表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/37

幻獣×少女=ワルモノ?

説明回です。

要約すると、メダロットみたいなもんです。

「貴様に与えられた未来は、二つだ」


 (れいん)奈良野(ならの)に言葉を吐きかける。奈良野は凍りついたように動きを止めたまま、それに聞き入った。


「まず一つ、いますぐ〈魂分離(バック・アライブ)〉して敗けること。そして二つ、その右腕みてぇに〈全身魂崩壊(オール・ディフェクティブ)〉させられて敗けること……さぁ、選びな」


「ぐ、お前……」


 そう呟いた奈良野の右腕は、灰色の光を失っていた。


「……フェンリル、勝手なことを言ってしまっては困ります。一つ目では、皆さんへの説明になりませんから」


 西田(さいだ)先生が、虹に向かって話しかける。眼鏡の奥に(ひそ)む目つきは、とても冷たいものであった。

 それを聞いた虹は、「チッ」と舌打ちをして奈良野を睨む。


「……しゃーねぇ。だったら、貴様の未来は二つ目で決まりだ。いまから全身魂崩壊(オール・ディフェクティブ)してもらうぜ」


「その前にルールの説明ですよ、フェンリル。皆さん、奈良野くんの右腕を見てください」


 西田先生の言葉に虹は顔をグッとこわばらせ、睨みつけた。それはかなり威圧的な顔をしているが、西田先生はまるで気にせず奈良野の右腕だけに注目をする。


「奈良野くんの右腕、灰色の光がなくなってしまいました。これは、迅狼寺(じんろうじ)さんに攻撃をされたからです。皆さんには見えてなかったでしょうが、迅狼寺さんは奈良野くんの攻撃を避ける瞬間、右腕に攻撃をしていたのです」


 西田先生は電子黒板の電源を入れ、そこに虹の身体を簡単な図のようにして描き始めた。そして電子黒板の虹の、頭、腕、胴体、脚に丸がつけられた。


「それで、なぜ攻撃を受けると光がなくなるのかということですが、(ルーラー)姿(ツール)装着(デバッグ)されると、(ルーラー)はいくつかの〈部位(ヴァイタル)〉に別れ、姿(ツール)の身体を支配します。部位(ヴァイタル)の数は(ルーラー)により異なるのですが、その部位(ヴァイタル)は一定のダメージを受けると〈魂崩壊(ディフェクティブ)〉するのです」


 電子黒板の虹につけられた丸が、部位(ヴァイタル)なのだと西田先生は説明する。そしてその丸を消し、それを魂崩壊(ディフェクティブ)だと説明した。


魂崩壊(ディフェクティブ)を起こした部位(ヴァイタル)はどうなるのかといいますと……皆さんに戻ります」


 西田先生は神経質に眼鏡を直し、クラスの生徒たちを見た。教室の中はまだ理解ができていない生徒ばかりで、西田先生の不気味ともいえる迫力に()されてどよめくばかり。


「皆さんに戻る……つまり、(ルーラー)部位(ヴァイタル)ではなくなった身体は姿(ツール)の意思で動かせるようになるのです。右脚が魂崩壊(ディフェクティブ)すれば(ルーラー)に代わって姿(ツール)が右脚を補足することになり、頭が魂崩壊(ディフェクティブ)すれば姿(ツール)が眼となり口となります」


 電子黒板の虹の顔に、芸術家が描くような目と口が描き足された。


「そして魂崩壊(ディフェクティブ)した部位(ヴァイタル)(ルーラー)の力も失い、姿(ツール)の身体能力に戻ります。要は、魂崩壊(ディフェクティブ)すればするほど皆さん自身が戦わなければならないということです……」


 西田先生はクラス中を見回し、生徒たちは背筋をぞくりとさせた。


「相手の部位(ヴァイタル)を全て魂崩壊(ディフェクティブ)し、全身魂崩壊(オール・ディフェクティブ)を起こさせれば勝利となります。では二人とも、続けてください」


 西田先生が、パンッ! っと両手を合わせるように叩く。それに驚いて生徒たちがビクリとする中、虹は爪のように(とが)った左腕の光で奈良野の背後からその頭部をザクリと弾いた。

 奈良野はどさりと倒れ込み、生徒たちは悲鳴を上げだす。


「チッ、ぎゃーぎゃーうるせぇなぁ……」


 虹がため息を吐くと、その足元で倒れていた奈良野が上半身をガバッと起こした。


「……び、びっくりしたぁっ……! か、身体は勝手に動くし口は勝手に話すし、ありえねーよ……!」


 奈良野の顔は涙と汗にまみれて真っ青になっている。そんな奈良野に西田先生は近づき、見下ろした。


「それとですね、姿(ツール)の身体は(ルーラー)の攻撃を受けても痛くもなければ傷つきもしません。受けたダメージは全て(ルーラー)に蓄積されるからです。ね、奈良野くん?」


 奈良野は驚き泣いてはいるものの、苦痛などは感じていなかった。しかし、まだ灰色の光を帯びている部位(ヴァイタル)はガクガクと震えている。


全身魂崩壊(オール・ディフェクティブ)するまで、戦ってください」


 奈良野はグイッと持ち上げられるように立ち、虹を殴ろうと左拳を振り上げる。しかし混乱した奈良野は目を瞑ってしまい、的が見えなくなった(ルーラー)は左腕で虹の後ろにある窓を叩き割った。


 ガシャーン――。


 砕け散った窓は、キラキラと輝きながら外へ落ちていった。奈良野が目を開けると、その目の前で虹が笑っていた。


「どうせ敗けんだから、大人しくしてろよ雑魚野郎。んじゃ、終わりだ」


 虹がそう言い奈良野に背を向けると、奈良野から灰色の光がパシンと弾けて散った。


「お見事です、フェンリル。では、魂分離(バック・アライブ)してください」


 そう西田先生に言われた途端、虹の身体は再び強風に渦巻かれた。そして、虹はその場に倒れ込んでしまった。


「……あれ? 動けるっ?」


 虹はすぐに起き上がり、不思議そうな顔で手をグーパー動かしている。それから視界に、泣きわめく奈良野が映った。虹はなんとなく焦り、声をかけることにした。


「ちょ、ちょっとさ、なにも泣くことないんじゃないっ? みんなも見てるしさ……ねっ?」


 虹はチラリとクラスメイトたちを見る。すると、クラスメイトたちは肩をビクつかせて虹から目を逸らした。


「奈良野くん、かわいそー……」


「あそこまでヒドいこと言わなくてもねー……」


 虹は更にクラスメイトたちを見回して……なにも言えずおたおたする。


「わっ、こっち見た。こっわー……」


 クラスメイトは皆、虹を警戒するようにヒソヒソと話をしている。

 活躍どころか、これじゃまるで悪者だ……そう思った虹は立ち尽くし、泣きそうになってしまった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ