お留守番(四百文字お題小説)
お借りしたお題は「留守番」です。
パートの仕事が終わらず、十歳の舞と三歳の結衣を長い時間二人きりにしてしまった。
息を切らせて帰宅した。
「ごめんね、二人共。怖くなかった?」
結衣が泣いているのではないかと心配だったが、何故か泣いていたのは舞だった。
「どうしたの、何があったの?」
舞は泣くばかりで応えてくれない。
「お姉ちゃん、どうしたの?」
無理を承知で結衣に訊いてみた。
「おねえたん、おばあちゃんがこわいってないたの」
意味がわからない。
「ゆいがね、おばあちゃんとおはなししてたら、おねえたんがないたの」
ますます意味がわからない。
「おばあちゃんて誰、結衣?」
不思議に思って尋ねると結衣はニコッとして、
「ゆいのおばあちゃんだよ」
お仏壇に飾られている夫の母親の写真を指差した。
結衣はその写真がおばあちゃんだとは知らない。
義母は結衣が生まれて来るのを楽しみにしながら亡くなった。
「そう、おばあちゃんが会いに来てくれたのね」
涙が頬を伝わった。
お粗末様でありました。