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璃奈VS日常……?

こんにちは。

続・飛ばしていい回(´・ω・`)

「うん、味つけいい感じっ」


 茶色い髪を一本に束ねキッチンに立った璃奈(りな)は、夕飯にボロネーゼを作るべくIHクッキングヒーターの上でフライパンをスイスイ動かす。ボロネーゼは璃奈の帰りが遅くなったときの定番メニュー。サッと作ることができ、母の好物でもあるため璃奈にとってはこの上ない料理であった。

 炒めた具材が上品に香り、食欲をそそる。働く母へのガッツリ仕様で、ひき肉たっぷりのソース。あとはこれにレンジでほぐしたパスタを入れてもうひと炒めするだけというところまで仕上がっていた。


「んー、あとはコーンスープも温めようかなっ」


 もう少ししたら部屋にいるおばあちゃんに声かけなきゃなー、などと考えながらヒーターを弱火に切り替え、冷蔵庫にあるパックのコーンスープを取りだそうとすると――。



 ガッシャァーン――……。



 背後でガラスの割れる音がした。それに続いて、子供の泣き声が上がった。


「わぁっ! ちょっと咲季(さき)、大丈夫っ?」


 璃奈が振り返ると、リビングにいる妹の咲季(さき)が大きく口を開けて泣く姿が見えた。スリッパを()り咲季の側へ駆け寄る璃奈。

 床に、砕けたガラス片が散らばっている。椅子の上に座っている咲季にケガはないようだが、驚いて泣いてしまったようだった。


「あ、危ないから座ったままね。いまお姉ちゃんが片づけるからっ」


 璃奈は咲季に言いつけて、ガラス片を回収するための袋を探す。すると……自ら部屋をでてきた祖母が廊下から顔を覗かせ、咲季の名前を呼んでしまった。


「お、おばあちゃんっ? ちょっと咲季、動いちゃだめ……」


 璃奈の制止も虚しく、咲季は素足で床に飛び降りた。


 ――!


 怒号のようなわめき声が響き、咲季が倒れ込んだ。


「咲季っ! ……おばあちゃんっ、まだご飯できてないからこっちこないで部屋でテレビでも観ててよっ! あーもう、こういうときってどーしたら……」


 璃奈の頭はパニック状態に(おちい)り、意味もなくウロウロとしてしまう。そうする間にも咲季の幼い足からは血が流れ続け、少しずつフローリングを赤く染めていく。


「おねーちゃぁーんっ、いたいよぉー。助けてぇー!」


 助けを求められた璃奈は泣きたい気持ちを堪えて、自分がしっかりしなきゃと言い聞かせる。


「ほ、包帯とか、あったっけ? てか病院連れてくべきかな……。あ、き、傷はどうなってんだろ? いやでもガラスも危ないから片づけたほうが……」


 しっかりしなきゃと思うほど、やらなければならないことが頭を交差し続ける。咲季と砕けたガラスとの間で視線を泳がせていると、またしても悲痛な叫び声が上がった。


「熱ーいっ!」 


 祖母がキッチンで手をブンブンと振り、なにやら苦しんでいる。ヒーターにかけっぱなしだったフライパンから、具材を手掴みで食べようとしたのだった。しかし熱したフライパンを手で触ってしまえば、少しの火傷では済まない。気が動転した祖母は、壁や食器棚に激突しながら暴れまわる。


 グワシャァァーン――!


 フライパンにぶつかったらしく、せっかく作った具材は床に散らばってしまった。


「おばあちゃんっ! ……あぁもうっ、なにやってるのぉ……!」


 咲季は泣き叫び、祖母はヒーヒー言いながら服を脱ぎ始めた。


「ちょ、ちょっと待ってよ、そこトイレじゃないっ……」


 耳をつんざくほど高い音に、老婆の奇行。いよいよ璃奈は、ぐるぐるとしていた思考を、完全に停止させた。



 ブーッ、ブーッ――。



 璃奈のポケットに入っている、スマートフォンが強く震えている。璃奈はハッと我に返り、救いを求めるようにスマートフォンを手に取った。


 【璃奈さん、まずは落ち着いて119をダイヤルしてください。助けを呼ぶのが先決です。あとはオペレーターの方に指示を受けて行動しましょう】


 画面に表示されていたのは、ヨルムンガンドからのメッセージだった。それを見た璃奈は……眉間に力が入ってしまい堪えていたものが溢れそうになるも、唇を噛んで必死に隠しとおす。

 天井を向いて深く息を吸い、思いきり吐きだす。ヨルムンガンドに言われたようにダイヤルをタッチし、耳にスマートフォンを当てた。


 プルルルルル……。



    ***



 ウーウーとけたたましくサイレンを鳴らす救急車が、赤いランプをなびかせ街を疾走する。その中で、璃奈はメールにて事の経緯(いきさつ)を母に送っていた。救急車の中で聞くサイレンは思ったよりうるさい印象ではなく、集中してメールを打ち終えることができた。

 スマートフォンの画面から顔を上げ、横たわる咲季と祖母を眺め考える。ヒーターのスイッチを止め、散らばるガラス片や具材や排泄物を片づけ、電気を消し鍵も閉めた。

 母に怒られる要素を少しでも解消したことを再確認し、安堵のため息を吐く。


「あ……、そうだ」


 ふと、璃奈はもう一度スマートフォンに顔を向け、ヨルムンガンドにお礼のメッセージを送った。


明るい話にしたいなぁー。

読んでくれて、感謝です(;゜∇゜)

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