エピローグ:ウィンクルムの旅路
「うぅ……」
強い日差しの暑さに寝づらさを覚えた二人は呻き声を上げて瞳を開けた。
目の前には快晴の青空が広がり、ここが数刻までいた世界であると気が付くのにそう時間はかからなかった。
起き上がって辺りを見渡すと緑が生い茂り、湖がある。シーヴァルにとって見覚えのあるその光景だが、以前とは異なり、今は隣にルアンがいる。
そんなルアンは湖の岸まで歩いて、立ち止まった。
「わたしの夢は夢だったみたいだ。サリアスはいなかった。そもそも人でもなかった。わたしは、独りだった」
「ルアンさん……」
「シー坊はこんなわたしとでも、まだ隣を歩いてくれるか?」
シーヴァルは何も答えなかった。
不安になったルアンが笑い飛ばして冗談だと、ズルい逃げ道を使って去ろうとした瞬間、シーヴァルがルアンの肩を掴み真正面から向き合わせる。
「俺は、貴女だったから今まで旅をしてきたんです。貴女という太陽に焦がれてきたから。
どんな理由があったって俺の前には些細なことだから。
貴女が俺の隣を歩かないことを、俺が許さない。
──大好きです、ルアンさん」
溢れ出た思いを口にしたシーヴァルはその言葉が消えて飛んでいかないようにと縋るような思いでルアンに口付けした。口が離れるとシーヴァルは先程までの自信ありげな表情ではなく、少し心配そうな顔でルアンの顔を見つめていた。
「ありがとう、シーヴァル」
シーヴァルが見たことないほど満面な、美しい笑みで彼女は笑う。
「わたしも大好きだよ」
二人は新たな夢を見始めた。それは、きっと底なしの夢。
途絶えることのない絆の旅路。




