NEW GAME! ⑬
メディアの世界樹を再度探索しても結局何も見つからなかった。その後、アナスタシアにもう一度回ってきて欲しい……もう一度……と、諦めきれずに何度もお願いしていると、いつまでも戻ってこない但馬に業を煮やしてやってきたエリオスに止められた。
見ればアナスタシアはもうクタクタで、メイドも困った顔をしていた。
「何を焦ってるんだ、君は」
と怒られた但馬はしょげ返りながら解散を宣言し、疲れたから宿で休むと言って帰っていったアナスタシアを見送った後も、彼はその場に残り端末をいじり続けていた。
最終的に、メイドとエリオスが付き添ってくれている中、明け方まで夜通しダム端末をいじくり倒していた但馬は、目をしばしばさせながら世界樹を出て、周囲を警戒していた亜人たちに、入り口を隠蔽するようにと指示してその場を去った。
「高天原、豊葦原、底根國……」
結局、収穫は何もなかった。
端末の操作自体は、21世紀に普通に流行っていたGUIをベースとしたシステムだったので、何の苦労もなく行えるのだが、結局、言葉の壁が圧倒的に高すぎた。
但馬は一旦諦めると、世界樹から離れて誰もいない森の入口まで歩いてきた。何も進展しない時は、気分転換も必要だろう。背後にはメイドが何も言わずに黙ってついてきた。エリオスは但馬を彼女に任せ、村のアナスタシアとリオンの様子を見に戻っていった。
歩きながら但馬は右のこめかみをポンと叩き、自分だけに見えるこのメニュー画面を色々弄くってみた。メニュー欄にはスキルの項目が追加されており、それを開いてみると、何というか、案の定というか、『緋天煉獄猛襲裂波』『魔討覆滅双極斬』『ダークオブダークネス』『流し斬り』なるメイドと戦った時の項目がずらずらと並んでおり、試しに、
「緋天煉獄猛襲裂波あああ~~~!!!」
などと叫びながら、メニュー項目をポチッてみたら、唐突に但馬の持つ矛槍がブンブン唸りだして、体が勝手に動き出し、グルングルン回転しながら、なんかものすごい斬撃を飛ばしていた。
木々がズドドドドンっと倒れ、地面がえぐれている。
どうやら、この必殺技は、術者が剣舞を披露するとともに、空中のマナを収束させてビームのように飛ばすものらしい。要は、ボタン一つでオートコンボが発動するアクションRPGみたいなシステムである。
「あははははは!」
あまりの馬鹿馬鹿しさに爆笑したが、それを見ていたメイドは笑えなかったようである。彼女は但馬の顔を見ながら眉を顰めた。彼女からしてみれば、但馬のそれは威力がおかしいのである。
おかしいと言えば魔法の方ももちろんそうで、今のMPだとどのくらいの威力になるのだろうか? と思って、空に向かって詠唱をしてみたところ……威力は確かに凄かったのであるが、消費MPの方も凄かった。凄いというのは消費MPが多いということではなく、寧ろ逆だ。
なんと、1しか減ってないのである。
1しか減らないので、最初は減ってることにも気づかずに、見間違いではないか? と思って連発してみたところ、威力自体は今までとそう変わらないくせに、いくらでも連射出来るので、あっという間に上空は炎の海に包まれた。空も溶け出すかと言わんばかりの業火の中で、触れても居ないのに木々が燃え出したところで、堪らずメイドが但馬を止めた。
「社長! いい加減にしてください。きっと今頃、ヴィクトリアは大騒ぎですよ!?」
「……ごめん」
そんなありえないほど剛毅なことをやっておきながら、当の本人はシュンとしょげ返っていた。
「どうしたもんかな、これ……こんなこといきなり出来るようになっても、どうしたらいいかわからないじゃないか。まるで……ゲームみたいだ」
そう言ってため息を吐くばかりである。
「社長がたまにおっしゃっております、ゲームというのはどういう意味なのです?」
「ゲームってのは……説明が難しいな。物語の主人公みたいだなってこと」
メイドがポンと手を叩く。
「物語の主人公ですか。よろしいではございませんか。今の社長には相応しいと思いますよ?」
大抵、その物語の主人公ってのは、勇者って呼ばれてたりするのだが……それを言っても、彼女にはチンプンカンプンだろう。但馬は苦笑しながら続けた。
「今の俺と、リーゼロッテさんのお父さんと、どっちのほうが強かったんだろうね」
「……社長には申し訳ございませんが、父とは比べ物にはならないかと」
「そうなの?」
「はい。父は、聖遺物を持たずとも、私よりも数段強うございました」
「へえ……そう言えば、勇者も聖遺物持ってたんだっけ。俺の矛槍とどう違ったんだろうか?」
するとリーゼロッテは軽く首を振ってから、
「父の聖遺物は矛ではなく、小型の直刀でした。どうせ使うことは無いからと言って乱暴に扱っておられて、酔っ払っては良くあちこちに置き忘れてくるものだから、おつきの方々がいつも必死になって取り戻しに走っておられました」
「そりゃ酷い……」
「確か……ハバキリソードとおっしゃっておられましたね」
腹切り……じゃなくてハバキリか。多分、天羽々斬のことだろう……やはり彼も但馬と同じく、神道由来の聖遺物を持っていたのだ。彼は低く唸った。
但馬がこの世界で目覚めた時、その寸前まで覚えていたかつての記憶は、太平洋の島でアルバイトの面接を受けた時のことだった。但馬は暇を持て余して退屈しのぎにソシャゲをやっていて、その登録の際に自分のパーソナルデータを色々と打ち込んだ。
だが、あまりにも根掘り葉掘り聞かれるものだから、変だな? と思ってたところで出てきた最後の質問が、宗教に関することだった。但馬はそれを訝しみつつも、神道と答えて、ゲームにログインしたのであるが……
但馬は自分の矛槍を掲げてみせた。
天の沼矛。天羽々斬。
但馬も、勇者も、神道由来の武器を所持している。
このことを知らなきゃ、こんな偶然ありえないよな……
もしも、但馬を誘導している何者かが居るとして、この聖遺物を授けたのだとしたら、この時のことも知ってなきゃおかしいわけだ。だが、そんなことってあり得るのか? これは少なくとも数千年は前の出来事だぞ? 地球のこの変わり様からして、1万年経っていてもおかしくないくらいだ……
もしかして……
もしかしてだが……
ここって本当にゲームの中の世界なのか?
ゲームの中の世界じゃないと言う証拠もいくらでもあるが、ゲームっぽいと言う証拠だってあるのだ。
月が2つもあること。惑星がないこと。地球の自転軸がおかしな具合に傾いてること。紫外線レベルがあり得ないこと。そして魔法や魔物が存在し、頭の中にはJRPGっぽいメニュー画面があって、但馬は世界最強だ。最後のが一番それっぽいだろう。
どうしたらいい?
何を信じたらいいのか、もうわからない……
「……社長! 社長!」
但馬が考え込んでいると、メイドが彼を揺さぶり、大きな声で呼んだ。彼はハッと我に返ると、すぐに異常事態に気がついた。レーダーマップを見るまでもない。周囲に、異様なほど不気味な気配を感じる。敵意のこもったその強大な力の気配は覚えがあった。
間違いない……エルフだ。
エルフ討伐の部隊を組織し掃討している最中であっても、それは首都周辺に限っていて、メディアの周りは手付かずだった。元々、エルフは亜人を襲わないし、人間の居る租界は海の上にあり、金山はここよりももっと南の半島にあるのだ。
だから、この辺りにエルフが出没してもおかしくはない。多分、先ほど但馬が派手に魔法をぶっ放したので、異常を察知し様子を見に来たのだろう……
どうする……? 殺るか……?
はるか前方の茂みがガサガサと揺れる。
メイドが但馬の前に出て大剣を構えた。
茂みの間からヌッと、もはや見慣れた青白い小人が現れると、それは但馬とリーゼロッテの姿を見つけるや、すぐさま何かの詠唱に入った。
チッと、メイドの舌打ちが聞こえる。
「どうやら、遊ぶつもりはないようでございますね……村まで退きましょう。私が受けますから、社長は援護をお願いします」
エルフから緑色の光線が迸る。メイドはそれを剣で受け流すと、返す刀で数十メートルはある距離を一瞬で詰め、斬撃を与えた。だが、それも相手の魔法で弾かれる。
『エルフは古代種。人間はモルモット。亜人はキメラ……』
但馬は迷っていた。本当に……殺っていいのか? あれは、もはや原型をとどめていないとは言え、元々は人間だったものだぞ……?
でも……ゲームの中なら構わないんじゃないのか? 殺っちゃってもどうせゲームだぞ?
カキンカキンと剣が弾かれる音が響く。メイドの猛攻はことごとく弾かれ、時折、相手からの反撃を受けて、彼女はあちこちに傷を負っている。
「いやあああああああっっっ!!!!」
ガギンッ! ……っと、今までとは比べ物にならない音がして、痛烈な一撃がエルフに叩きつけられた。エルフは傷を負いながらも、それを辛うじて受け止めると、お返しとばかりに彼女に強烈な一撃を浴びせた。
「ギャッ!!」
キンとつんざく金切り声が辺りに響いて、苦痛に呻くメイドがゴロゴロと転がってきた。彼女は血を吐きながらも、尚も立ち上がり、復讐の刃を向けようとギラつく瞳でエルフを睨みつけたが……
「……社長!」
だが、エルフの方はそんな手負いのメイドには見向きもせず、未だに呆然と立ち尽くす但馬の方へと矛先を向けていた。
エルフが天に手をかざすと、周囲のマナが収束し始め、巨大なマナの塊となった。エルフがそれに力を込めて放り投げると、但馬に向けて一直線に飛んでいく。
「何をボーっとして……社長おおおーーーーーっ!!!」
メイドの絶叫が聞こえる。
迷ってる場合ではない。それは分かっている。だが……本当に、これは正しい選択だったのだろうか。聖遺物、世界樹、勇者、メニュー画面、ゲームのような世界。何者かの意志が介在して、但馬に何かをやらせようとしている……
本当に、エルフを殺してもいいのだろうか……?
いや、既に何度か手を下しことがある。今さら迷ってどうすると言うのか。だが……しかし……
銃士隊の面々の姿が目に浮かぶ。
メイドは但馬を守ろうとして、ヒーラーも居ないのに、手負いの状態で倒れている。
……他人に手を汚させておいて、自分は何もしないつもりなのか……?
ボンッ!
っと、その時、但馬の居た辺りの地面がはじけ飛んだ。
「社長!? 社長!!」
エルフの攻撃が直撃したと思ったメイドの悲痛な叫び声が聞こえる。
但馬はそれを、遥か後方に聞いていた。
エルフの魔法が炸裂した時、既にその場に但馬は居なかった。彼はその時、神速を飛ばしてエルフの間合いに入り込んでいたのである。
そして今……目の前で、エルフが絶命しようとしている。それは大きな目を見開き、但馬の顔を驚愕の表情で見つめてから……やがて何かを悟ったかのように穏やかになり、そして徐々に力を失っていった。
エルフの胸には但馬の矛が突き刺さっており、その先端には緑色に光る臓器のようなものがあった。
エルフが事切れたことを確かめてから但馬が矛を引き抜くと、緑色の臓器からパーッと鳥が羽ばたくように、大量のマナが空へと昇っていった。
それはいつまでもいつまでも続き、空を緑色に染めていく。一体、たった一人のエルフの中に、どれだけのマナが内包されていたというのだろうか……
リーゼロッテはその幻想的で恐ろしい光景を呆然としながら見守っていた。
全く見えなかった……但馬がエルフの攻撃を交わしたことも。それを交わした上で、一瞬で間合いを詰め、その矛をエルフに突き刺したことも……彼は勇者に及ばないと言ったばかりであったが、それはもしかしたら間違いだったかも知れない。自分と戦った時と、今の彼はまるで別人だ。
自分は、手加減されていたのだ……
但馬が苦笑しながら振り返る。彼女はブルっと背筋が凍るのを感じた。今始めて、ブリジットが彼に心酔している理由が分かった。これは神か、霊障か、それに近い何かだ。怖い。恐ろしい。どうしてこんなのが普通の人間のふりをして出歩いているのだろう。
だけど、どこか懐かしい……それでいて温かい感じもするのだ。一体、なんでなんだろう?
そんなことを考えていると、彼は空中で何か手遊びのように指を躍らせ、彼女に向かって言った。
「リーゼロッテさん。お父さんの聖遺物って、もしかして、これ……?」
彼はそう言うと、自分の聖遺物を握りしめ、何かをブツブツ呟いた。すると、彼の持つそれがブーンと小さな音を立てながら振動し始め、まばゆい光と共に形を変えていく……
その光景を唖然としながら見守っていると、やがて彼の聖遺物は形を変えて、始めの背の高い矛から、徐々に小さな直刀へと変化していき……全ての行程が終わると、但馬の手には、懐かしい彼女の父親……勇者の剣が握られていた。
「ああ……」
リーゼロッテは急に息苦しくなったと思ったら、視界がボヤケていった。感情の波に抗しきれず、涙がポロポロと流れて止まらなくなった。
「お父さん……」
ぎょっとして但馬がわあわあ言いながら駆けつける中。彼女はしみじみと泣いた。
『自分が死んだらリディアへ行け。そこに自分が居る』
父の言葉を信じて、何度も何度もリディアの地へ足を運んだ。一度は諦めたがそこに但馬が現れた。彼は父と同じ記憶を持つ別人だと知り、父の言っていたことの意味を理解したと思っていた。
だが、そうでも無かったらしい。本当に父はここに居たのだ。
但馬と勇者は全くの同一人物だ。彼は、自分がまた生まれ変わることを予言していたのだ。
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「失礼いたしました。感情が制御しきれず、お見苦しいところを」
「いや、別にいいけど……でも、やっぱり俺とあんたのお父さんは別人だと思うよ?」
もしかしたら遺伝子レベルで同一人物かも知れないが、その記憶は別々なのだから、同一人物というよりも、双子とかクローンと言ったほうがいいだろう。
「ええ、わかっております。不意打ちだったもので、少々感傷的になったようでございます」
そう言いながら、彼女は鼻を鳴らした。まあ、そのためにリディアに来たような人なので感極まったのであろう。メディアの騒動もあったり、ずっと苦楽を共にしてきたリリィと別れたり、亜人に懐かれたり戦争もあったりで、これで肩の荷が下りたといった感じだろうか。
「それにしても……その聖遺物は一体?」
「ああ、うん」
但馬はボリボリと頭を掻いた。
エルフからの攻撃が但馬に届こうとしたとき、二日前の彼女との勝負の時のように緊急回避プログラムが発動した。コンバットモードと言われるその現象が始まると、体が急激に重くなり、周囲の景色がセピアに染まり、時間がゆっくりと動き出す。
但馬はそれを利用してエルフの攻撃を交わし、そのままの勢いで間合いを詰め、移動する物体のベクトルや、敵の急所を指し示すガイドを参考に、手にした矛槍でぶすりとやった。
あの一瞬であったことは、たったこれだけのことだった。命を取ると言うことに対する忌避の気持ち以外に、なにも難しいことはなかった。
そして、聖遺物でエルフを屠った瞬間だった。
但馬はまた視界の片隅にのっぺりとした赤い『NEW!』の文字列が見えるのに気づき、嫌な予感がしながらその文字を指で押した。
『ACHIEVEMENT UNLOCKED!! MORTAL COMBAT w/ STRONG ENEMY
実績解除!! チュートリアル戦闘を終えました……Congratulations! おめでとうございます。あなたは一端の剣士になりました。
ボーナスレベル付与……ERROR 200 ユニーク武器が進化します……ERROR 400 エラー.未知のエラー.ユニーク武器は既に最終形態です。チェンジフォーム機能、解放します……Success!……引き続きゲームをお楽しみください。新世界へようこそ!』
そして、メニュー画面に新たにアーティファクトのラベルが追加され、その中にチェンジフォームなる項目があった。
試しにそれを押してみると、『天沼矛』『天尾羽張』『天羽々斬』『布都御魂』なる文字列が出てきて、直感的にこれが何なのか悟った。武器の進化とかそういったやつで、多分ホントだったら、あの木の槍で戦っていたら、段階的に強くなっていたのだろう。JRPGにはありがちなシステムだ。
そして、これらの項目の中に『天羽々斬』の名を見つけ、さっき勇者が使っていた聖遺物のことを聞いていたのでピンときたわけだ。
「多分、リーゼロッテさんのお父さんもこれと同じように、聖遺物の形を変えていたんだと思うよ。矛槍は長くて嵩張るから」
対して、これは小剣と言っていい長さの直刀だった。普段、携帯しておくなら断然こっちの方がいい。
しかし、これで今後の方針が決まった。多分、このままメディアの世界樹を調べているだけでは駄目だ。勇者はリディアを出て世界各地の世界樹を回っていた。その結果、メディアの亜人製造機の止め方を発見したようだ。だから、これ以上の進展を望むのであれば、他の世界樹を目指すしか無い。
だが、本当にそれで良いのだろうか?
正直言って、今の但馬には分からなかった。いきなり、いろんなことが出来るようになった反面、考えなくてはならないことが増えすぎて、何がなんだか分からなくなってしまった。
それに、世界樹を目指すと言ってもどうすればいいのか。エトルリアとは戦争中だし、セレスティアは行くにはまだまだ遠すぎる。かと言ってティレニアは……
「どうしたもんかね」
但馬は頭を振るってため息を吐くと、取り敢えずといった感じに面倒くさそうに、手にした直刀をメイドに差し出した。彼女はいきなり目の前に差し出されたそれを見ながら首を傾げた。
「……これは?」
「やるよ」
彼はそう言うと、返事も聞かずにポンとそれを放り投げた。
彼女は慌ててそれを受けとめる。
「何をおっしゃってるんですか? 気は確かですか?」
「お父さんの形見なんだろう? 聖遺物は一子相伝。だったら、それはリーゼロッテさんにも受け継ぐ資格があるんじゃないの」
ともすると投げやりにも聞こえるその言葉に、メイドはポカンとした表情をしてから直刀に目をやった。しかしすぐに頭を振ると、
「いただけませんよ。聖遺物が無くって、それじゃ、社長はどうするんです?」
但馬は苦笑しながら、
「今までだって無かったじゃない。無くってもなんとかなってた」
「だからって……」
「要らないんだ。本当に」
彼女は、そう言った彼のうちから、強い力を感じた……それは森で戦った時から一貫して変わっていなかった。
ああ、そうか……リーゼロッテは理解した。元々、但馬は世界で唯一と言っていいほどの大魔法使いなのだ。その大魔法使いが、力の使い方を覚えたら、もう道具なんて必要としないのだろう。思えば、彼女の父親も、ろくに聖遺物を使っていなかった。
「村に戻ろう……戻って、はじめよう」
但馬はエルフの死体を見下ろしながら平板な口調で言った。
「強くてニューゲームだ」