相合傘と、恋のライバル
「相合傘をしてっ」
・・・なーんていう要望を受け、俺中野正樹は生きる気力を無くしていた。
まず、1つ目の要望が『抱きしめて』、これが2つ目だとすると『相合傘をして』・・・
となると、ななみ(ジョニーを操るBL小説家)はこれからどんどん俺の元気を消していくんじゃ・・
「最悪だーーーーーーーーーーー!!!」
・・・叫んでみた。
うん、ちょっとスッキリした。
すると、うしろから誰かがタックルしてきた。
顔を見ると・・・
「ジョニー!!!」
「雨がひどいよ、中野くん・・・い・・・一緒に帰らないか。」
「だからその声やめろって、ななみ!!」
「あ~あ、ばれちゃった。隠れてたのにい」
「ばれない自信あったのかよっ!!!」
「ま、いっか。相合傘するよ」
ななみはそういって傘を差した。
「中野君・・・右がいいかい?それとも・・・お・れ?」
「普通右ときたら左だろっなにかと勘違いしてるだろっ
それと、その声やめろってさっきからいっているのだがっ」
「お~(パチパチ)連続3つっこみ」
「お前もよくそれだけの文字数でどんだけボケはいってるんだよっ」
「天然ボケだけど」
「大丈夫ですかっっ」
・・・ふう、こいつといるとつっこみ人間になってしまう。
そんなことより、俺がいいたいのは・・・
「?入りなよ。」
「俺さ・・・さっきから思ったんだけど、恥ずかしくないのか?」
「恥ずかしい・・・?」
「いや、だってさ・・・お前はジョニーをやってるつもりでも、周りの人からは
俺とななみであってさ・・・」
「は?大丈夫?」
「大丈夫だよっ」
「つまり・・・何?中野君は恥ずかしいの?」
「そりゃあな・・・周りからみて、好きでもない男女が相合傘ってのも・・・」
「・・・ぶふっ」
「なに笑ってんだよ!!」
「いやー中野君ってさ、案外人の目を気にするタイプ?
私は絶対、自分優先。人の目を気にして毎日おどおどしても楽しくないじゃん。」
「・・・ジコチュウ?」
「そっそういうことじゃなくて!!
私は私として自由に生きるの!そーでもしないとBL小説なんて書けないし!」
・・・びっくりした。
ななみって、俺とまったく違う世界で生きているんだなって事に。
そりゃあ、BLってだけで違う世界だけど、考えが、俺とまったく違う。
「おもしろいな。」
「えっ?」
「いいや、なんでもない。」
俺とななみ(とジョニー)は雨の中帰った。
しかし、その様子を伺っている人物が一人いた。
「あの女・・・むかつくわ。私の正樹様に・・・」
☆☆☆
朝。
俺はというと、結局ななみの家まで送り、くたくたになって寝込んだ。
やっぱりななみは俺の元気を吸い取っていると思う・・・。
すると、いきなりうしろから誰かがタックルしてきた。
顔を見ると・・・
「ジョニー!!・・・って、何度同じこと繰り返してんだよ!!」
「はっはーー!!今日も今日とて要望聞いてよ~」
その時、教室のドアがガラッと開いた。
「そこまでよ、川辺ななみっ!!」
「えっ」
そこには、同じクラスの相川ゆりあがいた。
「あ、相川さん?」
「川辺ななみ!私の正樹様からお離れくださいましっ」
「なによ、私のって!!中野君は別にあんたの物じゃないわよ!」
「『あんた』じゃありませんわ、相川ゆりあですわ!!」
「とにかく、じゃましないでよ!今、大事なとこなんだから。」
「大事って、何のことですのっ正樹様、川辺ななみに何をされているのですかっ」
「相川さんには関係ないわよ、ねえ~中野君??」
「関係大有りですわっ!なにせ、私と正樹様は恋人同士なのですからっ」
「ちょっと、なによそれっ!聞いてないわよ!本当なの?中野君!!」
「本当ですわ!それに比べて、貴方は未だに正樹様のことを中野君呼びですものね、
たいした仲ではないという証拠ですわっ!おーほほほほ♪」
「そんなの相川さんが勝手に言っているだけじゃないのっ」
「なんですって!?それでも貴方と正樹様は、そうでもない仲なのでしょう?」
「ふんっ私と中野君にはね、他人には知られてはならない秘密があるのよ。」
「秘密!?それを言われると、ますます知りたくなりますわねっ」
「え~でもぉ~、相川さんにはぁ、関係のないことだしぃ~」
「なっなんてむかつく言い方ですのっ!!分かりましたわ、貴方と私は恋のライバル。
それだったら教えてくださいますでしょう?」
「ふむ、恋のライバル・・・いいかもね。分かった、教えてあげるわ。
題して、『中野君とジョニーの関係。』」
「あっ貴方ではなく、ジョニーとっ!?なんだか題名から興味がわいて来ましたわ!」
「そう、これはある、屋上でのできごとだったわ。・・・」
おいおいおいおい・・・・・。
このまま、俺の弱点までしゃべるんじゃ・・・」
「ストーーーーーーップ!!!」
2人はきょとんとして俺を見る。
「ななみっまさか、俺の弱点まで言うんじゃないだろうな!!」
「え?中野君の弱点て・・・おた
「わああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ」
「ちょっと!まだ私の台詞終わってないわよ!それに、相川さんと私は恋のライバルだし。」
「おまえなっななみは別に、俺と恋しているわけじゃないだろっ!」
「そうね、本当ならジョニーと相川さんが恋のライバル・・・。」
「ジョニーとは恋をしていないっそれと、相川さんも違うからっ!」
「えっ・・・」
「え・・・えっと、て、照れているのですわ!」
「ちょっと、相川さん。俺、相川さんとは普通のクラスメイトだけど。」
「ほ~ら、違うじゃない。」
「くっ・・・でも、私は正樹様がすきですわっだからこそ、恋じゃありませんのっ?」
「そんなこといって・・・中野君はね・・・こしょこしょ」
「えっ・・・・う、嘘でしょう?」
「ななみ、相川さんに何ふきこんだあ!?」
「正樹様・・・さよならっ」
そのまま相川さんは逃げた。
「ふふふ・・・ジョニーの愛の勝ちねっ」
この人達・・・なんとかしてください。
そう、毎日神様に願うのさ、俺は。