王を振り返ると、


「どれ、少し休憩にするかの。この年で、新しいことばかりいっぺんに吹きこまれても、理解するのに苦労する。何か甘いものを食べて休むとしよう。ジルよ、その二人を儂の私室まで案内しなさい」

「……お二方……で、よろしいのですか?」


 ジルと呼ばれた女騎士が尋ねると、王はうんうんと頷いて、玉座から立ち上がり、テクテクと部屋の隅にある階段へと歩いて行った。


「国王!」


 取り残される格好になった大臣たちが声を上げるが、


「一時休憩じゃ、皆のものも席を外すが良かろう」


 王は意に介さず部屋から出て行った。困ったような顔をした大臣たちの視線が突き刺さる。


 そんな中、但馬たちは女騎士に連れられ王の後を追った。なんだか、あの3人の大臣には、いつも睨まれているような気がする……苦笑しながらシモンの方を振り返ったら、彼は真っ青を通り越して、土気色した顔をしていた。まるで死刑台へ向かう囚人のようである。


 流石にこれは刺激が強すぎたかな……と思いつつ、但馬は騎士の後に続いて階段を登った。


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